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【フェイクドキュメンタリー編】好きなカット#1 ※ネタバレ有

 宇野鯨です。
今回は「フェイクドキュメンタリー」映画における好きなカットを紹介していきます。
 まずは言わずと知れた『Rec(2007)』『Rec2(2009)』から紹介していきます。

 まずはこちら。
これは「Rec」の終盤で主人公ら撮影クルーがアパートの最上階に追い詰められるカットですね。

 カメラが螺旋階段を見下ろした時に、カメラのライトに感染者が目を光らせます。ここでゾゾっとした方すごく多かったんじゃないでしょうか。
 個人的には「ここまで見てくれてありがとう!ここは進行に関係ないから好きそうなの置いとくね!」と製作陣の優しさが訴えてきたような感じが来て何だかほっこりしました。もちろんです。ありがとうございます。



 お次は同じく「Rec」「Rec2」に登場する復讐の女神"メディロス"ですね。ちょうどこの時ホラー作家・貴志祐介さんの「天使の囀り」を読んでいて、「メディロス大人気じゃん」と一人で楽しくなっちゃいました。

 「フェイクドキュメンタリー」伝家の宝刀①が"暗視カメラ"だとすれば②は"敵のボス"ですよね。
 このカットではそれが2つも盛り込まれた贅沢なシーン作りになっています。
 というのも、このメディロス。
「肉眼では確認することができず、視認するためにはすべての明かりを消す必要がある」
設定があるので、絶対に暗視カメラを使わなきゃいけないです。なんて奴だ。

 ただ攻撃力や殺傷性は「やせ細った少女」というビジュアルのまま、ほとんどありません。感染能力があるだけですが、ただただ怖いです。

 次は同じく"暗視カメラ"によるカット。
「パラノーマル・アクティビティ4 (2012)」の終盤に登場した無数の亡霊たちですね。

 まさかこんなカットが飛んでくるなんて思ってなかったので、大変ご褒美でした。

 「パラノーマル・アクティビティ」シリーズは製作陣が優秀なのか、毎回被らないエンディングと設定、カメラワークを用意していてどの作品も見てほしいなと思いました。あと、ケイティがアレルギーだという人がいると思うのですが、安心してください。もはや主人公です。このシリーズは後々しっかり感想を残したいと思います。


 キャプション付きですが、付いている方が分かりやすいですね。
 「ザ・ベイ (2014)」はある港町が、水に含まれた"何か"によって侵略されていくパニックホラーになっています。
 だんだんと不穏になっていく様が好きな人は好きだと思います。毎日を生きていて「何かヤバいこと起こらないかな」と思考が無敵になることがあれば、きっとこの映画は刺さるのではないでしょうか。
 フェイクであれど、かなりショッキングな内容になっていますので閲覧注意ではあると思います。僕はグロ・ゴアが苦手なのでちょっとしんどかったです。

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番外編です。
「フェイクドキュメンタリー」ではありませんが、手持ちでハンディを撮っていたり、どことなく面白かったので紹介します。
「モルグ-死霊病棟-(2019)」という映画はジェーン・ドゥの解剖を想像してもらえると分かりやすいです。彼方の方が構成もしっかりしてますが、この映画は逆に荒々しさに尖った恐怖を感じます。
 終始、ありえない速度でオヤジが飛んできたりするのでイライラするかもしれませんが、僕はびっくり=恐怖につながるので非常に良かったです。

 ※この画像は紹介したいカットではないのですが、似ているものを用意しました。

 「画角」の使い方は、ホラー映画にとって特に重要になるなと思うことが多いのですが、このモルグはその使い方が上手いです。

 このカットでは人物をややアオリめで捉えていることがわかります。その他にも、天井付近にカメラを設置して、主人公の頭上を映すものもあります。

 これの何が凄いのかと言うと、天井という「空間」を観客は意識させられるんですよね。ホラー映画ではオバケが登場する時に

①背後
②横、または側面の死角

からいきなり現れることで「びっくり!」となるわけですがこのモルグでは①と②に加えて天井を一度見せられているので心理的に

③頭上

から来ることを考えさせられてしまうんです。
これは革新的だなと思いました。(あの高速オヤジなら頭上から来てもおかしくないしね)

 それにやっぱり足が見えないと不安になるんですよね。当たり前を外し、虚をついたカメラワークであると僕は思います。

 映画からして、まだまだ成長を感じさせるカルドゾ監督。「百聞は一見にしかず」なのでぜひご覧になってもらえるとお気づきになるんじゃないかなと思います!
 ※モルグはハリウッドでのリメイクが決まっています。

 今回最後に選んだのは白石晃士監督の「ノロイ(2005)」ですね。
この映画は………というか、白石監督は「フェイクドキュメンタリー」をテレビ風に構成して、要所でPOVショットを捉えるのが好物そうな監督です。ですが今回選んだのは、テレビクルーたちが危ない人に取材をしにいくシーンですね。
 「コワすぎ!」シリーズでも感じたのですが、人間の感情を「フェイクドキュメンタリー」として写し取っていくことが非常に上手いですよね。

 こちらの場面も、カメラマン目線の映像ではあるんですが、かなり「映画」です。なのに生感があって本当に唯一無二なんじゃないですかね。

 「激情!」そんな息遣いすら聞こえてくるようで「フェイクドキュメンタリー」の可能性を感じてしまいました。

 今回はここまでですが、次回も書き連ねていきたいと思いますので、ぜひとも一読してもらえたら嬉しいです。何なら僕が観ていない映画も教えてもらえると助かります。
それでは次の波止場で!

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