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【考察記事】電力使用料金の地域格差と工場誘致について考える

おはようございます。本日は電力と工場誘致に関する考察記事です。

半導体製造企業の工場誘致・新設

半導体はまだ世界的に不足傾向で、IoTの進展や自動車のEV化などに加えてAIや自動運転の本格化により、今後も需要増が続くものと想定されます。
半導体の確保が経済安保の命題の一つとなる中で、日本においても半導体製造工場誘致が至上命題となっており、国策による海外企業の工場誘致や国策企業による工場新設などが進んでいます。
最近では以下の2案件が大きなトピックスでしょうか。

① 熊本県菊陽町×TSMC

  • 半導体ファウンドリー(受託生産)の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の半導体製造工場を建設。

  • 第一工場はソニーグループと共同で新設。国が約半額(最大4,760億円)を助成。2024年末に稼働予定。

  • 第二工場も周辺に建設する見通しで、総投資額は1兆円を超える。

② 北海道千歳市×Rapidus

  • 日本の主要8社(トヨタ自動車やNTTなど)が出資して設立した「Rapidus(ラピダス)」が半導体製造工場を建設。23年9月に着工予定で、25年1月の完成を目指す。国が3,300億円を助成。

  • ラピダスは「2ナノ」と呼ばれる最先端半導体を20年代後半に量産することを目指している。

①②どちらも、設備投資による関連企業の収益増、雇用の創出、インフラ整備や周辺エリア開発促進など、地域に大きな経済効果をもたらします。
新卒給料も相当良い条件になるようで、①では周辺の製造業の雇用が難しくなったり、②では地元の千歳科技大にスポットが当たったりしていますね。

なぜ、北海道と九州なのか?

これは色々な条件が重なって菊陽町と千歳市が選ばれたわけですが、最大の要因は「電気使用料金が安いから」と言われています。半導体製造は製造過程でめちゃくちゃ電気を使うので、電力料金がそのまま製造コストに跳ね返るくらいのインパクトがあるようです。

電力会社からすると工場向けの電力契約は薄利なので、新設工場向けに特別料金を提示するようなことはないようなので、そもそも電気代が安い九州エリアは特に工場新設の際に選ばれやすいようです。
九州は原子力発電所が複数稼働しているのと、野立ての太陽光がたくさんあって年数回出力規制されるくらい。北海道も太陽光は多いのですが、泊原発が止まっているので、九州の方が電気代は安いようです。

<参考> 23年6月の電気料値上げ記事

記事を見ると、7社値上げ、3社据え置きで、北海道電力は値上げで、九州電力は据え置きですね。

ウクライナショックや再生可能エネルギーシフトの中で、電気代の高騰は世界的な流れで各種コストアップの主要要因となっていますので、今まで以上に電気使用料金が安いことが地域活性化をもたらす可能性があるということだと思います!



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