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初回で辞めたSくん/作家養成所と5回目の青春①
ビッグな夢とスモールンな仕事の積み重ね。
ステイホームでパソコンと2人暮らし。そんなこんなで、2016年の3月に作家の養成所を卒業して、5年が経とうとしています。
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※まだ初任給が6000円になるとは知らない頃の髙﨑
ワタナベコメディスクールの22期ということで、(僕は放送作家コースなので直接お話ししたことはありませんが)芸人コースの中では四千頭身と同期になります。
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在学中から断トツで面白かったですね。「頭取りゲーム」の漫才で度肝を抜かれたのを覚えています。
放送作家総合コース。(※現在は「メディアクリエイターコース」)
芸人さんと同様、放送作家を目指す人が集まる養成所です。毎週日曜日、朝から4~5時間かけて、企画の作り方や作家の何たるかを学びます。
小学校、中学校、高校、大学。4度の青春でタスキをつないできた僕にとって、今思えばこの養成所は人生の5回目の青春でした。恥ずかしげもなく言えば。
今回、養成所時代を振り返ろうと思ったきっかけですが…年末、大掃除の際に一冊のノートを見つけました。
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在学中の1年間、授業で使っていたノートです。
板書だけでなく講師の方の言葉まで、隅々まで書き留めている人は少なかったですが、僕のノートは一冊まるまる全て、しっかりとメモに使われていました。”おもしろ”に真面目な人は多かったですが、いわゆる”お勉強”的な真面目さを持っていたのは一握りで、僕がその一人。
しかも僕は「講師から学ぶこと」だけでなく、「同期の発表した課題」も全てメモを取っていました。そんな授業を、少し振り返ってみようと思います。(講師によって毎年授業内容は変わるので書いちゃっても多分大丈夫です)
■恋愛話を振るだけ振って消えたS君
まず授業の話に入る前に…数が定かじゃないですが、当初我々22期放送作家総合コースの同期は25人ほどいたと思います。
結果的に、1年後の最終面接まで残ったのは16人。就職、勉学、ギブアップ…様々な理由で人数は減っていきましたが…中でも一番の衝撃だったのはS君。初日の自己紹介で、「今度、気になってる女子にアタックしてみます!来週、彼女からの返事をここで発表します!」とだけ言い残して、それから二度と姿を現すことはありませんでした。
突然辞めるのは”養成所あるある”らしいのですが、とはいえ、入学費を何十万も払って、面接して入学した養成所を、初日で辞めるかね?!どういうこと!?超MEGA・MAX大失恋だったの!?
今でもその答えは分かりません。気になっているか…と言われれば、この文章を書くまではS君のことは忘れてましたので、そんなに気になってないかもです。授業2回目にして「そうか、ここは簡単に人が居なくなる場所だ」という緊張感が漂いました。
■オリジナル桃太郎
まずは…最初のプレゼン発表。
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自分なりの桃太郎。
犬・サル・キジに代わる“お供”を自分で決めて、そのストーリーをプレゼンする授業です。発想力に加えて、起承転結を作る、伝える力が問われます。
ちなみに僕は、犬・猿・作家(自分)をお供にして…
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鬼側の作家と会議を行い、「鬼が村から宝を強奪した回は視聴率が良かったので、いったんここは桃太郎に奪い返させていただく流れで、ストーリーの山を作りましょう」と丸め込んで、めでたしめでたし。
といった感じでした。
偉そうにメタ視点ぶっ込んでいい気になってんじゃねぇぞメガネ。
同期の話した内容はすっかり覚えてませんが、それぞれの3匹のお供はメモしてました。
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なるほど、家康じゃないのがミソっぽいですね。
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面白そう。そうか、当時は狩野アナでしたね。
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いやー!最後に頭文字を縦読みすると「タ・イ・ジ(退治)」になると!カー!ドヤ顔で構成こいちゃって!僕と同じぐらいカマしてますね。好きですよこういうの。
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なんでだよ。
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だからなんでだよ。
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決め付けるな。
一発目から、これだけ個性豊かなプレゼンが並んで、正直僕は驚きました。
これまでは高校・大学と”学力”で線引きされた環境で学んできましたが、全員が「面白いもの作りたい」という共通点で集う環境というのは、非常に刺激のある、非現実的な空間だったのです。
■異種格闘技トーナメント
他には、こんな課題も。
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自分の好きなものを4つ並べて競わせ、最終的に何が優勝するのかをプレゼンする、異種格闘技トーナメント。
この課題の中で、今でもハッキリと覚えているプレゼンがあります。
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僕含め、好きな食べ物やタレントでトーナメントを作る人が多い中、Nくんは「自分の学校の校歌の好きなフレーズ」同士を戦わせました。これには一本取られたというか、何せ僕は「辛ラーメン」とかをエントリーさせていましたから、この柔軟な発想に敗北感を味わいました。
「歌詞を戦わせる」という発想を持つ彼は、1年間の授業を終えることなく、学業の優先を理由に、途中で退校してしまいました。今、どんな仕事をしているのでしょうか。今でも僕は、彼の発想力が羨ましいです。
ちなみに他の回答は…
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今でもこの方とは付き合いがありますが、「高いところ」が一回戦負けしてる割に、作家と並行して高所ビルの清掃業も行っています。笑
こうして振り返ると面白いですね。
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下品ですね。
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テーマ狭めぇなぁ。
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え?何が?こわっ。
「あの人、こういうのが好きなんだ」「アイツはクセあるな~」
人柄の見えるこうしたプレゼンが最初にあって、僕ら同期は少しずつ、コミュニケーションを深めることになります。
(続く)
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