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ミャンマー旅行記⓪ 基礎情報編

この記事は、僕が行ってきたミャンマーについて、基本的な情報を紹介するページです。旅の内容を書くというよりは、その旅のことを書いたページから随時参照してもらって、出来るだけ本編をスッキリ見やすくしようという目的で作っています。なのでイントロもそこそこに始めます。

● ミャンマーの場所は?
ミャンマーは、東南アジアの国です。タイの西、インドやバングラデシュの東にあります。

● 「ミャンマー」「ビルマ」どっちなの?
かつてミャンマーはイギリスの植民地だったのですが、その際の呼称が「Burma」。これを日本人はビルマと呼んだのですが、英語では"ur"を

ǝ:r 

という発音をしますので、”バーマ”の方が比較的近い発音だと思います。

で、1989年に呼称を「Myanmar」に改めたのですが、国際的には「Burma」表記のままの国やマスコミもありますので、どっちも使われている感じですね。ただ現地人に”ビルマ”と言っても通じないかも。

てなこともあって、地名もその際に多くが改められています。主要都市ヤンゴンは、かつてのラングーン。都市によってはGoogleMapも旧表記だったりして、結構探すのが難しいです。ご注意。

● ミャンマーは安全?
治安という面では、基本的に安全と思っていいと思います。
もちろん、どこの国でも危険はありますし、外国で事件に巻き込まれると大変です。しかし、今回の旅で危ないと感じることは全くありませんでした。

但し、ミャンマーは外国人が入域できるところが制限されています。また、テロが起きている地域もあります。大規模な麻薬の生産を行っている地域もあります。キチンと情報を入手して、危ない、行くべきでは無いと言われているところには行かないことが重要です。

特に行くべきでない(事実上行けないはず)のは2つ。

・ラカイン州の最西端にあるマウンドー県(バングラデシュとの国境近く)

ここは、現在世界的に問題となっているロヒンギャが居住している地域。ロヒンギャ問題は後で書きますが、気安く観光するような場所ではありませんし、日本の外務省も渡航中止勧告を出しています(2019/5/7現在)。

・シャン州のコーカン自治地帯、カチン州ライザー付近

国軍と反政府組織との戦闘が時折発生しており、地雷も存在しています。シャン州やカチン州自体、これといった見どころがあるわけでもなく、わざわざ危険を冒して行くようなところではありません。

また、ミャンマー最東部のラオス、タイとの国境地帯は「黄金の三角地帯」と呼ばれ、麻薬の原料として知られるケシの栽培が盛んな地域です。政府も栽培禁止令を2002年に出していますが、十分な成果は挙げられていないようです。やはり、行くようなところでは無いでしょう。万が一、知らずに麻薬の運び人にされた場合、国によっては死刑になります。上と同じく、危険を冒してまで得るものなどありませんので立ち入る必要は無いでしょう。

が、基本的に人はすごく優しいし、強引な押し売りも無かったですし、普通に旅行してる限りでは普通に1人で街を廻れると思います。

● 言葉は通じる?
当然ながら日本語はほぼ通じません。で、英語ですが基本的に大丈夫だと思います。こんな田舎でも?という村の人でも英語なら通じました。まぁ旅行者がコミュニケーション取るくらいの簡単な会話なら、英語で困ることは無いと思います。

但し、街の表記は首都のヤンゴンで半分くらいがミャンマー語、地方だと8割です。ミャンマー語は英語や中国語とも全く違い、文字も独特ですので、それらを知っている方が応用で理解することもできません。

● 物価は安いの?
東南アジアの大半の国が、日本と比べると物価安だと思います。例に漏れず、ミャンマーの物価もかなり安いです。ミャンマーの通貨は「チャット(kyat、略称K)」と言いますが、1Kが日本円で0.073円(2019/5/7現在)。ざっくり計算したいときは、消費税額とだいたい同じと考えましょう。たとえば1,000円なら消費税8%(2019/5/7現在)なので80円。つまり1,000Kはだいた80円くらい、といった計算。計算がラクなのでこれで本記事も換算します。実態はその換算額よりも安い、と思っておいてください。

ちなみに昨年のレート、ここ数日のレートの動きを見ていると、円高が少しずつ来ているようです。となると、皆さんが旅行を計画する頃にはさらに物価安と感じるかもしれません。

で、1,500チャットあれば麺料理の軽食が食べられます。ペットボトルのコーラが500K(≒40円)、ショーも楽しめる、明らかな観光客向けの高級レストランがディナー30,000K(≒2,400円)、タクシーに1時間乗って8,000K(≒640円)、ロンジーというスカートのような民族衣装が9,000K(≒720円)といった感じ。

僕は4泊6日で、かなり節約せず使った感覚ですが、宿・飛行機を除いた現地で落としたお金を集計すると、日本円だと15,000円行きませんでした。換算すると20万Kほどですから、平均賃金が月8,000K(≒640円)のこの国では、僕はこの旅行で現地人の2年分の給与を1週間で使ったということになりますw
(ただ、所得格差が大きな国なので首都のヤンゴンでの統計を使うとここまではいかないでしょうけど)

あとチップですが、不要です。ただ、そもそもお釣りがアバウトです。というのも、100K以下の紙幣は今回見てません。硬貨も。外税なので100K以下の端数が出る時があるんですよね。で、そんな場合の端数はカットされたりします。ま、100Kで8円ですので、チップだと思ったらこんな安上がりなことはないと思って、気前よく行きましょう。

● 暑いの?
暑い!暑いさ!
ただ、僕が行ったのは一番暑い時期です。GWはミャンマーが一番暑い時期なんです。オススメは10月~2月。この時期はミャンマー最大の見どころでもある、バガン遺跡を気球で見るアクティビティがオススメです。夏の時期は気温こそ下がるものの、雨季のためオススメしません。

ただ、主要な観光地であるインレー付近は標高があり、多少涼しいんだそうです。今回僕は行ってないので聞いた話ですが。

● 交通事情は?
基本的にはバスとタクシー、遠距離は飛行機もありといった感じです。ヤンゴンの場合、空港と市街地を結ぶのは路線バスがありますが、なにせ物価が安いのでタクシーにしました。上記の通り8,000Kほどです。また、空港近くにある高速バスターミナルは、早朝から深夜バスまで高速バスが走っています。

ここも市街地から8,000Kほど。また、通勤退勤ラッシュによる交通渋滞が凄いので、早朝や深夜なら40分程度で着きますが、時間によっては1時間かかりますので余裕を持って移動しましょう。高速バスは、地方の観光地であるチャイティーヨーやバガン、マンダレー、インレーなどにも向かいます。安く弾丸旅行をしたい方はこれらを活用すると、驚くほど安く旅が出来ると思います。片道4時間のチャイティーヨーの場合で5-8,000K(≒400~640円)です。

昼間は熱いので、試しに15分歩いたら後悔しか残りませんでした。帰りは同じ道が1,000K(≒80円)くらいでしたからねw

鉄道はありますが、あまり早くも無いしダイヤも適当とのことなので、移動手段としてではなく単に鉄オタとしての好奇心を満たす目的で使いましょうw

そして飛行機ですが、夕方の飛行機はよく遅れます。夕方発の飛行機でタイトな時間の乗り換えは危ないです。僕の場合、激しいスコールで出発が1.5時間遅れました。また、最終便はよく遅れるんだそうです。

● 両替は?
出来るんですが、個人的にはデビットカードやクレジットのキャッシング枠を使うことをオススメします。理由は、まず円→チャットへの両替はかなり限られるということ。日本で一回ドルに替えて、それを両替するのが堅実です。ちなみにシンガポールドルやユーロも両替出来るようです。

しかしその場合も含めて最大のリスクが「新札、というかキレイなお札でなければ両替してくれない」ことなんです。日本でドルの新札なんて簡単には手に入らないし、これは聞いた話ですが空港なら手に入るって話なんですけど、空港の両替ってレートも悪いですからね。。。

ガイドさんによると、キレイなお札でないと両替してくれないという噂は「本当」。銀行が受け取ってくれないから、両替商も受け取らないのだそうです。

で、ATMはあちらこちらにあります。24h稼働。これはこれで「カードが詰まったらその銀行に行って手続きが必要なのでキッツイ(Byガイドさん)」という問題はあるものの、都会であるヤンゴンは言うに及ばず、地方都市のバガンでも空港やホテル、観光客がよく来るレストラン等にありました。もちろん、出来る限りヤンゴン空港やヤンゴン市内など、トラブルがあっても対処しやすい場所で引き出した方がいいと思います。

但しATMの会社によっては、引き出せる最低額が10万K(≒8,000円)の場合があります。滞在日数と相談してうまく調節したり、他の会社のATMを試してみるなりしましょう。で、この場合も念のためのバックアップとしてドル札を日本で調達しておくといいでしょう。僕は結局使いませんでした。

ちなみにクレジット決済ですが、日本と同じくらいの浸透率ですね。使えないこともよくあります。JCBはやはり少なめ。やはりVISAとMasterを用意しましょう。

あと、結構米ドルが使える店が多いです。観光客向けのお店やホテルなどでは値付けがドルで行われています。が、やはりキレイでないと使えないので、ちょっと現実的では無いかな・・・

● トイレは?
まぁそれなりにあちこちにありますが、男性の小はともかく大&女性は地方でのトイレには注意。都会ならまぁ大丈夫。で、田舎だと個室に明かりが無かったり、貯水槽に水が溜まってなかったり。早め早めにトイレに行って、ここではちょっと・・・と思ったらガマンして次で確認、という感じかなぁ。

また、独特なのが、たまにウォシュレットの代わりとして、手で持てるシャワーが使えるところがあります。この左奥にあるヤツ。

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レバーを引くと水が出るんですが、自分で位置を調節するので練習が必要です。

なのでオススメは。まずホテルにチェックインしたら、”本番”が来る前にトイレで練習しましょう。服は全部脱いでください。そうしたら”事故”が起きても無問題!w

なお、紙は流さないが正解。ゴミ箱に捨てます。

● 寺院観光のルールは?
靴・靴下を脱いで裸足になります。バガンだと、日中はかなり熱い場所があるので辛い!
また、短パンやミニスカート、肩が出る服などは注意。そもそも日差しが強いので、そういう服自体避けた方がいいでしょうが、肌の露出が多いと入域を拒否されることも。場所によっては一時的にストールを貸してくれたりもしますが。

● 水は飲める?
基本的に飲めないと思った方がいいでしょう。ペットボトルの飲料を買いましょう。安いですし。寺院などでは参拝客用の水がめがあるのですが、危うきに近寄らずです。

● 電力事情は?
よく停電すると言いますが、今回僕は喰らいませんでした。まぁでも、旅の途中で会った方も喰らったらしいので、それなりにあるようです。

軍事政権時代に中国の支援を受けて建設することになったミッソンダムは、民政移管と地域住民の激しい反対もあって建設中断中。環境アセスメントを行ったところ、ミャンマーにとっての母なる川とも言えるエーヤワディー川の流れを広範囲に変えるおそれがあるとのこと。しかしこれからも増加し続ける電力需要に対して、ここで見込んでいた水力発電プロジェクトが停滞するのは痛いところでもあり、今後も動向が注視されます。

● 食事は?
ガイドブックに載っているようなレストランも、結構遅くまでやっているところがあります。ただ、予約しないといけないところもあるようなので注意。また、上記のレストランでもいくつかは閉店してましたので、行きたいと思ったら存在確認のためWebをチェックしましょう。だいたいGoogleMapで検索すると、閉店したことが把握できます。但し地方は外食の文化があまりないためレストランも少ないです。ホテルのレストランなどを使うことをオススメします。超高級リゾートホテルでもファミレスくらいの金銭感覚でゴハン食べられますから。

● これは持っていけ、というものは?
サンダル - 寺院は靴/靴下を脱いで入ります。着脱が簡単なサンダルで寺院巡りしましょう。
ビニール袋 - その靴を入れて移動します。
雨具 - 結局雨に見舞われず使いませんでしたが、スコール来たら凄いので出来れば合羽を。
サイフ2つ - チャットは全部お札です。大量の紙幣を持ち歩くので1つだとパンパンになるかも。
小型扇風機 - ハンディタイプ。これ持ってきてた方がいて、最高やんと思いました。僕もポチった。
胃薬・下痢薬 - おかげさまで使わず。でも脂っこい料理が多いので持っていきましょう。
ウェットティッシュ - 寺院を出る時に足を拭くためです。
帽子 - 日差し強いですからね。日焼け止めも同じ理由で。
虫よけ - バガンはハエが多かったんですよねー。

あとは一般的なものですね。ちなみに小銭を使うことは全くありませんので小銭入れは不要。それから変換プラグ(コンセントの口が合わないのを調節するもの)ですが、今回不要でした。日本のプラグがそのまま使えました。

● ミャンマー人とは?
ミャンマーは多民族国家です。中心はビルマ族。しかし主要な民族が8つあります。かつて、イギリスは植民地統治を円滑にするため、多数派であるビルマ族を少数民族が警察として取り締まるようにさせました。そうすると、民族間の心理的対立が深くなり、一緒になってイギリスから独立を勝ち取ろうという機運が出にくいというわけ。こうした過去があるため、ミャンマーにとって民族間の融和は進んできてはいるものの、一部では根深い問題として残っているとも言われます。

また、ミャンマー人はファミリーネーム、つまり苗字がありません。有名なアウンサンスーチーさんも、父アウンサンと、祖母のスー、母のキンチーからそれぞれ取った名前なのだそうです。

また、殆どが上座部仏教を信じており、10歳頃に短期間の出家もするそうです。実際、バガンではよくそれくらいの年頃のお坊さんを見ました。

仏教の教えを背景に、人助けをすると自身の功徳が積まれるという考えなので、凄く親切です。これこそが、僕がミャンマーをオススメだと思う最大の理由!

僕は基本的に一人旅が好きなので今回も一部のオプションツアーを使った以外は一人で行動したのですが、だからこそ周りの人が親切だと本当に助かります。

● ミャンマーの政治状況は?
ミャンマーは、太平洋戦争を終えて1948年にイギリスから独立しました。その後、幾度かのクーデターを経て長く軍事政権が続くとともに、20年くらい、実質的な鎖国状態が続きました。

民主化運動の中心的人物であるアウンサンスーチーは、1948年の独立で活躍した「建国の父」であるアウンサン将軍の長女。軍事政権時代に長年の自宅軟禁状態に置かれながらも、民主化を勝ち取り総選挙で圧勝し、2015年から政権を運営しています。

しかし軍の影響力は排除されたわけではなく、議会の1/4は軍が指名します。そして、憲法改正には3/4以上の賛成が必要。つまり、憲法改正は軍の承認なしに行うことは出来ないわけです。

アウンサンスーチーの肩書は「国家顧問」。これも、憲法が事実上スーチーさんを狙い撃ちにした”大統領になれない規程”を作っているための回避策です。スーチーは旦那さん(死去)がイギリス人で、息子さんもイギリス国籍。配偶者や子が外国籍のものは大統領になれない規程なのです。実質的にはスーチーが大統領としての役割を担っており、国際的にもそう認知されています。

● ロヒンギャ問題とは?
ミャンマーの最西端、ラカイン州のさらに最西端、バングラデシュとの国境に近い地域には、多くの”ロヒンギャ”と呼ばれる人たちが住んでいます。しかしこの人たちはミャンマー政府からは”バングラデシュからの不法移民”という扱いを受けており、国民として認められていません。国際的にも、彼らが民族なのか、同一宗教を信じる集団なのか、ロヒンギャの定義は定まっていません。

彼らは戸籍も無いため、統計の信憑性が低く実態が十分に把握できていません。”不法滞在者”であるため移動の自由も認められていません。いわゆる人権と言えるものがほぼ与えられていません。

そして特に注目を浴びることになったのが、2016年に国連が、深刻な「人道に対する罪」である”民族浄化(ethnic cleansing)"が行われようとしていると非難した件です。

民主化を勝ち取ったカリスマであるアウンサンスーチーも、この問題にはなかなか正面から取り組もうとはしません。その背景には、色々な理由が考えられます。
・アウンサンスーチー自身も軍の影響力を排除できているほど権力基盤が安定していない
・民族間対立が元々存在し、特にイスラム教徒が殆どのロヒンギャに対し他民族は悪感情が強い
つまり、国内的にはロヒンギャに人権を与えるような措置が求められていない中、無理をしてリーダーシップを発揮できるほどの強い政権では無いという状況であるために、この問題がなかなか解決に向かわないということなのだと僕は思っています。

といったところでイントロは終わり。いよいよ次の記事から、旅行本編に入っていきます!

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