カフェオレを飲みに来て

手紙を書かなくなってどのくらいになるのかと考えていました。
日本という国は煩わしいことが多く、その分楽しいことも(安易な間に合わせではあるものの)いっぱいで、その簡単で気楽な楽しみの中で気まぐれに遊んでいるうちに随分と時がたっていました。
どうあれ、自分自身の内面の変化を受け入れてはいるつもりです。
それでも時折、何かの拍子に思い出すあなたと暮らした浮遊空間の記憶が心に安らぎと苦痛を与えてくれたりもしています。
場所や時間は繋がりを持っているのですね。
決してワープなどしていないのです。

ある友達と話していて。
その子は昔、彼女からもらったいくつかの手紙を燃やしたことがあり、その理由は別れの未練を断ち切るためだとか。
手紙が燃えるシーンを想像して、せつない小説のストーリーを思いついたような気分になったのでした。
「恋文を書く女」「恋文を燃やす男」
フェルメールの絵画の題名のようでしょ。
手紙って受け取った人に所有権があるのは当然だけど、書いた側には何の権利もないものなのかな?
破棄するには双方の同意が必要、みたいな。

ついに一人暮らしを始めることにしました。
広くて天井の高い気持ちの良い家を見つけることが出来たのでまた機会があればカフェオレでも飲みに来てね。

[恋文]


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