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私が旅に出る理由@caelum_555

ラブソル旅部、小川です。

先週土曜日からオンラインサロンの箕輪編集室のイベントに参加するため、カンボジアにきています。カンボジアに来るのは今回で2回目ですが、次回来るときはもっと長く滞在したいと帰国前から思っているほど、カンボジアが気に入っています。

今回、イベントプログラムの一つに、ジャパンハートさんの病院見学がありました。ジャパンハートの名は、2006年ごろ初めて耳にしたと記憶してて、国境なき医師団のような医療活動を日本人医師の吉岡さんを中心にアジアを拠点として行っているくらいの認識しかありませんでした。毎月本当に少額ではありますが、10年ほど国境なき医師団には寄付を続けていて、あまりにも日常に溶け込んでいたこともあり、今回の病院見学をきっかけに何か直接できることが見つかるまでひとまず寄付を始めようと思ったのが寄付のきっかけだったと思い出しました。

ジャパンハートは、公立病院ポンネルー病院と併設されています。公立の病院とはいえ、国が検査に必要な機材を整えてくれるわけではありません。最初はカルテの習慣もなく、カルテ導入当時はとても混乱したそうです。そもそも、医療従事者といえば、医師、看護師、助産師の三つくらい。医療現場に「事務」を行う人がおらず、看護師さんたちが持ち回りで担当してたそう。私たちが普段享受している医療は、かなりの高水準であることを改めて認識させられます。

カンボジアは、内戦のせいで医療も教育も崩壊しているため、医師を育てる指導者が十分にいません。カンボジアは医学部が4校あり、そのうち2校は比較的新しく、卒業生がようやく出る頃とのことでした。一学年が約400人程度とのことだったので、全ての医学部から卒業生が出てようやく1,600人の医師が毎年生まれることになります。しかも、かつて統治されていたフランスから派遣された医師が授業を行ったり、専門医の資格取得にはフランスに留学する必要があるとのことでした。

ちなみに、日本は各都道府県に少なくとも1校は国公立の医学部があり、定員はどんなに多いところでも100人程度。これに加えて、私立の医学部もいます。医師国家試験の合格者数だけみても9,000人を超えています。しかも、カンボジアのように内戦で失われた世代(ちょうど後進の医師を指導する世代)がいない状態でもありません。もちろん、カンボジアの人口は1,601万人に対し、日本は1,268億人。さらには人口構成比も違うので単純に比較はできませんが、明らかに医師数は不足しています。ただ、現在、いわゆる高度経済成長期にあるカンボジアでは、貧富の差もあり、社会保障制度が整っていないため、手術を受けることで家庭崩壊に繋がることもあります。さらには識字率も日本ほど高くはないので、まだまだ医療が日常に溶け込んではおらず、医師や看護師の数を増やすことが医療の問題解決に即つながるとは言えません。

ジャパンハートでは、医療の届かないところに医療を届けることを理念として掲げていますが、医療を治療だけでなく、関わる人の人生の質を上げる作業と考え、医療はもちろんのこと、子供達の教育や社会の仕組みの問題も解決しようと挑んでらっしゃいます。


今回の訪問を通じて、直接治療する資格は持っていない私でも、金銭以外で何かしら貢献できることがあるのではないかと見学しながら感じました。これが、日本にいながらの報告会やネット情報だとこうは思えなかったかもしれません。自らの目で見て、直接聞いて、それを肌で感じる、そんな一次情報の大切さを毎回の旅で実感しています。

今回、見学時に手術室の前を通ったのですが、最低限の機器はあるものの、医師の人数的に麻酔科医はいないのではと質問したところ、カンボジアでは麻酔看護師の制度が導入されているとのこと。ジャパンハートに勤務する看護師さんも近いうちに資格取得のため学びにいくそうです。これはここに来ないと知り得なかったことです。

他人の旅日記を読むのもとても楽しくて好きなのですが、何かの縁でこのnoteを読んでくださったみなさんには、ぜひ2020年旅に出てもらいたいです。私が感じる何かとはまた別のことが感じられると思うからです。旅の行き先の候補には、カンボジアをお忘れなく。もちろん、私の旅は来年も続きます。

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LA BOUSSOLE 旅部
ゆきえ  Twitter

撮影:でらみ

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