彼のピアスと彼の好きな音楽

彼に「ピアスを開けて欲しい」と頼まれた。
これはまだ付き合う前の話だ。

「ピアスを開けてもらった人の事は一生忘れれなくなっちゃうよ。私が開けていいの？」

「縁切る予定ない？」

「いいよ」

そういうから、あけたの。

きっともうすぐ、別れちゃうね。
ピアスを通す時に毎回とは言わないけど、
飲み会でピアスの話になる度に、
私のことを思い出すだろう。

誰にあけてもらったのか、1度は思い出す。
なんせ身体に穴があくのだから。

元カノとの思い出の場所みたいに、誰かと上書きできるものではないのだから。

ずっと頭の片隅にあるといいな。

振った側なのに、わがままでごめんね

それほど信じてたんだよ。

彼は、「Mr.ふぉるて」という邦ロックバンドグループが大好きだった。

沢山、音楽を教えてもらった。
私も好きになった。

聴く度に、彼を思い出すから、
最後まで、音楽が聴けない。

私の心に穴があいた。
あー頼んでないのに。笑

きっと、もう上書きできないね。

私にとって、音楽はピアスと同じだった。