見出し画像

実験レポート!「一般クリエイターたちが、全国上映を目指して映画製作に挑戦したらどうなるのか?」

こんにちは、新しい働き方LAB所長の市川瑛子です。
いきなりですが、質問です。

1.映画は好きですか?
2.映画の製作に携わってみたいと思うことはありますか?
3.映画の製作に実際に携わることができると思いますか?

実際に調査したわけではないですが、肌感覚的にはおそらく:

1.映画は好き - YESが9割
2.映画の製作に携わってみたい - YESが6割
3.映画の製作に実際に携わることができる - YESが1割未満

くらいなのではないでしょうか。

「興味はある。けど、自分とは無縁だと思っている」
世の中の多くのことにも言えることですが、特に映画製作に携わるなんて、業界人や大手プロダクション会社ではない限り、夢のまた夢。自主映画ならまだしも、全国上映なんて、完全に別世界。
そんな感覚の方がほとんどだと思います。

そんな現状に対して、
「いや待てよ。一般のクリエイターにだって全国上映のチャンスがあっても良いじゃないか!」
と声を上げたのが、映画制作会社 and pictures社の伊藤社長でした。

もっと、たくさんの人に映画作りに挑戦してほしい。
そんな思いで、あの山田孝之さんらも加わってスタートした「MIRRORLIAR FILMS」プロジェクト。一般枠として12個の作品に選ばれれば、なんと全国の映画館で上映されるという豪華な映画コンテストです。(公式HPはこちら
これに共感しまくった私たち「新しい働き方LAB」は、このMIRRORLIAR FILMSコンテストへの応募を目指し、一般クリエイターがゼロから映画作りに挑戦できるようなプログラムを提供することにしたわけです。

もし仮に、無名クリエイターの手によって作られた映画作品が、全国の映画館で上映されたら…。
もし仮に、無名のクリエイターが、山田孝之さんや柴咲コウさんら超有名人とともに舞台挨拶をするなんて日が来たら…。

めちゃくちゃワクワクしませんか?

だったら、挑戦してみようじゃないか。実験してみようじゃないか。
そう決めたのが、2020年9月のことでした。

「まさか自分に映画製作なんて、できるわけない」
「好きなことを仕事になんて、できるわけない」
もしあなたもそんな風に思っているのであれば、ぜひ続きを読んでほしいです。

実験テーマ:「一般クリエイターたちが、全国上映を目指して映画製作に挑戦したらどうなるのか?」

◆検証したかったこと

今回の「実験」では、主に二つのことを検証することを目指しました。

検証項目1:プロや経験者がいなくても、映画製作は可能なのか?

検証項目2:複数のクリエイターが協働で作品を作ろうとしたとき、どんな困難が生じ、それをどう乗り越えられるのか?

ランサーズには、ライターや映像編集、音楽制作者やデザイナーなど、色んなスキルをもっている方がたくさんいます。その人たちの力を合わせて映画コンテストを目指したときにどんな化学反応が起きるのか、というのを検証したかったわけです。

◆活動内容

さて、やりたいことは決まったけれど、実際にどうやって進めようか…
運営メンバーの中には、それこそ映画好きはいても、映画作りをしたことのある人間はいない。
そこで、映画業界の方々の力も借りながら、こんなプログラム設計をしてみました。まさにこの企画全体が、初めてのことだらけの実験でした。

STEP 1.映画作りに挑戦したい人たちを募集する(10~11月)
監督、脚本、映像編集、撮影、音楽、役者、デザインという合計7つの役割ごとに人を募るべく、ランサーズで7つのコンペを開催しました。
なんと応募者数は総勢200名!

スクリーンショット 2021-03-19 160007

STEP 2.選ばれた人たちをいくつかのチームに分ける(12月)
コンペでは、5つの映画シナリオと30名のクリエイターが選ばれました。

本業は都内のIT系大手企業。映画鑑賞は好きですが、今までは楽しむだけでした。こういった業界はコネが全て、と思い込んでいましたが、このプロジェクトのコンセプトは、自分にもチャンスがあるかも、と背中を押してくれました。(30代男性・U氏)

「地方だと脚本家になるのは難しい」と言われたけれど、どうしても夢を諦められず、福岡から上京しました。このチャンス、絶対に勝ち取ります!(30代男性・S氏)

「自分でも映画をつくれるなら、つくってみたい。」
集まったメンバーの応募コメントからは、そんな強い思いがひしひしと伝わってきました。

そしてここから、シナリオごとにチームを組んでいきます。
この時点ではまだ全員が「初めまして」の状態。
こんなんで本当に映画なんて作れるの…?と半信半疑のメンバーも多かったと思います(笑)

STEP 3.映画製作方法を学ぶためのプログラムを提供する(12月)
12月上旬。
山梨県八ヶ岳にあるLiving Anywhere Commonsの施設にて、1泊2日の「ブートキャンプ合宿」を決行!
実際の映画プロデューサー2名をゲスト講師にお迎えして映画作りの基本を学びつつ、各チームでショートムービーの製作体験をしてもらいました。
監督、脚本家、役者、撮影や映像編集など、それぞれの役割を最大限に生かしつつ、一つの映像作品に落とし込んでいく過程を初めて目の当たりにした私は「チームワークってこういうことか…!」と終始ワクワクしてましたね…

画像4

密をなるべく避けながらの撮影ワーク

スクリーンショット 2021-04-07 114019

撮影クルー

STEP 4.各チームで映画を製作してみる!(12~2月)
ブートキャンプ合宿を終えたあとは、各チームでの映画製作期間へ。
ここがやはり一番の難関ステージ。どのチームも、あらゆる壁にぶつかりました…

・人手不足問題(特に、役者さんが見つからない)
・意見の食い違い問題
・資金不足問題
・理想のロケーションが見つからない問題、などなど

映画をつくったことのない初めてのメンバーが多かったからこそ、通常以上に壁は多かったのだろうと思います。
中には、シナリオをゼロから作り直すことになったチーム、メンバーを入れ替えることになったチーム、そして解散することになったチームもいました。
しかも、皆それぞれ本業で忙しい人たちだし、報酬が出るわけでもない。
「こんなに大変だと思わなかった…」という声も。

一方で、
「夢だった映画製作に携われて、大変だけどめっちゃ楽しい。」
といった声も、とても多かった。そして、なによりも、「ここまで来たらやり切るぞ」という、熱いクリエイター魂のようなものを感じました。

◆実験結果

そうして、「初めまして」だったメンバーがチームとして活動しはじめてから2カ月半が経った頃、MIRRORLIAR FILMSの締め切り日を迎えました。

数日前から、「何チームが完成できるのかな…今どんな状況なのかな…」とソワソワしていた私たち。邪魔するわけにもいかないと、ただ連絡を待つのみだったわけですが…

「一般クリエイターたちが、全国上映を目指して映画製作に挑戦したらどうなるのか?」という、この実験。

気になるその結果は・・・

なんと合計4チームが無事に映画を完成させ、MIRRORLIAR FILMSへ応募することができたのです!

あらゆるハードルにぶつかりながらも、「なんとかして映画化するぞ」という気持ちだけで何十時間も何百時間も走り続けたメンバー。
彼ら彼女らのこだわりと、クリエイターとしてのプロ意識と、夢と想いがつまった作品が4つも完成しました。
それらの作品は、「特別試写会」という形で、100名近くの視聴者に観ていただくことができました。

画像5

「めちゃくちゃ心に響きました」
「心にグサグサきた。泣くわ、こんなん」
「全て長編映画を見たいです」

視聴者の方々からそんなコメントが流れてきたのをみたとき、
実験プロジェクトは成功したなと確信しました。
ゼロからのスタートで、誰かの心に響く映画が4本も生まれたんですから。

***

実験レポートらしく、検証結果を改めてまとめてみました。

検証項目1:プロや経験者がいなくても、映画製作は可能なのか?

検証結果:
素人であっても、未経験であっても、映画製作は可能。
今回参画したクリエイターの多くは、それまでは映画は鑑賞するだけでしたから。
ただ、プロや経験者のサポートがあった方が、確実にスムーズに進むということも今回明らかになりました。ブートキャンプに講師としてご参加いただいたプロデューサーの方々の助言やサポートがなければ、この短期間での映画化は非常に難航していたと思います。また、各チームに、経験者が結果として協力してくれたということも今回の成功につながった要因でした。

検証項目2:複数のクリエイターが協働で作品を作ろうとしたとき、どんな困難が生じ、それをどう乗り越えられるのか?

検証結果:
各チームが直面した困難については、上述したとおり。
何の信頼関係もない状態でのスタートだったがゆえに、コミュニケーションや進め方であらゆるハードルがありました。
ただ、そういったハードルを乗り越えられた4チームに共通していたのは、「何としてでもこのチームでやり切るぞ」という信念と覚悟を持った人が少なくとも一人はいたということ。
その強い意志さえあれば、その人に他のメンバーはついていく。その人の力になろうと動く。トラブルが起きても何とかしようという力学が働く。
そんな、理想のチームの在り方について考えさせてくれるプロジェクトでもありました。

***

冒頭でご紹介した、IT系企業に勤めるU氏。
はじめは脚本家としての参画でしたが、途中からなんと監督も兼務することになりました。
手探り状態でメガホンをもち、映画完成までこぎつけたU氏の言葉で、この実験レポートを締めさせていただこうと思います。

「これまで10数年間ずっと会社員一筋だった僕が、
今は、会社員兼映画監督という新しい肩書を掲げています。
副業でも夢を追いかけられるんだ、
ということをもっと色んな人に伝えたいです」


***

本記事の執筆時現在、MIRRORLIAR FILMSコンテストの審査はまだ終了していないため、当選したかどうかの結果はまだご報告できません。
審査結果まで、お楽しみに…!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?