新聞記者の取材動線をAI(ChatGPT)に作ってもらうとどうなるか(GPT-4、GPT-3.5)
1.AIは取材動線を作れるか
複数の警察署に何度も顔を出しつつ、複数の日ネタの取材もこなし、さらには夕方から原稿も書いて…と、新聞記者にとって動線の効率化は欠かせないと思います。今回は、ChatGPTが最適な取材動線を提案してくれることをご紹介します。GPT-4とGPT-3.5で試してみました。
a.前提条件その1(本社と警察署2か所)
本社は静岡市駿河区にあると仮定します。静岡市葵区には静岡中央署、静岡市駿河区には静岡南署という警察署があり、どちらも1日のうちで最低2回は回らなければならないとします。ただし、短時間で回っても仕方がないので、ここでは便宜的に少なくとも4時間は再訪の間隔を空けるとします。※警察署名は実名ですが、当然ながら実際の警察署は無関係です。
b.前提条件その2(取材先2か所)
取材先として2か所を仮定します。一つは静岡市駿河区の複合施設「グランシップ」、もう一つは静岡市葵区の西ヶ谷総合運動場とします。これは本社から見ると東西正反対の方向に位置します。取材の時間としては、グランシップが午前11時から正午、西ヶ谷総合運動場は午後3時から午後4時と仮定します。※施設名は実名ですが、当然ながら実際の施設は無関係です。
c.前提条件その3(昼食)
昼食を午前11時~午後2時の間に本社で取るように条件を加えました。
d.前提条件その4(出発と帰社時刻)
午前8時に本社をスタートし、a,b,cの条件を全てかなえた上で午後6時までに本社に戻ってくることを最後の前提条件とし、動線作成を依頼しました。
2.GPT-4の場合
a.プロンプト(指示文)
指示文は次の通り入力しました。
b.出力結果
c.出力結果の整形
見にくかったので表形式にしてもらいました。
午前中のうちに2署を回り、グランシップを取材。本社で昼食をとった後、静岡中央署を回り、西ヶ谷総合運動場の取材をし、南署を回って本社に戻るという、地元民なら誰もが納得のいく動線を提案してくれたかと思います。
複雑なことをさせているようで、実はAIや機械学習は本来、こうした総移動コストを最小化させるいわゆる「巡回セールスマン問題」を解くのが得意なはずです。今回はかなり緩めの条件でやってみましたが、もう少し厳しい条件を付け加えるともっと真価を発揮してくれるかもしれません。
3.GPT-3.5の場合
同じ条件でGPT-3.5でも試してみました。プロンプト(入力文)は同じなので割愛します。
a.出力結果
一見、完璧なようですが、静岡中央署と静岡南署の間でピストン状態になっています。4時間は空けてほしいので、次のように注文してみます。
作り直してくれました。
一見、解決したように思われますが、よく見ると、午前9時半に静岡南署にいたのに、なぜか午前10時に静岡中央署からグランシップに向けて出発しています。これはAIが自分が出力している内容自体を全く理解していない証拠です。また、西ヶ谷総合運動場への到着が午後4時で、イベントが完全に終わってしまっています。これでは取材ができませんので、次のように指示文を入力し、もう一度作り直してもらいます。
出力結果はこちらです。
今度は西ヶ谷総合運動場の取材が午後2時から午後3時になってしまいました。これでは逆に早すぎて取材できません。
最終的に出してきたのがこちらです。
….。直っていませんでした。
4.まとめ
結果として、取材動線を作ってもらうのは大いに可能性あり。また、GPT-4とGPT-3.5を比べた場合、GPT-4の圧勝でした。GPT-3.5は細かいところで綻びが目立ち(南署にいるはずなのに中央署から出発するとか)、やっぱり内容までは理解していないんだなと改めて思わされるレベル(自信だけは妙にあるので厄介…)。一方、GPT-4はさすがの安定感で、そうした細かい綻びがほとんどなく、内容自体を理解しているのではないかと錯覚を起こすほどでした。簡単な質問ではGPT-4もGPT-3.5もそれほど違いは感じられないかもしれませんが、やはり細かく見るとGPT-4は凄いと感じさせられる結果でした。取材動線に悩んでいる皆さんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?