ディープ京都: 見たこともないスキルを持ったコンビニ店員。
ある日、ネット販売で購入した物品の返送をしようとミカン箱サイズの箱をかかえて行った近所のコンビニで、私は生まれて初めての経験をした。
レジの隅っこで着払い伝票を記入し、店員がメジャーを引いて箱のサイズを測り、料金を記入するのを眺め、ピッと引きちぎられた何枚目かの複写伝票を「控え」として受け取った。
特筆すべきこともない「普通」の流れを済ませ、飲み物コーナーでペットボトル類を一瞥し、冷蔵スイーツコーナーで商品を手に取り、後はブラックサンダーでも買おうとお菓子コーナーに向かったその時である。
「すいませーん!」
先ほど作業をしてくれた若い男性店員が、レジカウンターを出て、こちらに向かって歩いてきた。
「?」
「さっき渡した控えなんですけど、店で保管しとくヤツも渡しちゃったんで返してくれますか?」
「返してくれますか?」って・・・他に言いようがあるだろうに。
そう思いながら目の前まで来て立ち止まった店員の顔を見た瞬間、彼は私の大きな黒のトートバッグに手を突っ込んで「店で保管しとくヤツ」伝票を抜き取った。わずか2,3秒の出来事だった。
「これでーす、これ!ありがごとうございまぁーす!」
(ё) エ? (∵)ヘ? え(゚○゚)! ( ゜o゜!)えぇっ (゚Д゚≡゚Д゚)エッナニナニ?
質問してもよろしいか?
1.承諾を得ずに私のバッグに手を突っ込みましたね?
2.そして、バッグからモノを取り出しましたね?
3.まるで、バッグの中のどこに何があるか、知っているような素早い捌き方でしたね・・・(それが一番ビビった)??
4.掏摸(スリ)の経験がおありですか?
数か月前、そんな稀有な体験をさせてくれた京都ウエストサイドのコンビニは、もう、ない。コロナ感染の影響で当初の見込み通りは立ちいかなくなったのだろう。
その事件以降も、そのコンビニにはしばしば通ってはいたものの、彼の姿を見かけることはなかった。
彼は一体、何者だったのだろう。
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