もののなまえはやっぱりだいじ

UdemyメディアのBlender記事。まあUdemyの講座への導線となるページですね。

さて、記事読んでいくと画面レイアウトの説明のところで以下のキーワードが出てきました。

Infoウィンドウ

「おっとこれはマニアックやな」と一瞬だけ思いましたが、すぐに間違いだとわかりました。該当の箇所は「トップバー(Topbar)」と呼ばれる箇所ですね、2.80以降では。

そしてこのページからもリンクしている同じudemyメディアの別のページでも「Infoウィンドウ」となっていました。これはアレですか、脈々と受け継がれていく「秘伝のタレ」的なものでしょうか?それは違うと思いますけど。

そしてもう一つ。これはまた別のサイトの最近公開されたページ。そう、先日取り上げた「キャド研」というサイトの(新しい)記事。

情報ウィンドウ
ファイルや編集、レンダー、ウィンドウなどのメニューが並んでいる部分を正式名称では「情報ウィンドウ」もしくは「info」ウィンドウと呼びます。
また、他のタブとの関連性を意識して、位置的に「トップタブ」と呼ばれることもあります。

すごいですね、「情報ウィンドウ」の「情報」の意味が(感覚的にすら)わかってらっしゃらない感じで、にもかかわらず「正式名称では」なんて付けてらっしゃる、これを見て「おらワクワクすっぞ」ってな感じでテンション上がりましたね。

2.50から「ウインドウ」→「エディタ」

Blender 2.49 までは画面のレイアウト要素を総じて「ウィンドウ」と読んでいました。「3Dビューウィンドウ」とかそういう呼び方ですね。Windows等のOSの呼び方だと「ペイン」に相当しますね。

Blender 2.50から、例えば「3Dビューウィンドウ」を「3Dビューエディタ」という風に「ウィンドウ」から「エディタ」へと呼び方を変えています。

また、エディタが存在している部分全体を「エリア(Areas)」と呼び、エリア内のエディタの配置を「レイアウト」、とまあこんな感じ。そして画面上部分を「トップバー(Topbar)」、画面下を「ステータスバー(Status)」と呼んでいます。

  • Topbar at the very top.

  • Areas in the middle.

  • Status Bar at the bottom.

マニュアルでも「Editors」のページで各エディタが紹介されています。

×: Infoウィンドウ ○: Info エディタ

マニュアルページ貼り付けとけば良いでしょうか。

確かに2.79までは Infoエディタ が画面の上部にあって、これを下にズズズとドラッグするとコマンド実行した履歴的なものを確認することができました。

ただ、2.80から画面上部のその位置は「トップバー(Topbar)」が鎮座しています。ではInfoエディタはどこに行ったのか?

バージョン 3.2.2ではScripting ワークスペースの左下にレイアウトされていますね。

ワークスペース?

Blender 2.80になるにあたってのGUI大工事の際に、新しく「ワークスペース(Workspaces)」という概念が導入されました。

2.80 Fundamentals の動画でも説明されていますのでそちらでも見といてください。

はい、「エディタのレイアウトを複数持てるようになって、それらを画面上部のワークスペースタブを切り替えて利用する」ということができるようになったんですね。

それでも「〜ウィンドウ」って言っちゃうのにはワケがある?

上記で紹介した事柄から、少なくとも現行バージョンを話題とするなら、Blenderのマニュアルに従って「〜エディタ」の表記にする事が自然と出来ている事が期待されるのはおわかりいただけたでしょうか?

2.7xまで「〜ウィンドウ」と記載しているサイトページが現存する

現在も閲覧可能な、バージョン2.49あたりには存在していたであろうサイト、またはその後継となる、いわゆる「老舗」的なところでは、その当時定着していたであろう「〜ウィンドウ」の表記がそのままに、結局「〜エディタ」に置き換わらなかった、という事が考えられます。個別の記事ページでは「〜エディタ」となっているけれど、イントロダクション的なページでは旧表記、とか。以下の2つは2.7xが対象バージョン。

対比としてこちらの「エディター」の表記となっている「Blender入門」へのリンク。2.79が対象バージョンですね。

つけなくても通じる

実のところ「3Dビューポート」とかそういう風に呼んで「ウィンドウ」なのか「エディタ」なのか気にしない、というのもあります。床井先生のCG制作演習資料とかね。

「まあ政令指定都市くらいだったら県名つけなくてもわかってくれるっしょ?」っていうノリに近いですね?

ひたすら実践的な内容の記事とかだと「そこらへん知ってるでしょ?」で記載が無いというパターンがあります。初学者には「いきなり砂漠のど真ん中に放り出される」というのを味わえる良い機会なのでそういうの探してみるのも一興だと思います。

別パターンとして「エディタ」とか「ウィンドウ」というのが付いた呼び方をしてきていない、Tooltipに出てきた単語で勝負…的なもの。だいたいマニュアル読んでなくて「色々ガチャガチャやってたらなんとなく使えてた」という延長でチュートリアル記事なんか書いちゃいましたてへぺろ、という。

「考えるな、感じろ」ってヤツでしょうか。まあそう言ったチュートリアル記事自体も書く人めっちゃ減っていますよね。世は動画チュートリアルの時代。動画チュートリアルだとどっちで言っても影響ない(?)ですしね。

さてこちらの動画はどうかなー?

Web記事:量産される秘伝のタレ

実は最近気付いたのですが、「Blender 使い方」とか「Blender 始め方」で検索して出てくるページの上位で「〜ウィンドウ」の表記をしていたり、画面レイアウトの説明で「infoウィンドウ」が存在している、というのが増えているんですね。

さすがBlender人気ですねー、入門のための記事が続々生まれてますねー。でもなんだか既視感がありますねー。同じことやっているんだからかぶっちゃうのは当たり前かー、でもなんでだろう、同じところ間違っちゃってるよねー(棒

こう、お店違うのに「秘伝のタレ」が量産されているように錯覚してしまうのは気のせいでしょうか。

これからBlenderの記事書く際に気をつけたいこと

マニュアル確認しよう」←これですね。

まあ「エディタ」を「ウィンドウ」って言ってても通じりゃいい、っていうのはいいんですが、「この人は正しく書こうとする姿勢が無いのではないか」という印象を読み手に与えてしまうのは書く側にとって損ですからね。

もののなまえはやっぱりだいじ、ということで〆。


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