『Hej! Laere vol.21』:私とあなたの『Well-Being』を知る対話~Well-Beingミニワークショップレポート(2022年8月配信)
「感性スポット」から知る、自分のWell-Being
弊社では、今月夏休みとして10日間の長期休暇をいただき、メンバーそれぞれがゆっくりとした時間を過ごしました。夏休み明けには、本ニュースレターの「Voice from Finland」を連載いただいている吉田真理子さんが一時帰国し、レアのオフィスを訪問してくださいました。真理子さんはフィンランドのアアルト大学芸術学部の修士課程に在学しており、アートと感性の教育を研究していらっしゃいます。今回はオフィスにて、真理子さんとの対話を重ねながら、感性を通して「Well-Being」を探求するミニワークショップを実施しました。
ワークショップでは、参加者が心地よく感じる場所「感性スポット」をそれぞれの方法で発表し、対話しました。発表ではお気に入りのバーを音楽と写真で表現したり、家族との時間を動画で発表したり、実際にレジャーシートを用意しピクニックを再現してみるなど、参加者の個性があふれる表現で、場所の紹介とそこで感じる自分の感情について共有しました。
お互いの心地よい場所を実際に体感しながら共有することで、ワークショップは自然とリラックスした雰囲気に。真理子さんから「感性」にまつわる理論を説明いただいたうえで、自然とお互いが大事にしている価値観や想いなどを共有し、夏休み明けのよいリスタートをきれる機会となりました。
今回のワークショップで見えてきたのは、個人の背景や価値観に強く反映された多様な「Well-Being」の姿でした。近年では日本でもWell-Beingが注目されていますが、まずは自分なりのWell-Beingを理解し、対話を通して他者と重なる部分を見つけていくことでチームや組織全体のWell-beingにつながっていくと弊社では考えています。みなさんもWell-Beingを知る一歩として、自分の心地よい場所から自分なりのWell-Beingの姿を考えてみてはいかがでしょうか?
また、弊社では11月にWell-Beingを探求し、みずからデザインしていくためのオンラインコースを展開予定です。真理子さんもインスピレーションをもたらすゲスト講師として参加予定。楽しみにお待ちください!
Voice from Finland
Moi(こんにちは)!
フィンランドのアアルト大学に留学している吉田真理子です。
Voice from Finlandでは「共創」「ウェルビーイング」をテーマにフィンランドでの学びや体験をお届けしています。
アアルト大学でのアート教育
私は現在アアルト大学の芸術学部の修士コース、Nordic Visual Studies and Art Educationというコースに通っています。2年間のコースで、主にフィンランドや欧州でのアート教育、アート教育プログラムのデザインについて学んでいます。
プログラムは、必修単位60単位、選択科目30単位、修士論文30単位の計120単位で構成されています。1年目に必修科目があり、2年目は修士論文の講座(Thesis SeminarⅠ&Ⅱ)と選択科目に集中させます。基本的に授業は5段階評価で、5が最高、0が単位を落とすことになります。コースによっては合格、不合格で判断されるものもあります。
またコースごとに、コース終了後の学習成果、学ぶ内容、コースにかかる時間の詳細の説明があります。1単位は授業、自習、グループワークを含め27時間と決まっています。自由課題はその時間内で取り組むことを推奨されるなど、時間への厳しさを感じると同時に、いかに限られた時間で効率よく学び成果を出すか、また学生、大学スタッフのウェルビーイングが考えられているなと驚きました。
SISU(フィンランドのGRIT精神という意味)というフィンランドの大学共通の履修登録のシステムが2020年にでき、他の大学の授業もここから確認・登録することができます。
私の必修科目は以下のようなものです。
必修のうち20単位は修士論文に関するもので、各個人のテーマにそって丁寧に教授が見てくれます。9名という少ない人数のプログラムのため、教授との距離が近く、隔週で私は修論の相談にのってもらっています。必修科目のうち、特に印象に残った3つの授業を紹介します。
「Art Pedagogical Practices and Theories」では欧州・フィンランドでのアート教育の変遷・事例・教育学を文献・授業で学び、学んだ成果を自分のアート教育プログラムの提案に落とし込み、プレゼン・レポートを書くという授業でした。教育における倫理、政治の視点から見た教育、アート教育に対する批判的理論などなど毎週テーマがあり、それらについて議論します。哲学的で、初めて習うことばかりでこの授業はついていくのに必死でした。今見返してやっと腹落ちした感じです。全く新しいことを学ぶのは時間がかかるなと実感しました。
「Contemporary Art as Social and Institutional Practice」では現代アートの潮流を理解しながら、ギャラリーに展示会・Collectivesの提案をグループで行いました。残念ながら、展示会はコロナの影響で実現できませんでしたが、アーティストの友人と実際のキュレーションの流れを体験でき、自分のアート領域での能力がひらけました。
2020年秋に行われたクラスではハイブリッドで工夫して授業を行っていました。
「Aesthetics, Culture and Communication」はデンマークのAalborg大学との共同授業で、現代美学と視覚的コミュニケーションについて学ぶものでした。3つのサイト(Sights(視覚), Sites(場所), Cites(引用))をテーマに学びが設計されていました。最終課題は、少し耳慣れないかもしれませんが、街中にある文化にどのような視覚的介入(Visual Intervention)ができ、街の人々とのコミュニケーションを作るかというものでした。私はヘルシンキビエンナーレのパビリオンにプロジェクションマッピングをするというアイディアでレポートを書きました。
このようにアート教育という幅広い範囲を哲学、現代アート、文化コミュニケーションなど様々な視点から学んでいます。私は「職場での感性教育」をテーマにレアさんとの共創を含め、学校外でプロジェクト化し、美術館、企業、NPOとコラボレーションをおこなってきました。同級生はヘルシンキ市の教育セクターや美術館の教育担当としてインターンシップを行い就職先を探しているところです。
素晴らしい教授と学生に囲まれ、アアルト大学を選んで本当によかったと思います。現在は修士論文と格闘中です(笑)
書き終わりましたら、この場をお借りして報告できれば嬉しいです。
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