見出し画像

2021ヘレステストまとめ：風聞〜イタたわGP Vol. 328

風聞〜イタたわGP（ウェブ版）

コンテンツ目次

【イタたわGPまくら話】
2022年モトGPにおける技術チェックシステムの改革について

【2021ヘレステストまとめ】
●ヘレステスト概要
・もっとも大きな歩みを見せていたのはホンダ
・指標マシンはドゥカティ
・ザマーニ記者による『ヘレステスト出来高ランキング』

●ドゥカティ
・新カウルが注目株！
・なぜ他メーカーはドゥカティのエアロダイナミクスを越えられないのか？
・8選手もいるとマシン開発は有利なのか？
・ロッシがドゥカティ機を試乗する可能性は本当にあるのか？

●ホンダ
・どの選手にも乗りこなせるようなマシンを作っているようだ

●スズキ
・両選手とも明らかに満足！

●KTM
・謎のメーカー、おそらくエンジン＆電制システムを改良しているはず

●アプリリア
・ヴィニャーレスが諸刃の剣になるかも…

●ヤマハ
・ヘレステストのヤマハは、苦戦しているメーカーだった
・なぜヤマハは苦戦しているのか？
・ヤマハは職人仕事を辞めるべき

皆さん、こんにちは。
イタリアから管理人のラ・キリコです。

早速ですが…
12月も『note』1本、160円となります。
今月はヘレステスト/ロッシ関連の2本発刊と言うことで…
まぐまぐの定期発刊の料金と合わせるため、こちらの料金となります。
すみません。


2022年モトGPにおける技術チェックシステムの改革について

11月末に、ジョヴァンニ・ザマーニ記者（イタリア衛星放送『SKY』レポーター）が、来年のモトGPでの『技術チェックシステム』が変わるって記事を書いてたんですが…

ほら、2020年にヤマハが、エンジンバルブ問題で処罰されてたじゃないですが…
ああ言うのを事前に防ぐために、チェックシステムをもっと厳しくしようってことでして…
こんな感じです。

《2022年の世界選手権は、技術チェックシステムがさらに入念なものとなる。つまり、より経費がかかると言うことだ。

2020年にヤマハが（エンジンバルブ問題で）処分を受けたようなケースを避けるべく（とは言え、異なる2メーカーのエンジンバルブを使用して言たわりには、かなり軽い処罰で済んでいたが）、『スタンダードチェック計画』が導入され、特定のコンポーネントだけではなく、使用されている各マテリアルの検証も行われることとなった。

ダニー・アルドリッジ氏（世界選手権のテクニカルディレクター）によれば、F1でさえ使用されていないような精密かつ経費のかかったシステムであるとのこと。
エンジニアのジュリオ・ベルナルデッレ氏も、
「実のところ、これと似たようなものは思いつかない」と話している。

画像1

この新たな技術チェックシステムはまだ正式に承認されたものではなく、おそらく、2022年のカタール開幕戦で承認されるものと見られている。
つまり、各メーカーがシーズンを通して使用していくエンジンの認定を受けるため、見本を提出するタイミングである。

この来年から導入される新チェックシステムでは、異議申し立てや点検の必要が生じた際は当該エンジンを異なる2ヶ所の大学に送り、各種コンポーネントのサイズやマテリアル、硬度、構成パーツ等も検証されることとなる。

各コンポーネント一つ一つの分析が必要な場合は、当該エンジンは分解されることとなり…
つまり、提出された見本エンジンは損壊され、使用不可能になると言うことだ。

ベルナルデッレエンジニアは同チェックシステムにおける問題点を、次のように推測している。
「異議申し立てがあった場合、サイズのチェックだけでは済まず、各マテリアルのチェックも行われるわけだから、かなり経費がかさむことになるでしょうね。
つまり、経費を抑えようと言うレギュレーションの姿勢に逆らうわけですよ…硬度やマテリアルの組み立てのほか、全体的な特性のチェックが行われるのですから。
要するに、コンポーネントは分解され、各所のマテリアル見本が採取され、同一であるかどうかが検査されると言うことです。
各メーカーは、分解されることを前提に新エンジンを提出しなければならないのですよ。」

このようなチェックシステムを使えば、今後、ヤマハに起きたような『事故』はなくなるだろう。

ただ、ベルナルデッレエンジニアは、ある点について疑問を感じていると言う。
「レギュレーションをきちんと遵守させるような、技術機関が存在してないのですよ。
まぁ、レギュレーションそのものをもっとシンプルにし、遵守しやすくすれば良いのでしょうけどね。」》


おっと、では、本編の方を始めますか。

今回はヘレステストまとめってことで…
現地入りしてテストを観察してきたザマーニ記者の報告を中心に…
ベルナルデッレエンジニアの解説・分析を添えております。

まぁ、どうぞ、どうぞ。

ここから先は

11,336字 / 7画像

¥ 160

頂いたサポートは、新たな健康食品を購入する費用にさせていただきます。これで、また頑張りますね！