見出し画像

意外に摂れない食物繊維~麦ご飯、雑穀ご飯のススメ~

修士論文の研究の一環で、ある事業所の方に食事調査を行いました。
私が使用したのは、食物摂取頻度調査票(FFQ)という比較的簡易な調査票でしたが、食物繊維量を計算したところ、厚生労働省による1日あたりの目標量(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)を大幅に下回っていました。

現代人は、食物繊維の摂取量が不足傾向であり、18~64歳の一日当たりの目標摂取量は、男性21g以上、女性18g以上に対し、日本人の平均摂取量は14g程度です。
厚生労働省の報告では、日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には1人あたり1日20gを超えていました。 しかし、食事の欧米化に伴い、穀類・イモ類・豆類の摂取量が減少しています。

健康に良いといわれている食物繊維ですが、食物繊維の定義としては、人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体というざっくりとしたものとなります。
さらに食物繊維は、成熟した野菜などに含まれ、糸状のもの、多孔質のものがあり、ボソボソ、ザラザラとした食感が特徴である不溶性食物繊維と、昆布、わかめ、果物、里いも、大麦、オーツ麦などに含まれる水溶性食物繊維に分れます。
不溶性食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサンなどで、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進する働きがあります。水溶性食物繊維は、難消化性デキストリン、大麦βグルカン、ペクチン、グルコマンナン、イヌリン、アガロース、アルギン酸ナトリウムなどで、糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑える、胆汁酸やコレステロールを吸着して、体外に排泄する働きがあります。
不溶性、水溶性食物繊維のいずれもが、腸内細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの餌になるため、腸内環境が改善されます。

それでは、どんな食材に、食物繊維が多く含まれているのでしょう

100gあたりに含まれる食物繊維量

食物繊維というと、生野菜をイメージされる方が多いと思いますが、サラダによく使われるきゅうりは、水溶性食物繊維0.2g、不溶性食物繊維0.9g(100gあたり)、キャベツは、水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維1.4g(100gあたり)、レタスにいたっては、水溶性食物繊維0.1g、不溶性食物繊維1.0gしか含まれていません。「サラダを食べているから、大丈夫」とおっしゃる患者さんも多いのですが、生で摂取する場合は、量も限られており、おそらく足りていない可能性が高いです。

目標量に近づけるには、穀物に食物繊維が豊富に含まれる大麦、玄米を混ぜるのが手っ取り早いです。パン食の場合はライ麦パン、麺類は、うどんではなくお蕎麦を摂取するようにしてみましょう。


薬局オススメ!おいしいもっちり麦

こちらは、薬局でおススメしている、もっちり麦 
ご飯に混ぜても、パサパサせず、もちもちしていて、とっても美味しいです。

なお、食物繊維がどのくらい摂取できているか、調べてみたい方は、
カロリーslism  というサイトが便利です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?