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第95回アカデミー賞ノミネート予想(1月16日時点)

クリティックス・チョイス・アワードの受賞発表が目前なので、現時点での全部門予想(短編を除く)を書いていきます。最終予想が近いので、考察は軽く主要部門のみ行います。本当は9月時点で出そうと思ってたけど、私の遅筆が最大限発揮されまして、書き始めたら新たな受賞結果が到着して書き直し。また書き始めたら新たな受賞結果が到着するの繰り返しで今に至っています。何してんだ。

用語集
・英国アカデミー賞 - BAFTA
・ゴールデングローブ賞 - GG
・クリティックス・チョイス・アワード - CC
・全米製作者組合賞 - PGA
・全米映画俳優組合賞 - SAG

作品賞

BAFTAロングリスト、GG、CC、PGA、SAGの重要5賞で候補入りしている『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『イニシェリン島の精霊』は確定、恐らく受賞もこの2作から出ると考えている。
SAGから漏れたものの、重要4賞に入った『トップガン マーヴェリック』『TÁR』『エルヴィス』もノミネート確実、GGのドラマ部門を獲得した『フェイブルマンズ』もよほどのことが無い限り外れないと言っていい。

以上の6作を現時点の当確枠として、残り4枠を考えて行く。

GG、CC、PGAで候補入りした『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』も戦歴から考えるとノミネート確実と言っていい水準にあるものの、ここ数週間不気味な動きがあり、まずBAFTAのロングリストの作品賞・監督賞・脚本賞で候補漏れ。そして、ロングリストの撮影賞とASC(全米撮影監督組合賞)双方で落選しており、前作で撮影賞を受賞した本作にとってこの落選は大きいと感じる。さらに大作映画の観点としては、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』がPGA候補・アンジェラ・バセットのGG受賞と徐々にバズを取り戻しており、逆転されてしまう可能性もある。現時点で予想には入れているが、この様々な点を考慮して当確からは外した。

事前の期待と裏腹に、重要賞で急失速してしまっている『ウーマン・トーキング』はSAGの候補入りで一命を取り留め、ノミネート入りまでは漕ぎ着けるのではないかと見ている。さらに作品賞入りの後押しになる理由を考えると、脚色賞の最有力候補であるという点もある。近年、作品賞と脚本系賞との関係が強まっており、作品賞候補にならず脚色賞を受賞した例は1998年の『ゴッド・アンド・モンスター』にまで遡る必要がある。もし本作が脚色賞を受賞することになるとしたら、作品賞のノミネート無しでとはならないだろう。『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』は『ウーマン・トーキング』と同様に脚色賞の有力候補である点と、GG・CC・PGAの候補入りという好成績、さらに、Netflixのキャンペーン力で滑り込むのではないかと予測。前作が明確に2019年の作品賞次点候補だったことを考えると、是非とも今作ではノミネートを果たしてほしい。

ラスト1枠が結構悩ましい。『バビロン』は、大方の事前予想と裏腹に評価が振るわず。前哨戦でもBAFTAとPGAで候補漏れ、監督賞や他技術賞では『エルヴィス』と対抗状態になっており、あまり力を発揮できてないように見える。『The Woman King』は、予想を超えるヒットや観客からの高評価、さらにCCでの監督賞候補入りなどの点でバズは持っているのだが、NBR(ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞)とAFI両方でトップテン入りしている作品の中で、毎年必ず一作は作品賞候補になれない作品が出てくるというジンクスに引っかかっているように感じる。A24からは『ザ・ホエール』が、ホン・チャウのSAG候補入り・PGA候補入り・アメリカでのヒットなど、土壇場で急激にバズを復活させており、ブレンダン・フレイザーの映画本格的カムバック作という点も考えると、かなり大きいチャンスを持っている。同じくA24から『Aftersun』も、全米映画批評家協会賞の監督賞・BAFTAロングリストの作品賞・監督賞・脚本賞候補入りと着実に力見せているものの、この両作に共通する欠点は、これまでA24は、1年に1作品以上作品賞にノミネートさせた経験が無いという所だろう。特に『レディ・バード』がノミネートされた年に『フロリダ・プロジェクト』をノミネートさせることが出来なかったように、あまり複数作品のキャンペーンを得意としていないA24にとって、この2作は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』という特大コンテンダーの後塵を拝させてしまう形になる可能性がある。国際長編映画賞候補の作品からは『西部戦線異状なし』『別れる決心』も有力。特に前者はNetflix作品という強みがある上、BAFTAロングリストで作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・脚色賞と、主要部門での大量候補入りを果たした上、存在するすべての技術賞での候補入りを果たし、勢いを増している。ただ、両作ともPGAの候補を逃した点と、過去に作品賞に入った『ドライブ・マイ・カー』や『パラサイト 半地下の家族』、『ROMA/ローマ』『愛、アムール』ほどの圧倒的な激賞という段階に至っている訳ではないので、作品賞に残るには厳しさがある。

そこで、個人的にラスト1枠を勝ち取ると考えているのが、『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』だ。『ウーマン・トーキング』、『グラス・オニオン』と同様に脚色賞の有力候補、そして、#MeToo運動の初期報道を描いた作品というアメリカ映画界における重要性も考慮。とはいえ、前哨戦で目立った戦績は、AFIのトップテン入りとキャリー・マリガンの複数ノミネート、BAFTAロングリストでの監督賞候補入りぐらい。そんな作品がなぜ候補入りすると考えているかというと、ネヴァダ映画批評家協会賞で作品賞を受賞したためだ。2011年から設立された賞で、まず過去11回の内、『ゴーン・ガール』が受賞した2014年を除いた10回で、作品賞を受賞した作品が本戦での作品賞候補になっていること。これだけなら他に起こっている批評家協会賞もあるだろう。ただ、この賞。少なく見積もって30以上ある批評家協会賞の中で、唯一、『コーダ あいのうた』と『グリーンブック』の双方に作品賞を与えている賞なのだ。


監督賞

BAFTAロングリスト、GG、CC、DGAを制覇した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のダニエル・クワン、ダニエル・シャイナートのコンビ"ダニエルズ"、過去に該当する6作品の監督がすべて本戦候補入りを果たしている全米・ニューヨーク・ロサンゼルスの三大批評家賞の作品賞受賞作『TÁR』のトッド・フィールド、そして、先日のGGを受賞した『フェイブルマンズ』のスティーヴン・スピルバーグ。この3人は当確と言っていい。

まず、2018年からジンクスとして浮かび始めている、国際長編映画賞の受賞作の監督枠。今年もこの枠があると仮定して考えると、現時点で国際長編映画賞の最有力である『別れる決心』のパク・チャヌクと『西部戦線異状なし』のエドワード・バーガーが挙げられる。後者は戦争映画という監督賞でかなり評価されやすいジャンルで、前述のBAFTAでの善戦などがあるが、三大映画祭への出品が無く、これまでこのジンクスに入って来た監督の作品は全て三大映画祭への出品(特にカンヌ)をしている為、このジンクスが求めるテイストの監督はちょっと違うように感じる。ただ、前者はまず本年度のカンヌ監督賞受賞者。そして、既に世界的な評価を確立していながら、『オールド・ボーイ』や『お嬢さん』など数々の名作がオスカーでは冷遇されてきたという所で、キャリア全体を含めての候補というのも考え、現時点ではチャヌクをチョイス。

最後の1枠に選んだのは『ウーマン・トーキング』のサラ・ポーリーは、会話劇という作品の性質や、GG、DGAのスナブもかなり致命的なのだが、個人的にポーリーはかなり重要な賞を抑えているのではないかと考えている。まず賞レースが本格的に開幕する前に授賞したパーム・スプリングス国際映画祭の監督賞。この賞自体は本格的に設立されたのが2018年と最近で、さらにその初回の受賞者がスナブを受けた『アリー/スター誕生』のブラッドリー・クーパーなので、データとしての信ぴょう性は薄いのだが、その翌年は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクエンティン・タランティーノ。さらにその翌年と翌々年は『ノマドランド』のクロエ・ジャオと『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンが授賞し、3年連続の監督賞候補と、2年連続の監督賞受賞を送り出しているので、この賞を獲得したのは賞レース展開の中での重要性を図る上で良い方向に働いているように感じる。さらに、ポーリーが受賞した大きな監督賞で、セントルイス映画批評家協会賞と女性映画ジャーナリスト同盟賞がある。この2賞が実はオスカーとかなり整合性が高く、前者は2004年に設立され、過去18回の間で受賞者がオスカー候補にならなかったのは2012年の『アルゴ』のベン・アフレックのみ。後者は2007年設立で過去15回の間で受賞者がオスカー候補にならなかったのは2012年の『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグローのみと、かなりの高い一致度を示している上、お互いに唯一一致しなかった年が、謎にイレギュラーなラインナップになったことで悪名高い2012年という点も興味深い。正直このポーリーの予想は個人的感情が凄く入っているし、80%ほどの確率でスナブされると思う。だけど時にマシーンになる必要がある予想家として「この人にノミネートして欲しい」という感情も忘れたくないし、男性監督で埋め尽くされたラインナップも見たくない。だから今年の推し枠として、ノミネートの前日までしぶとく候補に入れ続けるつもり。

個人的感情で予想からはじき出されたのは『イニシェリン島の精霊』のマーティン・マクドナー。前哨戦歴で考えると、ダニエルズと同じくBAFTAロングリスト・GG・CC・DGAを制覇。作品自体も作品賞を1、2で争う有力候補ということもあって、ノミネートは堅過ぎる。ただ、多くの予想家が考える部分として、作品賞・脚本賞の最有力候補として2017年の賞レースを賑わしていたマクドナーの前作『スリー・ビルボード』で、GG・CC・BAFTA、さらにはDGAで候補になりながら、本戦では監督賞候補を逃してしまった"前科”があるという部分だろう。本作は『スリー・ビルボード』よりもミニマムで、より会話劇重視の方向性になっている為、再び脚本賞止まりになるという読み。
他には『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』のジェームズ・キャメロンや『エルヴィス』のバズ・ラーマンをベテランながらの安定感で候補数を増やしており、特にラーマンは作品の勢いもある。女性監督が少ない今年の賞レース展開を考えると全米映画批評家協会賞の監督賞を獲得している『Aftersun』のシャーロット・ウェルズに期待してしまうが、まずはBAFTAの本戦でノミネートされるまでは予想に入れるのは難しい。

主演女優賞


GGのドラマ部門の主演女優賞を受賞した『TÁR』のケイト・ブランシェットとミュージカル・コメディ部門の主演女優賞を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のミシェル・ヨー。ここが確固たる2トップ。

『Till』のダニエル・デッドワイラーは、プレミア上映後からその演技に賛辞の声が止まず、一時期はブランシェット、ヨーに並ぶ勢いを持っていたものの、GGでまさかの落選。個人的には『ザ・ファイブ・ブラッズ』のデルロイ・リンドーの歴史的落選を凄く彷彿とさせたが、難なくBAFTAロングリスト、CC、SAGの候補入りで復活。『フェイブルマンズ』のミシェル・ウィリアムズは、カテゴリー詐欺という論争に直面。2020年のラキース・スタンフィールドの様に配給側のキャンペーンと変わり、助演女優賞でノミネートされる可能性もある。さらに、当確だと思われていたSAGで候補漏れし、様々な可能性を持っているため、現時点では当確とは言えないものの、ノミネートはされるだろう。『The Woman King』のヴィオラ・デイヴィスは、前述4人ほどの話題性は無いものの、静かにBAFTAロングリスト、GG、CC、SAGの重要4賞全てで候補入りしているため、5枠目にチョイス。ただ、ウィリアムズと同様に、デイヴィスも本来は助演という声もあるのがネックかもしれない。

事前に有力だった『バビロン』のマーゴット・ロビー、『I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』のナオミ・アッキー、『エンパイア・オブ・ライト』のオリヴィア・コールマンは、作品のバズの減少に引っ張られる形になると考えており、ウィリアムズを倒してSAGで候補入りを果たした『ブロンド』のアナ・デ・アルマスも、作品自体の猛烈な批判意見を考えると、5枠に入れずらい。この土壇場で異常に注目を集め出しているのが、これまで目立った前哨戦戦績がインディペンデント・スピリット賞とシカゴ映画批評家協会賞の候補のみだった『To Leslie』のアンドレア・ライズボロー。ここに来て、フランシス・フィッシャーやエドワード・ノートンなどの著名俳優たちのSNSで、彼女をアカデミー賞候補に推す投稿が急激に増え、ケイト・ウィンスレットやエイミー・アダムス司会のオンラインQ&Aが開催されるなど、業界人から猛烈なプッシュを受けている。ただ、複数の著名人(ミア・ファローなどもいる!)が投稿した推薦文の文章が全く同じだったことから、配給側が仕組んだ組織的な熱狂である可能性も指摘されている。ともあれ、この良くも悪くもな注目のされ方が会員の目に留まる可能性は否定できない。

主演男優賞

この部門に関しては、残り1枠の争い。GGを受賞した『エルヴィス』のオースティン・バトラーと『イニシェリン島の精霊』のコリン・ファレル、そして2人と共に、重要4賞入りを果たした『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーと『生きる LIVING』のビル・ナイ。この4人の内、誰かがスナブされる可能性はもう考えづらい。

BAFTAロングリスト、CC入り、さらに作品のバズを含め、他の有力候補を一歩リードしてると言える『トップガン マーヴェリック』のトム・クルーズ、SAGでサプライズ候補入りを果たした『ハッスル』のアダム・サンドラー、両作とも作品評価は伸び悩んだものの、GGで候補入りを果たしたオスカー候補経験者の『The Son』のヒュー・ジャックマンと『ホワイト・ノイズ』のアダム・ドライヴァー、さらに、『バビロン』のディエゴ・カルヴァ、『The Inspection』のジェレミー・ポープ、『西部戦線異状なし』のフェリックス・カメラーなどの若手まで群雄割拠の状態。個人的には、BAFTAのロングリストとCCに入った『Aftersun』のポール・メスカルをチョイス。作品賞の欄で語ったA24のキャンペーン力を考慮するとフレイザーと同時に候補入りは厳しい部分もあるが、昨年の『ロスト・ドーター』のジェシー・バックリーの候補入りの様な形で、ここ数年の出演作で培った知名度とBAFTAから勢いでノミネートされるのではないかと予測。

助演女優賞


今年最大の激戦部門。まず重要4賞で候補に挙がった『イニシェリン島の精霊』のケリー・コンドンと、GGを受賞した『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセット。この2人しか確実と言える候補はいないと思う。いや、この2人ですら確実性はない。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイミー・リー・カーティスもコンドンと同じく重要4賞入りは果たしているものの、同作の別の有力候補ステファニー・スーがいるため、当確として扱うことはできない。むしろ、スーの方がカーティスよりも圧倒的に重要な役柄を演じていることや、しっかりとSAGやCCで候補入りを果たしていることを考えると、昨年の『ベルファスト』でのカトリーナ・バルフとジュディ・デンチの様に、前哨戦でより結果を残していた有力候補が、同作の前哨戦でより結果を残していなかった有力候補に負けてしまう現象が起きるのではないかと考えている。

『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』のジャネール・モネイは、作品賞予想に入れているため、脚色賞以外の候補を取っておきたいという面もあるものの、映画を観た人なら分かる通り、面白い仕掛けのある役柄であり、もネイ自身のスター性を考慮するとノミネートの可能性はあるのではないかと予想。『ウーマン・トーキング』のジェシー・バックリーは、共演者のクレア・フォイとの票割れがあったのか、獲得した重要賞の候補はCCのみとかなり絶望的。ただ、監督賞の個人的感情の二の舞ではあるが、『ウーマン・トーキング』という作品から、女優賞ノミネートが一人も出ないというのはやっぱり納得できない。さらに、後述する助演男優賞で共演者のベン・ウィショーが候補入りすると予想しているので、『"ウーマン"・トーキング』で候補入りしたのが男性のみというのも不可解に感じるため、多少強引でもバックリーを予想に入れた。

他には、『SHE SAID/シー・セッド』のキャリー・マリガンや、SAGでサプライズ候補を果たした『ザ・ホエール』のホン・チャウも最後まで悩んだところ。『逆転のトライアングル』のドリー・デ・レオンも、2020年の『ミナリ』のユン・ヨジョンの様な人気の博し方をすれば、候補入りの可能性は全然ある。

助演男優賞

正直『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンの受賞は確定なので、正直もう後の4人は誰でもいい。

ただしっかり予想するとすると、クァンの他に『イニシェリン島の精霊』のブレンダン・グリーソンバリー・コーガンが重要4賞入りで当確路線。2018年以降、俳優部門で1つの作品からのWノミネートが発生しているが、今年はこの2人だろう。BAFTAとGGで候補を逃すという大きな欠落はあるものの、『フェイブルマンズ』のポール・ダノも可能性は高いと言っていい。共演のジャド・ハーシュセス・ローゲン、さらにはワンシーンのみの出演となったデヴィッド・リンチも演技を賞賛されているが、ダノは他の3人に比べSAGでの候補入りを果たしている点で、票割れの恐れは少ないと考えている。前述の通り、ラスト1枠は『ウーマン・トーキング』のベン・ウィショー。原作では語り手となる重要な役柄を演じており、劇中で見せ場もあるという評もあったため予測。さらに、BAFTAのロングリスト入りを果たしており、今年のラインナップの中では候補入りの可能性は高いと踏んで、BAFTAの勢いを力にするタイプの有力候補だと予想。

BAFTAロングリスト、GG、SAGで候補入りを果たした『グッド・ナース』のエディ・レッドメインも有力ではあるものの、同じくGGとSAGで候補入りした2020年の『リトル・シングス』のジャレッド・レトや、昨年の『僕を育ててくれたテンダー・バー』のベン・アフレックと同様のスナブ枠だと考えている。他には、前述した『フェイブルマンズ』組に加え、『バビロン』のブラッド・ピットは自身のDV報道が影響を与えると予測、『エンパイア・オブ・ライト』のマイケル・ウォードや『その道の向こうに』のブライアン・タイリー・ヘンリーも前哨戦で名前を見かけたが、作品力の弱さが致命的か。作品の勢いに乗って『エルヴィス』のトム・ハンクスが意外なサプライズ候補になる気がする。アメリカ現地ではかなり賛否の別れたハンクスの演技だが、個人的には高尚を極めるプレスリーのステージでの姿に対して、軽薄の極みを体現したあのバランスの演技はどうしても嫌いになれない。

脚本賞

脚本賞を争うことになるだろう『イニシェリン島の精霊』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、さらに、上記2作と同じくGGで候補を果たした『TÁR』『フェイブルマンズ』の4作はほぼほぼ当確と予測。残り一枠は、『Aftersun』『逆転のトライアングル』のどちらかだと考えているが、よりBAFTAで善戦する可能性が高そうな『Aftersun』に軍配。

脚色賞

重要賞・批評家賞双方の脚色賞レースを牽引し続けた『ウーマン・トーキング』『SHE SAID/シー・セッド』『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』が外れるとは考えづらい。ノーベル賞作家が黒澤映画を脚色という重みを考えると『生きる LIVING』も可能性はかなり高い。ラスト一枠は脚本系賞常連のバームバックの『ホワイト・ノイズ』や、作品賞での強さに乗じた『トップガン マーヴェリック』や、NBRでの受賞やBAFTAロングリストでの善戦を演じた『西部戦線異状なし』も可能性を感じるものの、PGAやSAGで結果を残して今いちばん勢いのある『ザ・ホエール』と予想。

国際長編映画賞

長編ドキュメンタリー映画賞

長編アニメ映画賞

撮影賞

作曲賞

編集賞

歌曲賞

衣装デザイン賞

美術賞

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

音響賞

視覚効果賞

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