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アートのみかた

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図工や美術の授業が少なくなる日本。ですがどうやら世界では、サイエンス重視の意思決定では不十分だと感じ美意識を鍛える上位層がいるようです。このブログは、歴史上の偉大な画家たちをテー…
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#西洋美術史

【アートのミカタ29】ジョット Giotto di Bondone

【概要】暗黒時代の巨匠 何世紀も失っていた芸術に再び日の目を見せたフィレンツェの輝き。 そう賞賛したのは14世紀の小説家ボカッチィオです。(『デカメロン』というインパクト大のタイトルを書いた人) 現代の私たちにとってもっとも難解な芸術の時代であると言っても過言ではないかもしれません。なにせこの中世時代に描かれた絵画には、現代には見慣れてしまった写実性や内容の意味深さを全く感じられないからでしょう。 しかしこの中世(あえて暗黒時代と使いましたが)において、ジョットの存在はと

【アートのミカタ27】クリムトGustav Klimt

【概要】エロい女と金ピカ装飾前回、モローのという画家の紹介に「ファム・ファタル(悪女)」の話に触れました。今回題材とするグスタフ・クリムト(1862-1918)もまた、ファム・ファタルをテーマに掲げた作品が目立ちます。 クリムトの作品は、女性自身はとっても写実的に描かれている反面、装飾や背景がとっても平面的です。これはモローの時にも似たような感覚がありましたが、クリムトとモローの違いといえば、何と言ってもこの豪華な装飾です。 ユディト(1901) この作風に至ったウ

【アートのミカタ26】モローGustave Moreau

【概要】悪女の達人モローという画家を語るには、「サロメ」について語る必要があります。 何故ならこの神話に登場する、どちらかというと母親にそそのかされた慎ましやかな娘が、モローの手によって悪女へと堂々イメチェンを果たしたからです。 サロメとは(詳しくはリンク先をご覧ください。) 洗練者ヨハネにイビられた女性が、腹立たしさの末に「あいつの首チョンパしたいわ」と娘に告げて。その娘(サロメ)が本当に皿に男の首持ってくるというエピソードがあります。 西洋絵画は得てしてあまり喜怒哀

アートのミカタ全集

美術が好きだけど苦手意識のある人に向けて、芸術の本質を書きながら解説していく【アートのミカタ】。 毎週書き溜めていますが、今回は目次としてご活用いただけるような記事を作成します。(随時更新) 年代順:現代 年代順:20世紀

【アートのミカタ】ジョルジュ・ルオーGeorges Rouault

【人物像】20世紀最大の宗教画家宗教画家と聞くと、無宗教の多い日本ではあまりメジャーな画家ではないかもしれません。 実際、「日本人が好きな画家ベスト5*」では、ルオーとは相反して印象派の名前が多く挙げられていました。 ルオーとは、そんな日本人が好きな印象派と同時期・同地域で活躍したアングラ画家だと思ってください。 キリストを正面から描いた代表作「聖顔」は数十点も残され、また銅版の連作「ミセレーレ」は圧巻です。 19世紀末20世紀初頭は、何と言っても大印象派ブームでした。