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『Hej! Laere vol.18』:組織の存在意義を振り返るオフサイトミーティング(2022年5月配信)

こちらのnoteでは、Laereが定期的にお届けしているお便り『Hej ! Laere』
をダイジェストにして公開しています。
本ニュースレターは、5月26日に配信しています。

レア”始まりの地”でオフサイトミーティングを開催

ゴールデンウィーク明けの一週目、レアメンバーで対話会を実施しました。2015年の創業当時、弊社レアは「教育デザインファーム」としてスタートし、現在は「共創型アクションデザインファーム」として教育デザインに加え、さまざまな共創プロジェクトの実践支援を行なっています。現在の組織活動にふさわしいパーパスやビジョンを再定義することを目的に、改めて7年間の活動を振り返り、メンバー一人ひとりの想いを共有しました。

弊社レアでは定期的にメンバーどうしの対話会を実施していますが、今回はレアの旧本社を訪れ、レアの「はじまりの地」でこれまでの活動を改めて振り返ることにいたしました。当日は共同代表・坂本の手づくりのごはんを囲みながら、心も体もほくほく、リラックスした空間のなかで対話を行い、さまざまな本音やアイデアを共有することができました。

レア旧本社の対話会の様子。木のぬくもりを感じられる空間で、おいしい料理を囲みながら、和やかな雰囲気で対話会がスタートしました。

オフサイトミーティングの効用として、チームの関係性強化につながる、その場に集中できるなどのメリットがあると言われています。今回レアで実施した対話会では、いつもとは異なる環境に身を置くことによって、より広い視点で、未来に目線を向けた対話ができたように感じています。

今回の対話を通して、これからも不確実で不透明な未来に対してポジティブに変革していく組織や個人に寄り添い、一歩ずつ進むための勇気とエネルギーを与えられる存在となりたいと、レアメンバー一同決意と確信を深めることができました。皆さまのお力になれるよう、今後も精進してまいります。弊社レアをこれからもどうぞよろしくお願いします。

Voice from Finland

この連載はアアルト大学に留学している吉田真理子さんがフィンランドから最新北欧トピックをお届けする連載コーナーです。今月の『Voice from Finland』では、日本と欧州のアートに対するアプローチにどのような違いがあるのか、またそこから学んでいるアート教育について、お話しいただきます。

Moi(こんにちは)!
フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。

Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。

こちらに住み1年半が経過し、当初は見えてこなかったフィランドのリアルや日本との違いが見えるようになりました。新しい発見のある毎日です。その中で日本と欧州のアートに対するアプローチが違うなと感じることがありましたので、今回はどのような違いがあるのか、またそこから私の学んでいるアート教育について、経済学部出身の私目線でお話しできればと思います。

アアルト大学卒業生、フィンランド人アーティストKaulanen Kirsiの作品、接滅に品した世界の植物をモチーフにした環境問題を考えさせられる作品。

理論や哲学を重視するフィンランドのアート・アート教育

始めに感じた一番大きな違いは、欧州のアート作品は哲学が先にきていること。歴史や社会的概念に対する疑問を作品に落とし込んでいる作品が多いなと思いました。日本のアート作品は技巧やスタイルなどが先にきている印象で、ドイツ、イギリス、オランダに住む日本人アーティストの友人に聞いても同じ印象だそうです。

同じことがアート教育にも言えると感じます。理論、哲学、歴史、社会についてしっかり学んでからそれを教育に落とし込む、広くさまざまな考えを知った上で、教育者としての自分の教育アプローチを考える。それが評価されてか、アアルト大学の芸術学部は世界の大学ランキングで6位になりました。フィンランドに来るまで、アート教育は教育現場で使われている、モンテッソーリやレッジョエミリアのような方法論や事例を学ぶことだと思っていましたが、それだけではないことが理解できました。哲学や社会の問題を知らずして人を教育できないのだとしばらくして理解しました。それらを踏まえて今は少しずつ実践を行ってみています。

写真・左:アメリカの哲学者・ジェンダー学者Judith Butlerの本、『Undoing Gender』からインスパイアされたLaura Hasanen (同じプログラムの友人)の作品。Judithの本で書かれている不完全性、非浸透性、脆さを素材を通じて表現している。
写真・右:フィンランドのアート教育の理解に役立つ本。フィンランドにおける、もしくはフィンランド人によるアート教育の事例が、国際的なインパクト、民族のアイデンティティー、持続可能な未来に向けたアート教育をテーマに掲載されている。

欧州のアート教育の大きな流れ

そういった中でも、ポストシリーズと勝手に名付けているのですが、ポストコロニアリズム(脱植民地主義)、ポストキャピタリズム(脱資本主義)、ポストヒューマニズム(脱人間主義)に関連する論文を授業でよく取り上げられています。それぞれの説明はここでは割愛させていただきますが、現在世の中に当たり前になっている既存概念をどう変えていくかということが3つの考えには共通していて、時代の変化の中にいることを感じます。

他にもFeminism(フェミニズム)/Queer (クイアー)について学んでいる子や作品のテーマにしている友人も多くいます。

時代の転換期にいる中でアート教育が企業で働く人に果たすことができる役割はなんだろうと自問する日々です。

正解がないアート教育

こういった考えがありつつも、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、私がアアルト大学で得た一番の学びは、アート教育には正解がないことです。アートは心の中の表現したいものから湧き出てくるものだと思います。

ビジネス系の学生とするのと比べて、アーティストと進めるグループワークは、スムーズに進まず苦しいときもあります。でもそれはその過程でこれまで無意識に囚われていた常識に気づき、グループワークが終わる頃にはそれが取り払われていくからかもしれません。これほど、自分の常識を取り払うのが苦しい過程になるとは思ってもみませんでした。これはいろんな分野の人との共創をしていくには必要な過程なのかもしれません。この苦しい感覚を楽しんで行こうと思います。

地域による捉え方や、評価されやすいアートはあるかもしれませんが、アートそのものにも正解はないと思います。例えば、日本の書籍でもダウン症の人に向けたアトリエを主催している方が書いた「いいんだよ、そのままで」の本からは、無垢な気持ちで書かれた絵のパワーに魅了されました。

これからもいろんなアート、アート教育に触れていき学びを深めていきたいと思います。

これからも引き続き、フィンランドの大学院での学びや発見をお届けしていきます!アート教育、フィンランド大学院留学にご興味ある方は私個人のnoteもご覧いただけたら嬉しいです。

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『Hej ! Laere』は、毎月届く、株式会社Laere(レア)からのお便りです。レアの最新情報やレアで話題になっている北欧トピックについて、メールマガジンで皆様にこっそりお届けしていきます。”Hej(ヘイ)”はデンマーク語の「こんにちは」で、”Hej Hej(ハイハイ)”とふたつ重ねると「バイバイ」という意味になります。

それではまたお会いしましょう!Hej Hej 👋

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