見出し画像

『カルロフ邸殺人事件』リリースノートかいつまみ(?)

『カルロフ邸殺人事件』のリリースノートを読み、ルール変更、よくある疑問点、スタンダード/リミテッドで発生しそうな挙動等を抜粋していきます。また、リリースノートに記載はないが関連する重要な知識なども、筆者の独断で併記しています。正確な記載は下記リンクから参照してください。

特に重要な点は太字にしておくので、そこだけでも流し読みすると良いかと思います。

なお、文中でルールや罰則について述べられている場合、全て「ルール適用度:競技~プロ」を想定しています。質問・訂正などありましたら、コメントもしくはTwitter(現X)までどうぞ。→ @iwaimagic


スタンダード範囲

ローテーション無し。以下のセットが引き続き使用できます。

  • イニストラード:真夜中の狩り

  • イニストラード:真紅の契り

  • 神河:輝ける世界

  • ニューカペナの街角

  • 団結のドミナリア

  • 兄弟戦争

  • ファイレクシア:完全なる統一

  • 機械兵団の進軍

  • 機械兵団の進軍:決戦の後に

  • エルドレインの森

  • イクサラン:失われし洞窟

  • カルロフ邸殺人事件

変装/偽装

説明の都合上、変装により裏向きのものを「変装呪文/変装生物」、偽装により裏向きのものを「偽装呪文/偽装生物」、両方まとめて「裏向き呪文/裏向き生物」と略します。公式用語ではないので注意してください。

裏向き呪文/生物の区別

  • 変装により裏向きで唱える際は「変装能力を使用する」旨を宣言する必要がある。

    • またルール変更により、変異/大変異により裏向きで唱える際は「変異能力を使用する」旨を宣言することになった。

    • 偽装/予示は何も言わなくてもバレてる。(以下、変異/予示については省略します。)

  • 裏向き生物は「どの能力で出たか」「どの順番で出たか」を明確にし続ける必要がある。

    • 【筆者提案】例えば、「変装A」「変装B」「偽装A」「偽装B」といったマーカーを用意して、裏向き生物に置くとよいでしょう。

裏向き呪文/生物の特性

  • 裏向き呪文/生物はマナ・コストを持たない。

    • つまり無色で、マナ総量は0である。(スタック上でも3じゃない!)

    • 変装呪文を③で唱えることは代替コストである。よって他の代替コストで変装呪文を唱えることはできない。

      • 例:マナ・コストを支払わずに裏向きで唱えることはできない。

  • 裏向き呪文/生物は名前やクリーチャー・タイプを持たない。

    • 裏向き生物同士は「同じ名前を持つ」扱いではない。クリーチャー・タイプも同様。

表向きにする

  • 裏剥き生物を表向きにするには優先権が必要だが、スタックは用いない。コストを払って宣言すれば即座に表になる。

    • 表向きにする宣言を聞いてから、表になる前に何かをすることはできない。

  • 偽装生物を変装コストで表向きにしてもよい。

  • 裏向き生物が表向きになったとき、それは「戦場に出た」わけではない。

    • 偽装したプレインズ・ウォーカーを表向きにすると、忠誠カウンターが置かれないため即死する。

  • 攻撃/ブロックしている裏向き生物が表向きになることで、クリーチャーではなくなった場合、それは戦闘から取り除かれる。

  • 裏向き生物が能力を失うと変装コストを参照できなくなり、変装コストで表向きにできなくなる。

  • 偽装生物が能力を失っても、(それがクリーチャー・カードであるなら)表面のマナ・コストを支払って表向きになれる。(偽装自体のルール定義により)

表面を公開する

  • 裏向き生物が戦場を離れる際、表面を公開しなければならない。これは「表向きになった」わけではない。

    • 公開領域(墓地、追放)に行く際はどのみち表向きで置かれるので、非公開領域(手札、ライブラリー)に行く際だけ注意されたし。 

  • 裏向き呪文が(裏向きのまま戦場に出る以外で)スタックから離れる際も同様。

  • 裏向き呪文/生物をコントロールしている状態でゲームが終了した場合も、同様にそれらの表面を公開しなければならない。

    • 【筆者注記】これらは「変装を持たないカードを裏向きにする」イカサマを防止することが目的と思われますが、偽装にも適用されるので注意しましょう。また公開を忘れてしまった場合はすぐにジャッジを呼んでください。故意でなければ【警告】の罰則で済むはずです。

事件

  • 解明完了するには、「あなたの終了ステップの開始時に解明条件を満たしている」必要がある。

    • 自ターン中に一旦条件を満たしても、終了ステップの開始時までに条件未達に戻っていたら解明完了できない。

    • 解明完了はif節ルールに従う。(ルール上の定義が「At the beginning of your end step, if [condition] and this Case is not solved, it becomes solved.」であるため)

      • 解明条件を満たしていない場合、そもそも誘発しない。

      • 誘発型能力の解決前に条件未達になった場合、解明完了できない。

    • 一度解明完了した事件は、戦場にあるかぎり解明完了したままである。後から条件未達になっても解明完了は維持される。

    • 「解明完了 ― [起動コスト]:[能力]」とコロンを含むものは、解明完了状態でのみ起動できる起動型能力を意味する。特に記載がなければ、インスタント・タイミングで起動できる。

      • 解明完了した瞬間にコストを支払わないと使えない、というわけでない。

    • 解明完了していることはコピーできない。

証拠収集

  • 「証拠収集 N」とは「あなたの墓地にあるカードを、マナ総量の合計がN以上になるように選んで追放する」ことである。

    • 「N以上」なので、必要以上のカードを追放してもよい。

  • 呪文や起動型能力のコストとして証拠収集する場合(「この呪文を唱えるための追加コストとして、証拠収集8を行ってもよい」「証拠収集3を行う:~」等)、呪文を唱える/能力を起動することを宣言してから証拠収集が終わるまで、対戦相手が何かをすることはできない。

  • 呪文や能力の効果により証拠収集する場合(「これが攻撃するたび、証拠収集3を行ってもよい。そうしたとき~」等)、追放するカードを選ぶのは解決時である。

  • 証拠収集0を行う場合、1枚も追放しなくてよいのか? それとも最低1枚は追放が必要なのか? リリースノートでは触れられていない。

    • 《緊急の検死》でトークンだけを対象とした場合に発生しうる。

公式カードギャラリーより、《緊急の検死》

容疑

  • 容疑をかけられているクリーチャー(容疑者と略す)は、「威迫」と「This creature can’t block.(このクリーチャーではブロックできない。)」能力を得る。

    • 能力によりブロック不能になっているので、すべての能力を失う等すると容疑者でもブロックできるようになる。

    • ただし、能力を失っても容疑が消えるわけではない。

  • 一人の容疑者に対して、容疑は多重にかからない。容疑者へ更なる容疑がかけられる場合、単に何も起きない。

  • 何人でも同時に容疑者にすることができる。新しい容疑者が出たからといって、既存の容疑者が潔白にはならない。

  • 容疑がかかっていることはコピーできない。

    • 容疑により得た威迫とブロック不能もコピーされない。

分割カード

  • スタック以外の領域にある分割カードは、両方の特性を併せ持つ。マナ総量は両方の合計値である。

    • 例えば、墓地にある《中止+停止》の色は白黒緑、マナ総量は2+6=8、カード・タイプはインスタントかつソーサリーである。

  • スタック上の分割カードは、呪文として唱えた方の特性のみ持つ。

    • 例えば、《中止》として唱えたのなら色は黒緑、マナ総量は2、カード・タイプはインスタントのみである。

公式カードギャラリーより、《中止+停止》

待機

  • ルール変更により、最後の時間カウンターが取り除かれたときに唱えるかどうかは任意となった。唱えない場合は追放領域に残ったままになる。

    • 統率者デッキの話だから、スタンダード/リミテッドには関係ないよ!

個別カード注釈の抜粋

《命狙いの逃亡者、エトラータ》

あなたがコントロールしていて裏向きであるすべてのクリーチャーは「{2}{U}{B}:このクリーチャーを表向きにする。そうできないなら、これを追放し、その後、その追放されたカードをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」を持つ。

Face-down creatures you control have “{2}{U}{B}: Turn this creature face up. If you can’t, exile it, then you may cast the exiled card without paying its mana cost.”

《命狙いの逃亡者、エトラータ》
  • 偽装されたインスタント/ソーサリーは表向きにできない(ので、代わりにタダで唱えることができる)。

  • 表向きにできるなら、踏み倒す事は選べない。

  • エトラータに限らないが、「マナ・コストを支払うことなく唱える」は代替コストである。他の代替コストは適用できず、追加コスト(例:証拠収取)は支払える。

  • 表向きにできない場合に追放するのは強制で、その後に唱えるかどうかが任意である。英文参照。

《カルロフの番犬》《近隣の守護者》等

あなたが3体以上のクリーチャーで攻撃するたび、ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。

《カルロフの番犬》

パワーが2以下でありこれでないクリーチャー1体があなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+1の修整を受ける。

《近隣の守護者》
  • これらはif節ルールではない。一度誘発したら、解決時に攻撃クリーチャーの数が3未満だったり、戦場に出たクリーチャーのパワーが3以上だったりしても強化される。

    • なぜif節ルールではないかと言うと、「~したとき/するたび/時に、~なら、~」(より正確に英語で書くと「When/Whenever/At ~, if ~, ~」)という構文ではないからである。

《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》

(前略)Xは、あなたがコントロールしていてちょうど2色であるパーマネン トの中の色2色の組の種類数に等しい。

《ギルドパクト、ニヴ=ミゼット》
  • Xは要するに「ちょうど青白の2色」「ちょうど白黒の2色」(中略)「ちょうど緑青の2色」のパーマメントの種類数である。

    • ギルドカラーを数えるのじゃ。

《クレンコの轟音砕き》

クレンコの轟音砕きが戦場に出たとき、各プレイヤーにつきそれぞれ、そのプレイヤーがコントロールしていて基本でない土地最大1つを破壊する。(後略)

《クレンコの轟音砕き》
  • 散々騒がれたとおり、この能力は対象を取らない(解決時に破壊する土地を選ぶ)。

    • なぜ対象を取らないかと言うと、「対象」と書いていないからである。

    • 【筆者提案】これを出して「対象は?」と聞かれたら「対象を取らない能力です」と答えるのが無難かと思います。対象という用語を使わずに「どれ壊します?」等と聞かれた場合は「解決に入っていいってことですか?」と確認してもよいし、単に「ミシュラ壊します」「ではその前に……」「いや、もう解決に入っていますので」とやってもよいでしょう。

      • 後者に対して「卑怯だ」「非紳士的だ」といった幻聴が聞こえますが、ルールやオラクルを把握していない側に非があります。REL競技とはそういうものです。

《ゴルゴンの口づけの事件》

解明条件 ― このターンに3枚以上のクリーチャー・カードがいずこかから墓地に置かれた。

《ゴルゴンの口づけの事件》
  • 墓地に置かれた後にクリーチャー・カードであるかどうかを見る。(「いずこかから」と書かれているため)

    • 例えば、偽装したソーサリー・カードが死亡したのはカウントせず、《帆凧の窃盗犯》により宝物化していたクリーチャー・カードを生け贄にしたのはカウントする。

    • トークンはカードではないため、カウントしない。

《切望の隼》

切望の隼が攻撃するたび、あなたがオーナーであるがコントロールしていないパーマネント1つを対象とする。それのコントロールを得る。

《切望の隼》
  • トークンのオーナーは、それを生成したプレイヤー(=最初のコントローラー)である。トークンを生成する呪文や能力のオーナーとイコールではない。

    • 例えば《狩り立てられた暴骨》により対戦相手に与えられた犬・トークンは、対戦相手がオーナーである。

《脱出トンネル》

{T}, 脱出トンネルを生け贄に捧げる:パワーが2以下であるクリーチャ  ー1体を対象とする。このターン、それはブロックされない。

《脱出トンネル》
  • (容疑とは異なり)「それはブロックされない」のは《脱出トンネル》の能力による継続的効果である。対象にしたクリーチャーが能力を失っても、それは依然としてブロックされない。

《罪なき傍観者》

罪なき傍観者が3点以上のダメージを受けるたび、調査を行う。

《罪なき傍観者》
  • 1/1のクリーチャー3体にブロックされた場合、これは(一度に)3点のダメージを受けるので、調査を行える。

    • ……はずなんだけど、リリースノートに明記されてなくてちょっとだけ自信ない。いやでもあってるはず。

    • そもそも2/1を1/1x3でブロックすることあります? いや装備品付いてたらありえますか。

《間の悪い爆発》

カード2枚を引く。その後、カード2枚を捨ててもよい。そうしたとき、間の悪い爆発は各クリーチャーにそれぞれX点のダメージを与える。Xは、これにより捨てられたカードの中のマナ総量の最大値に等しい。

《間の悪い爆発》
  • ライブラリーが1枚の状態で唱えた場合、1枚だけカードを引く。そのせいで手札が1枚以下だったなら、カード2枚を捨てることは選べない。

    • できない処理は可能なかぎり実行するが、できない選択肢はそもそも選べない。

    • そして《白金の天使》がいなければ、解決後に状況起因処理で敗北する。

~以上~

……実は《燃える仮面の事件》について説明しようとしたんですが、自分でも全然理解が及ばなかったので調べたり質問したりしてきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?