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NEW TYPE

 Reference『NEWTYPE ニュータイプの時代』山口 周 ダイヤモンド社

これまで高く評価されてきた、従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い、いわゆる「優秀な人材」は、今後「オールドタイプ」として急速に価値を失っていく。 

 一方、このようなオールドタイプに対置される、自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材=「ニュータイプ」が、今後は大きな価値を生み出し、評価され、本質的な意味での「豊かな人生」を送ることになる。


望ましい人材要件は「社会の構造やテクノロジー」によって規定される。

1. 飽和するモノと枯渇する意味

物質が飽和し「今日を生きる」のに大きな心配がない状況。一方、「何のために生きるのか」という意味は枯渇している。「役に立つモノ」を生産し続けようとするオールドタイプは価値を失い、「希少な意味」を生産するニュータイプは価値を生み出す

2.問題の希少化と正解のコモディティ化

モノが過剰になり問題が希少化してくると、「問題の解決」よりも「問題の発見」がボトルネックとなる。問題解決者の価値は減り、課題設定者の価値が増える

3.クソ仕事の蔓延

実質的な価値や意味を生み出すことのないクソ仕事。目的や意味を明確化することなく、ひたすらに生産性を求めて量的成果を追求するオールドタイプ。仕事の目的、仕事の意味を形成し、本質的な価値を言語化・構造化できるニュータイプ。

4.社会のVUCA化

Volatile(不安定)、Uncertain(不確実)、Complex(複雑)、Ambiguous(曖昧)

VUCA化によりもたらされる代表的な価値の変化

①経験の無価値化・・・環境が変化していくため、過去に蓄積した経験が無価値していく。

②予測の無価値化・・・専門家の予想的中率は50%、つまりコイン投げと同じレベルで誰も未来を予測することはできない。

③最適化の無価値化・・・現時点での環境に最適化すれば、環境変化時に時代遅れになる。

5.スケールメリットの消失

①限界費用のゼロ化 ②メディアと流通の変化 

によりスケールメリットが消失

スケールメリット・・・大量に生産すればするほどコスト(限界費用)が小さくなること。規模の経済ともいう。

6.寿命の伸長、事業の短命化

近い将来、人間の寿命は100年になる。

企業の平均寿命は半年前の60年から20年に。

問題が少なく、解決能力が過剰な時代。

問題を、「望ましい状態と現在の状態が一致していない状況」と定義すると、望ましい状態を描く「構想力」が衰えていることによって問題が希少化していると考えることができる。

未来予測は原理的に不可能。未来は予測するものではなく、構想し、自分たちが創るもの。

モチベーションの希少化・・・リクルートキャリアによる「働く喜び調査」では「働く喜び」を感じている人は全体の14% 仕事を「KPI」で管理するのではなく、仕事に「意味」を与えることでモチベーションを引き出す。

人の能力は、リーダーに与えられる「意味」によって変わる。能力は静的なものではなく、動的なものであるため、文脈によって大きく変動する。

「意味」を引き出すニュータイプの能力が組織の競争力を左右する。

これまでは「メディア」と「流通」により「スケールメリット」が生まれていたが、同質化によりスケールメリットが消失した。

「ローカル×メジャー」から「グローバル×ニッチ」へ

市場の多数派に対してマーケティングし、同質化するオールドタイプに対し、ニュータイプは、まず自分が作りたいものに「フォーカス」し、グローバル市場に対する貫通力をもって「スケール」を獲得する。


「役に立つかどうか」という軸では負けるので「意味があるかどうか」という軸で戦う。

役に立つとは「機能的」であるということ。意味があるとは「情緒的」「自己実現的」であるということ。

「役に立つ」より「意味がある」ほうが高く売れる。

「意味がある」市場では多様性が生まれる。

例)コンビニのたばこ。役に立たないけれど、意味がある。多様性がある=いろいろな銘柄のたばこがある。

テクノロジーやデザインは模倣できるが、意味は模倣できない


①過度な論理思考は「差別化の喪失」をもたらす。

②分析的・論理的な情報処理スキルには「方法論としての限界」が存在する。

③論理では意味を作れない

論理と直感のバランスでパフォーマンスは上がる。

自然界にはさまざまなエラーがシステムに内包されている。短期的には効率性を悪化させるエラーだが、エラーは時に思いがけない変化をもたらし、中長期的に見れば飛躍的な進化をもたらす

進化のスピードが早く、複雑化していく世界において、外在的なルールだけに頼って自分たちの行動を律するのはリスクが大きすぎる。これからの時代は自分の中にある「真・善・美」の基準に照らし合わせて自分を律して逝く必要がある。

全米で年収上位10%に当たる人々の専攻科目は、政治学、哲学、演劇、歴史といったリベラルアーツ系科目が突出している。STEM(理数系)の学位を得れば、就職時に人並み以上の収入を得ることはできる。一方で、突出した高収入者、経営者、独自の知的・創作活動によって社会にインパクトを与えるような「リーダー」はリベラルアーツ系の学位を持っている傾向が強い。

リベラルアーツは、専門領域の分断化が進む現代社会の中で、それらの領域をつないで全体性を回復させるための武器となる。

リベラルアーツとは、リベラル(自由)になるためのアーツ(技術)のこと。

自分の価値観とフィットする「わかりあえる者」たちだけでコミュニケーションをループさせ、その外側にいる人々を「わからない」と切り捨てることは、豊かな「学びのチャンス」を奪い去ることになる。

年齢とともに、流動性知能(思考力・分析力)は衰える。

環境変化の激しい時代においては、結晶性知能(経験)より流動性知能(思考力・分析力)のほうが価値が高い。

蓄積した経験に依存し続けるオールドタイプはリスクが大きい。今後は、環境に応じて自分の学びをアップデートするニュータイプが活躍する。










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