見出し画像

怒りのバリケードとそれぞれの愛

この記事は大抵投げたに対して憎しみを持っている時に更新している。
本日も私との約束を破り朝帰りならぬ昼帰りをするであろう投げ田が憎いので、寝れない時間を使い投げ田のつきあっていた時のトンデモエピソードを披露する。

その日は投げ田の友人2人と、私と投げ田とで飲んでいた。
投げ田の友人の1人は投げ田の親友と呼べる人物で、深みあってあって面白い。故につい話が弾んでしまった。
投げ田は自分に自信がないし、その友人のことを尊敬しているので私がその友人に対して恋心?を抱いていると勘違いしてしまったようだ。
深い時間になった頃、トイレに行ったはずの投げ田が戻ってこない。
友人2人は投げ田のよくあるパターンとして気に留めていなかったが、心配する私につきあって一緒に探してくれた。
家に帰っているかもしれないということで3人でタクシーに乗り、投げ田の家に行った。
ちなみに、親友の方は髪と髭を長く伸ばしており、悟りを開いているかのような思考の持ち主なので「尊師」、もう1人の友人は顔がエレキコミックのやついに似ており、「フジロックって本当にラブ&ピースなの?」とかナチュラルにいうヒッピーのような奴なので「やついフェス」とする。

家に着き、鍵を使ってドアを開けようとするとチェーンがかかっていた。
家にいる。
だが入れないようにしている。
尊師は投げ田が消えた理由がバイカル子であるということをわかっていたようで、私に隠れるように言い、インターホンを押した。
「何?」と友人2人の姿をインターホンで確認した投げ田がチェーンを外した。
ドアを開けた瞬間、ゴトッという音で何かが前に倒れてきた。
私たちはドアの中の光景に驚いた。
投げ田が家のキャビネットや衣装ラックなどを入り口に押し込め、バリケードを張っていたのだ。
やついフェスはその光景を前に「面倒臭い」と即座に判断し、買ったポテチを持って「サウナに行く」とすぐにその場を後にした。
尊師は「何してんねん、バリケード張ってるやん」と言いキャビネットを飛び越え中に押し入った。
私も続いて家に入った。
家の中はさらにひどい有様で、テーブルライトが割られていたり、机が壊されていたりして投げ田の怒りと悲しみが物への暴力として現れていた。
私は「投げ田はこんなに傷ついてしまったんだ」と思うと同時に「この人は病んでいる」と思った。
尊師は「あかんことしてるやろ、なんでこんなことすんねん」と投げ田を諭そうとしたが、傷ついた投げ田はそのままふらっと外へ出ていった。「投げ田!」と追いかけようとする私を尊師が力づくで止める。バイカル子が行くと余計に…だから、うーん…と言いながら止める。
尊師の言うことなのでとりあえず聞き、残された2人でとりあえず家の中を片付けようとした。
尊師は、「片付けすぎるな。これは自分がしたことだとわからせないといけない。自分で片付けさせないといけない。」と私を止めた。
その時、何か物音がしたのか、尊師が突然外に飛び出して行った。
私も追いかけると、外で投げ田と話す尊師の声が聞こえる。
「バイカルがどうとかやない。これはお前の問題よ。バイカルやない。お前の問題。自分の感情コントロールできてないやん。もっとバイカルと話し合え。暴力に逃げるな。」
投げ田を思う尊師の説教が聞こえ、今は私が行くべきでないと家に帰る。
絶望した心で家にへたり込み、シクシクと泣いていたら(バイカル満32歳)投げ田を連れた尊師が帰ってきた。
ひたすらふてくされ続ける投げ田に尊師は相当怒っており、「これ見ろ。お前がやったんや。自分で片付けろ。今晩中に片付けろ。お前もう連絡してくんな。人と関わんなよ。お前が1人で生きていくならいい。でもお前と関わってる人たちがいるんや!よく考えろ!」と言い「さて」とポテチを持って帰ろうとした。
そして私が全く片付けをしていなかったことに気づいた。
キッ!と私を睨み、「今まで何しててん。時間あったやろ。何考えてたん。投げ田くんのこと考えてたん?割れ物は片付けろや!」と今度は私に向かった。そして「投げ田くんのこういうところもとことんつきあうってそういうつもりでつきあえや。お前らは思い合ってない。思い合ってると勘違いしてるだけよ。」と捨て台詞を残しポテチを手に家に帰っていった。
怒りながらもポテチは食べるらしい。
帰り際、「ハーゲンダッツもどこかに落ちているから拾え」とも言っていた。

次の日、投げ田と2人で部屋を片付け、昨日の居酒屋へ投げ田の忘れ物を取りに行き、ごめんなさいと投げ田が私に焼肉を奢り、やついフェスに呼ばれやついフェスとやついフェスが最近いいかんじの女の子とやらと2次会をした。
やついフェスは「ナゲー(投げ田のあだ名)は昨日ダメなことしたからー、ここはナゲーの奢りね」と慣れた様子で明るく言った。
彼もまた、ナゲーのことを彼のやり方で愛しているのだ。
ナゲーは2次会中、やついフェスから私が目薬を借りたことに、そんな小さなことにまた怒っていたが、それもナゲーの不器用な愛し方であった。

私は今、悪い意味でガス抜きしつつ投げ田と一緒にいる。
ガス抜きは自分が壊れない為に必要だ。
そうまでして一緒にいる相手ではないが、それでも一緒にいたい、のか、否か。
葛藤は常にあるが、これも私の下手くそな、頭の悪い愛し方である。

画像は、映画「アンダーユアベッド」でDV被害で傷だらけメイクを施された西川かなこである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?