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作品賞ノミネート9作品鑑賞済み学生の第92回アカデミー賞徹底予想!

 どうやら初投稿らしいですね。今回は自己紹介などをすっ飛ばして、第92回アカデミー賞の全部門予想をしていきます。今年はありがたいことに作品賞にノミネートされている9作品すべてを映画祭や試写会などで鑑賞させて頂いていますので、徹底的に予想できるんじゃないでしょうか。早速予想していきましょう!

衣装デザイン賞

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ノミネート
・サンディ・パウエル、クリストファー・ロビンソン -『アイリッシュマン』
・メイズ・C・ルベオ - 『ジョジョ・ラビット』
・マーク・ブリッジス - 『ジョーカー』
・ジャクリーヌ・デュラン - 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
・アリアンヌ・フィリップス - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

まずは、皆さんがあまり興味なさそうな所から。まず消去法でいくつか消していきます。取り敢えず、衣装の印象が薄い『アイリッシュマン』、印象的な衣装が中盤以降のジョーカーのスーツ以外無い『ジョーカー』は厳しいかなと。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も主要な前哨戦の発表前は有力だったんですけど、どんどん失速していった印象。

はい、『ジョジョ・ラビット』対『若草物語』の構図になると思います。『ジョジョ・ラビット』はCGA(衣装デザイナー組合賞)、『若草物語』はBAFTA(英国アカデミー賞)という衣装にとっての2大重要賞を分ける形で受賞しています。アカデミー衣装デザイン賞との合致性を考えるとCGA<BAFTAになりますし、アカデミー会員が『ジョジョ』のようなポップな衣装を好むとも正直思えない。昨年、『女王陛下のお気に入り』を倒して『ブラックパンサー』が受賞したことを考えると、現代的要素が入っている衣装は獲りにくいという考えは時代遅れなのかもしれませんが、『ブラックパンサー』の手数の多さを考えると、『ジョジョ』と並列に考えるのは違うと感じます。

ということで、僕の予想は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

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ノミネート
・『スキャンダル』
・『ジョーカー』
・『ジュディ 虹の彼方に』
・『マレフィセント2』
・『1917 命をかけた伝令』

昨年までの3枠から5枠にノミネート枠が拡大した本賞。また消去法です。『マレフィセント2』は作品力が弱すぎる。『1917』は何でノミネートされてるのかよく分からない。

てことで3択。『ジョーカー』はさっきの衣装デザイン賞の話じゃないけど、印象的なメイクアップが後半以降のジョーカーメイクしか無い。まぁ逆に言うと、1つのメイクアップでアカデミー賞にノミネート出来る程、あのジョーカーメイクのパワーが強いとも取れるんですけどね。『ジュディ』は顔の系統が全く違うレネー・ゼルウィガーをジュディ・ガーランドそっくりにしていて、オスカーに値するメイクアップだと思いますけど、今年は『スキャンダル』が強すぎですね。

シャーリーズ・セロンをメーガン・ケリーにそっくりにさせ、メイクアップアーティスト&ヘアスタイリスト組合賞、CCA(クリティックス・チョイス・アワード又は放送映画批評家協会賞)、BAFTAなど前哨戦を連取しまくってる状況ですので、これはもう決まりでしょう。辻一弘から名を変えたカズ・ヒロさん、2度目の戴冠。

ということで、僕の予想は『スキャンダル』。

視覚効果賞

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ノミネート
・『アベンジャーズ/エンドゲーム』
・『アイリッシュマン』
・『ライオン・キング』
・『1917 命をかけた伝令』
・『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

また消去法だよ

前提として、アカデミー会員はド派手なCGは好まない傾向にあります。なので今年だと『アベンジャーズ/エンドゲーム』と『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は不利になってしまいます。しいて言うならエンドゲームはMCUの集大成として票を集める可能性はありますが、作品のメッセージ性や、基本的な撮影技術、役者陣の演技がメインになるように補助的に使われている視覚効果の方が有力になる可能性の方が高いと思います。

『ライオン・キング』、『アイリッシュマン』、『1917 命をかけた伝令』に絞ってみました。

まず、皆さんが言いたいことはわかりますよ。「ド派手なCGは好まない」って言ってるのに何で『ライオン・キング』が入ってるんだよ!って所ですよね。『ライオン・キング』は逆にガチガチのCG過ぎて、撮影技術も演技もクソもないんで、補助やら会員やらはあまり関係無い気がします(何それ)。とは言え、第89回アカデミー賞(2016年)の視覚効果賞は同じディズニーの動物CG系の『ジャングル・ブック』が受賞しているので、「もういいだろ」的考えで票を入れない人も多いでしょうね。個人的に『ライオン・キング』は厳しいかなぁ。別に獲って欲しくないし。

『1917 命をかけた伝令』は全編ワンカット風映像で第一次世界大戦の戦場を再現するという圧倒的な挑戦をしているので、相当高度な視覚効果が使用されているんでしょうけど、他の候補に比べると印象が薄い。補助は補助でも補助的すぎるというか。

なので、僕にとっての本命は『アイリッシュマン』になります。デ・ニーロ、ペシ、パチーノら、ベテラン俳優の年齢を違和感無く自在にコントロールし、最新のVFXを使用した高度な映像技術でありながら、決して作品の内容を邪魔しない。個人的に今回の候補の中では最もアカデミー視覚効果賞として収まりの良いバランスになっているかなと。今年のアカデミー賞で『アイリッシュマン』がノミネートされている10部門の中で、いちばん受賞確率が高いのがこの視覚効果賞。スコセッシの集大成のようなこの大傑作に1部門ぐらい受賞させてあげたっていいじゃない。

ということで、僕の予想は『アイリッシュマン』。

録音賞・音響編集賞

ノミネート(録音賞)
・『アド・アストラ』
・『フォードvsフェラーリ』
・『ジョーカー』
・『1917 命をかけた伝令』
・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

ノミネート(音響編集賞)
・『フォードvsフェラーリ』
・『ジョーカー』
・『1917 命をかけた伝令』
・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
・『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

僕の稚拙な文章でこの長さはまずい。ってことでテンポアップします。前哨戦の面でも、実際の作品でのクオリティとしても、今年の受賞は多分『フォードvsフェラーリ』か『1917 命をかけた伝令』になると思います。

音響賞の予想をする場合、録音・音編両方を合致させるか、それともバラけさせるか決めます。近年は両方合致での受賞が増えている印象で、過去10回の受賞結果を見てみると合致受賞は7回、第92回・第91回と連続でこのケースになっています。と考えると、今年も音響賞はセット受賞になると考えられます。

僕は予想をする際、どの作品が最多受賞作品になるかを考えます。最多受賞になりやすい作品は「多くのノミネートを得ており、かつ技術面での受賞確率が高い作品」だと思っています。先ほど絞った2作品の中でその例に当てはまるのは『1917 命をかけた伝令』です。個人的に『1917』は作品賞を獲る獲らないに関係なく、4~5部門の受賞をすると踏んでおり、監督賞・撮影賞は堅いとして、残りの2~3枠を受賞可能性のある作品賞・美術賞・視覚効果賞・録音賞・音響編集賞で当てはめることになります。作品賞・美術賞は後述するとして、視覚効果賞は違う作品に予想したので、残りの音響賞を受賞に予想して、監督賞・撮影賞・録音賞・音響編集賞で最低ラインの4枠をクリアさせると丁度良くなる。

ということで、僕の予想は『1917 命をかけた伝令』がW受賞。

美術賞

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ノミネート
・『アイリッシュマン』
・『ジョジョ・ラビット』
・『1917 命をかけた伝令』
・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
・『パラサイト 半地下の家族』

美術賞はADGA(全米美術監督協会賞)の結果に左右されることが多いです。ADGAが現体制になった2006年から、ADGAとアカデミー美術賞の結果が被ったのは13回中10回!このデータから今年もADGAの受賞作から結果が決まると考えられます。

ADGAのメイン賞となる映画美術の賞は、時代劇部門、現代劇部門、ファンタジー部門の3部門に分かれています。今年は時代劇部門を『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、現代劇部門を『パラサイト 半地下の家族』、ファンタジー部門を『アベンジャーズ/エンドゲーム』が受賞しており、エンドゲームはノミネートされていないので自動的に今年のアカデミー美術賞争いは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』vs『パラサイト 半地下の家族』になると思われます。

ちなみに、BAFTAの美術賞は『1917 命をかけた伝令』が受賞したんですが、美術賞は宮殿やら屋敷やら家やら城やら屋内の美術が受賞しやすいので、屋外でのシーンが多い戦争映画は不利になるんじゃないかと。

『ワンハリ』vs『パラサイト』の構図に話を戻しましょう。ADGAとアカデミー美術賞の結果が被った10回で、ADGAの時代劇部門受賞作品と被ったのが5回、ファンタジー部門と被ったのが4回、現代劇部門と被ったのが2016年の『ラ・ラ・ランド』の1回となっています。そして、唯一の現代劇部門で被っている『ラ・ラ・ランド』でさえ、1960年代ミュージカルにオマージュを捧げたようなミュージカルシーンを始め、古き良き的な雰囲気の美術が多く、完璧な現代美術とは思えないものだったりします。となると、『パラサイト』は一気に不利に。映画の主な舞台となる金持ち一家パク家の豪邸の造形は素晴らしかったんだけど、『ワンハリ』の69年ハリウッドをそのまま持ってきたかの様なインパクトと、手数の多さには勝てないのかなぁ。

ということで、僕の予想は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。

編集賞

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ノミネート
・アンドリュー・バックランド、マイケル・マカスカー - 『フォードvsフェラーリ』
・セルマ・スクーンメイカー - 『アイリッシュマン』
・トム・イーグルス - 『ジョジョ・ラビット』
・ジェフ・グロス - 『ジョーカー』
・ヤン・ジンモ - 『パラサイト 半地下の家族』

分かんねえよ

こういう場合はEddie(全米編集者組合賞)の結果を参考にするんですけど、今年はドラマ部門を『パラサイト 半地下の家族』、コメディ・ミュージカル部門を『ジョジョ・ラビット』が受賞してて、2作とも編集の切れ味が鋭い作品で、作品の良さを何割増しにもしてるものだと思いますけど、アカデミー編集賞となると若干決め手に欠けるような感じなのも事実。ベテランのセルマ・スクーンメイカーも『アイリッシュマン』でこれまたキレッキレな編集をしてましたけど、彼女はもう3回もスコセッシ作品でオスカーを手にしているので今回は他に回していいんじゃないですかね。『ジョーカー』も良いんですけどね。今年の強豪揃いの中だと印象が薄い。

となると、『フォードvsフェラーリ』になる訳ですが、レースシーンを含む全編の疾走感に溢れた印象を完全に決めていて、152分間という長尺を飽きずに観れるのはやっぱりこの見事なテンポ感の編集が大きく作用してのではないかと。BAFTAも受賞してますし、受賞に値するんじゃないですかね?

本当に今年の編集賞はレベルが高いですよ。毎年1作はある「これ数合わせで作品賞から出しただろ」的な作品が無いんで、どの作品が獲ってもおかしくないと思いますよ。『1917 命をかけた伝令』をノミネートさせとけばこんなに混乱しねえのにさぁ!

ということで、僕の予想は『フォードvsフェラーリ』。

撮影賞

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ノミネート
・ロドリゴ・プリエト - 『アイリッシュマン』
・ローレンス・シャー - 『ジョーカー』
・ジェアリン・ブラシュケ - 『The Lighthouse』
・ロジャー・ディーキンス - 『1917 命をかけた伝令』
・ロバート・リチャードソン - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

「ロ」始まりの名前が多いな。

はい、『1917』です。

まぁ、考察の余地が無いというか、ASC(全米撮影監督協会賞)やら、BAFTAやら、CCAやら、主要な前哨戦を獲りまくってますし、全編ワンカット映像という撮影監督の技量が試される激ムズのチャレンジに挑んで、結果的に素晴らしいものにしてますし、これ以外に獲りようがないですよねw

ロジャー・ディーキンス悲願のアカデミー撮影賞初受賞から2年も経たずに2度目の受賞って粋じゃねぇなと思いつつも、今年の対抗が弱いのもあってここは『1917』に賭けるしかないですね。

ということで、僕の予想はロジャー・ディーキンス、『1917 命をかけた伝令』。

作曲賞

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ノミネート
・ヒドゥル・グドナドッティル - 『ジョーカー』
・アレクサンドル・デスプラ - 『若草物語』
・ランディ・ニューマン - 『マリッジ・ストーリー』
・トーマス・ニューマン - 『1917 命をかけた伝令』
・ジョン・ウィリアムズ - 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

はい、『ジョーカー』です。

ここも先程の撮影賞と同じで、これ獲りようがないだろうって感じなんですよね。GG(ゴールデングローブ賞)獲って、CCA獲って、BAFTA獲って、主要賞の作曲賞はほぼほぼ『ジョーカー』に渡ってるんじゃないかしら?

さらに、作曲のヒドゥル・グドナドッティルが女性っていうのも大きいですよね。彼女の活躍ぶりから見て男性がどうのこうのっていうのは蛇足だと思いますけど、2019年は類を見ないほど女性映画監督(女性クリエイターと言っても良い)大活躍の年で、『フェアウェル』やら、『若草物語』やら、『ハスラーズ』やら、『Portrait of a Lady on Fire』やら、『アトランティックス』やら、『Honey Boy』やら、様々な女性監督の傑作が公開された訳ですけど、結局監督賞ノミネートはオール男。グレタ・ガーウィグとか、作品を見てないけどルル・ワン、セリーヌ・シアマはノミネートに値すると思うんですけど、そういう影響もあって「作曲賞は女性に」っていう評も集まると思うんですよね。てか絶対に集まる。

また彼女の人柄が最高で、GGでのスピーチが非常にお茶目でねぇ。。。ここまで獲る要素が重なっているノミニーも稀でしょうねw

彼女は大傑作テレビドラマ『チェルノブイリ』のスコアでエミー賞も受賞してて、今回獲ったらテレビ最高の名誉と映画最高の名誉を同じ年度に受賞することに。2018年に亡くなった師匠のヨハン・ヨハンソンの遺志を継いで、ハリウッドを代表する化け物作曲家に確実に進化してますね。

まぁあのバスルームのシーンを生み出した時点で彼女の受賞が決まった様なもんなんですけどね。

ということで、僕の予想はヒドゥル・グドナドッティル、『ジョーカー』。

短編映画賞

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ノミネート
・『兄弟愛』
・『Nefta Football Club』
・『The Neighbor's Window』
・『Saria』
・『A Sister』

かなりの人が興味無いであろう短編系賞(偏見)。でも侮っちゃいけません。短編賞は24部門中3部門あるので、情報が少ないからって適当に予想すると単純に3部門を逃すことになるのでここも真面目に予想していきますよ。

久しぶりの消去法。まず下馬評であまり話題になってない『Saria』は消します。で、ここからなんですよ。まず短編映画賞は有名な俳優や製作者が関わっている作品は注目を集めやすく、今年の作品の中だと、第86回でアカデミー外国語映画賞(現国際長編映画賞)にノミネートされた『オーバー・ザ・ブルースカイ』の主演女優のフィーラ・バーテンスが主演している『A Sister』と、これまで3度アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされている映画監督のマーシャル・カリーの新作『The Neighbor's Window』は有利になります。

次は、前哨戦の結果で考えてみましょう。短編賞にはGGや組合賞の様な分かりやすい前哨戦が無いので、著名な映画祭に出品されていたり、総受賞数が多いものが有利になります。アカデミー賞の重要前哨戦として知られるトロント国際映画祭でカナダ短編映画賞を受賞した『兄弟愛』、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞の短編映画賞にノミネートされている『Nefta Football Club』、ベルギーのセザール賞と呼ばれるマグリット賞の短編映画賞にノミネートされた『A Sister』が有利になってくるはずなんですけど、この3作に共通する弱点があって、それは「初公開が2019年ではない」って所なんですよね。この3作は2018年の映画祭で初演されている作品なので、どうしても2020年の授賞式で受賞するとどうしても今更感が出てしまうと思うんですよね。

なので、個人的にはこの3作より、2019年に初演されており、有名監督による作品である『The Neighbor's Window』に若干軍配が上がるのではないかと考えております。てか内容に触れろや俺。

ということで、僕の予想は『The Neighbor's Window』。

編ドキュメンタリー映画賞

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ノミネート
・『In the Absence』
・『Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)』
・『眠りに生きる子供たち』
・『St. Louis Superman』
・『Walk Run Cha-Cha』

ここは割と簡単な印象ですね。『眠りに生きる子供たち』はNetflixで配信中で、『Walk Run Cha-Cha』はYouTubeで無料公開中。視聴し易い環境にあるこの2作は有利に思えるが、正直評価が微妙。『St. Louis Superman』も下馬評があまり高くなく、前哨戦での受賞経験にも乏しい。

ということで、今回は『In the Absence』と『Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)』の一騎打ちになるかと思われます。セウォル号沈没事故を描いた『In the Absence』はIMDb7.7点と非常に高評価なものの、先程の短編映画賞でも出てきたように2018年初演の作品なので不利になりがちですし、題材の事故は2014年に起きたものなので、約5年のブランクがあり、かなり不謹慎な言い方になりますがちょっと旬を過ぎてしまったのではないかと。

『Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)』は、若い女性がスポーツを行うことが禁止されているアフガニスタンのカブールで、少女たちにスケートボードや読み書きを教えている非営利団体Skateistanを追った作品で、これ以上ない現代的なテーマを描き出しており、BAFTAやトライベッカ映画祭の短編映画部門を受賞するなど前哨戦での受賞経歴もバッチリで、今年の候補の中では頭一つ抜けた存在感を醸し出していますね。今回は内容にちょっと触れたよ!褒めて!

ということで、僕の予想は『Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)』。

短編アニメーション映画賞

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ノミネート
・『Dcera』
・『Hair Love』
・『Kitbull』
・『Memorable』
・『Sister』

短編アニメーション映画賞は『Dear Basketball』の様に特別な注目を集めない限り(R.I.P Kobe Bryant)、ディズニー、ピクサー、ソニーなどの大手スタジオの作品が獲りやすいんですよね。と考えると、ピクサーの『Kitbull』とソニーの『Hair Love』が圧倒的に有利であり、作品評価もこの2作がずば抜けてますね。

ピクサーの『Kitbull』は、孤独な子猫と飼い主から虐待を受けたピットブルが心を通わせていく様子を描いた作品で、ソニーの『Hair Love』は父親が娘の髪の毛を初めてスタイリングする様子をコミカルに描いた作品。2作ともセリフがほとんど無い作品ながら、登場キャラクターたちの心情を雄弁に伝える描写が見事で、ホロリとさせるラストも素晴らしく、もうどっちが獲っても良いんじゃない?(予想放棄)

まぁちゃんとやります。作品の評価的には『Hair Love』よりも『Kitbull』の方が高いのですが、SNSを中心に注目をより集めていたのは『Hair Love』だった印象。動物たちの交流を描いた作品より、有色人種の父子の整髪を通した親子愛を描いた作品の方が現代的だという票もあるだろうし、『Hair Love』に声優として参加しているイッサ・レイは、今年のアカデミー賞のノミネート発表の司会を務めるほど注目されている女優で、対抗の『Kitbull』は声優がいない作品なので、『Hair Love』は出演者のネームバリューのおかげで受賞に繋がる可能性もある。

ということで、僕の予想は『Hair Love』。

歌曲賞

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ノミネート
・「君のため」 - 『トイ・ストーリー4』
・「(I'm Gonna) Love Me Again」 - 『ロケットマン』
・「I'm Standing with You」 - 『Breakthrough』
・「イントゥ・ジ・アンノウン」 - 『アナと雪の女王2』
・「Stand Up」 - 『ハリエット』

GG、CCAの発表時には『ロケットマン』の「(I'm Gonna) Love Me Again」が大本命、『アナと雪の女王2』の「イントゥ・ジ・アンノウン」が対抗の空気だったんですけど、ちょっと潮目が変わってます。というのも、アカデミー歌曲賞は複数部門にノミネートされている作品が獲ることが多いんです。ここ10回の受賞結果を見てみても10回中8回が複数部門でノミネートされている作品が受賞しています。1部門ノミネートの作品が受賞したのは『ザ・マペッツ』と『007 スペクター』の2作のみ。主演男優賞や衣装デザイン賞で有力と言われていた『ロケットマン』は結局1部門のノミネートに留まり、『アナと雪の女王2』も長編アニメーション映画賞で絶対に候補になると、みんな信じて疑わなかったのに、まさかのサプライズでノミネートを逃し、同じく1部門。これで割と受賞が厳しくなったように思えます。

そこで、上がってきたのが『ハリエット』の「Stand Up」。『ハリエット』は『ロケットマン』『アナ雪』と対照的に、歌曲賞だけのノミネートが有力だったけど、シンシア・エリヴォが土壇場でルピタ・ニョンゴ、オークワフィナらライバルを押しのけて主演女優賞にノミネート入り。先程の2作が勢いを落としたのと違い、勢いを上げています。

3番手が上がってきたとは言え、「Stand Up」が「(I'm Gonna) Love Me Again」や「イントゥ・ジ・アンノウン」より劣っているのかと聞かれたら僕は強く否定しますよ。元から僕はこの曲が一番だと思っていましたし、キャッチーなメロディでありながら風格もあり、歌詞には強いメッセージがこもっており、まさに"今"のアカデミー歌曲賞にぴったりだと思うのです。今回ノミネートされた楽曲はYouTubeなんかで簡単に聴けるので、是非。

ということで、僕の予想は『ハリエット』、「Stand Up」。

長編ドキュメンタリー映画賞

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ノミネート
・『アメリカン・ファクトリー』
・『The Cave』
・『ブラジル -消えゆく民主主義-』
・『娘は戦場で生まれた』
・『ハニーランド 永遠の谷』

この5作の中だと『アメリカン・ファクトリー』、『娘は戦場で生まれた』、『ハニーランド  永遠の谷』の3本が前哨戦で強い印象を残しており、作品の評価も群を抜いて高いですね。ただ『ハニーランド 永遠の谷』は国際長編映画賞の北マケドニア代表としてノミネートを果たしているので、国際長編映画賞の方に票を入れる人と、長編ドキュメンタリー映画賞の方に票を入れる人で分かれてしまう恐れがあるんじゃないかと。

前述の理由で今年は『アメリカン・ファクトリー』と『娘は戦場で生まれた』の一騎打ちだと思うんですけど、この予想が非常に難しい。前哨戦での結果がほぼほぼ互角に近いんです。『アメリカン・ファクトリー』はDGA(全米監督協会賞)、インディペンデント・スピリット賞などを受賞、『娘は戦場で生まれた』はBAFTA、英国インディペンデント映画賞などを受賞。ただこれを観て分かるのは、『アメリカン・ファクトリー』はアメリカの賞を受賞することが多く、『娘は戦場で生まれた』はイギリスの映画賞で頭角を現している。アカデミー賞はもちろんアメリカの賞なので『アメリカン・ファクトリー』が有利になりますね。まぁタイトルが『アメリカン・ファクトリー』ですからね。しかもこの映画、オバマ前大統領のHigher Ground Productionsが製作しているんですよね。現在も反トランプ・親オバマが支持されているハリウッドでは、「オバマの映画に賞をあげたい」という声も大きいでしょうね。

批評サイトやレビューなどの作品評価で見てみると、割と『娘は戦場で生まれた』が『アメリカン・ファクトリー』に圧勝しているんですけど、この構図って2014年の『アクト・オブ・キリング』vs『バックコーラスの歌姫たち』の構図によく似てると思っていて、『アクト・オブ・キリング』が爆発的な絶賛を得て、様々な国で賞を受賞して、BAFTAも獲ったけど、しれっとアメリカの賞を地道に獲り続けていた『バックコーラスの歌姫たち』に返されてしまうっていう。似たような前例があるので今回も2014年と同じような感じになるんじゃないかしら。

ということで、僕の予想は『アメリカン・ファクトリー』。

長編アニメ映画賞

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ノミネート
・『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
・『失くした体』
・『クロース』
・『ミッシング・リンク』
・『トイ・ストーリー4』

個人的には『失くした体』に獲って欲しいんだけどねぇ。無理よね。

前哨戦では、『トイ・ストーリー4』がPGA(全米製作者組合賞)、CCAを受賞、『クロース』がアニー賞、BAFTAを受賞、『ミッシング・リンク』がGGを受賞。アニメの賞は毎年被りがちになるんですけど、今年は珍しく分散してますね。前哨戦での受賞経験が多いこの3作品の中で決まると思いますけど、『ミッシング・リンク』は作品評価がそこまで高くないですし、GGは年初めの賞であまり参考にはならないので、『トイ・ストーリー4』と『クロース』に絞られた感じですね。「じゃあアニー賞を獲った『クロース』が確率高いんじゃないの?」って思われがちですけど、アニー賞って実はあんまりオスカーとの合致率は高くないんですよね。で、先程挙げた賞以外に実はアニー賞を凌駕するほど重要な賞があって、それはEddie(全米編集者組合賞)なんですね。Eddieには2009年からアニメ映画の編集賞が設立されていて、2018年までに発表された10回中、アカデミーアニメ映画賞と9回結果が合致してるんですよ。さらに、その外れた1回もアカデミー賞の規約ノミネート出来なかった『レゴ・ムービー』なので、実質完璧に的中しているんですよ。

で、今年はそのEddieを『トイ・ストーリー4』が受賞しているので、軍配はNetflixではなくピクサーに上がりましたね。

ということで、僕の予想は『トイ・ストーリー4』。

国際長編映画賞

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ノミネート
・『Corpus Christi』 - ポーランド
・『ハニーランド 永遠の谷』 - 北マケドニア
・『レ・ミゼラブル』 - フランス
・『ペイン・アンド・グローリー』 - スペイン
・『パラサイト 半地下の家族』 - 韓国

昨年の『ROMA/ローマ』みたいな形になってますね。作品賞にノミネートされている作品が圧倒的な最有力になる形。『パラサイト 半地下の家族』が頭8つぐらい抜きんでてますね。

ただ、ここが確定で『パラサイト』に渡るとも限らなくて、作品賞に『パラサイト』を推す人が多くなった場合、国際長編映画賞は別の作品に渡したほうがいいと、考える会員が出てくると思います。そうなると、昨年のカンヌ国際映画祭から『パラサイト』と共に様々な賞にノミネートされてきた『ペイン・アンド・グローリー』や『レ・ミゼラブル』が票を集めるかも知れません。

さらに最近、あくまで噂段階ですが、海外メディアが国際長編映画賞のプレゼンターはペネロペ・クルスが務める可能性があるとの記事を出しました。そうなると、同郷かつ彼女が監督の作品のキャストの常連として知られるペドロ・アルモドヴァル監督の『ペイン・アンド・グローリー』に渡さないとダメでしょ。ペネロペ・クルスがプレゼンターでノミニーにアルモドヴァルがいるのであれば、それはオスカーの壇上で2人のツーショットを見せなきゃダメでしょ。仮にこの報道が事実なのだとしたら、作品賞『パラサイト』、国際長編映画賞『ペイン・アンド・グローリー』になる可能性も高い。

ただまだ噂段階なので、依然『パラサイト』圧倒的最有力は変わりません。授賞式のプレゼンターがどうなるか見ものです。

ということで、僕の予想は『パラサイト 半地下の家族』。

脚色賞

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ノミネート
・スティーヴン・ゼイリアン - 『アイリッシュマン』
・タイカ・ワイティティ- 『ジョジョ・ラビット』
・トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー - 『ジョーカー』
・グレタ・ガーウィグ - 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
・アンソニー・マクカーテン - 『2人のローマ教皇』

とうとう主要部門に入りましたよ。書いている私は非常に眠いです。頭が回りません。えー、今年の脚色賞は本当にレベルが高い。5本とも例年なら獲っておかしくないものだと思います。前哨戦序盤は誰もが知るクラシックノベルに現代的解釈を混ぜ込み再構築し、『若草物語』を観ているんだけども、それ以上にグレタ・ガーウィグの映画を観ている感覚を味合わせてくれた見事な脚色の『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が、CCA、USCスクリプター賞と重要賞を受賞してたんですが、WGA(全米脚本家組合賞)を『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティが受賞してから流れが変わりましたね。そのままBAFTAも受賞して、ポン・ジュノとのラブラブ写真がSNSでバズってトレンドがタイカに移っちゃった感じですな。正直、今回ノミネートされている5作の中で『ジョジョ・ラビット』が脚本としてのクオリティは一番低いと思うんですけど、まぁみんなタイカのスピーチ見たいもんね!しょうがないっすわ。

ということで、僕の予想は『ジョジョ・ラビット』。

脚本賞

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ノミネート
・ライアン・ジョンソン - 『ナイブス・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
・ノア・バームバック - 『マリッジ・ストーリー』
・サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ - 『1917 命をかけた伝令』
・クエンティン・タランティーノ - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
・ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン - 『パラサイト 半地下の家族』

脚色賞とほぼ同じこと言います。えー、今年の脚本賞は本当にレベルが高い。5本とも例年なら獲っておかしくないものだと思います。前哨戦序盤は安定の人気を持つクエンティン・タランティーノがGG、CCAを重要賞を連取してたんですが、WGAを『パラサイト 半地下の家族』が受賞してから流れが変わりましたね。そのままBAFTAも受賞して、タイカとのラブラブ写真がSNSでバズってトレンドがポン・ジュノに移っちゃった感じですな。

まぁ、おふざけはこの辺にしておいて、現状の最有力であるタランティーノと『パラサイト』両方とも、弱点がありますね。まず、タランティーノ。彼は過去2度アカデミー脚本賞を受賞しており、今回受賞すれば3度目の受賞になる。様々な名脚本が揃っていた2019年から3度目の受賞をさせる必然性はあまり感じられない。そして、タランティーノは、盟友であったハーヴェイ・ワインスタインの問題で大きく株を下げてしまったことが未だに印象に残っている会員は少なくないのではないか。最近もポランスキー擁護発言をしてバッシングを受け、彼がこの時代にアカデミー賞を獲るべき人物としてふさわしくないと思う会員も少なくないだろう。

対する『パラサイト』も、外国語映画という大きな壁が残っている。タランティーノにしろ、バームバックにしろ、『ナイブズ・アウト』にしろ、英語作品だと多くの会員は脚本家が書いたセリフのニュアンスを完全に理解することが出来る。しかし、韓国語映画の本作は翻訳された文章を会員が見ることになるため、ポン・ジュノが実際に意図したセリフを100%受け取れないことになってしまう。ただ、第75回で脚本賞を受賞したペドロ・アルモドヴァルの『トーク・トゥ・ハー』は全編スペイン語の映画だったため、意外と言語の障壁という物は薄いのかもしれない。そもそも、『パラサイト』は会話の細かなニュアンスを楽しむ作品というよりは、大胆で予測のつかないストーリー展開を楽しむ作品と言える。しかも、翻訳された字幕などで本作のセリフを見たとしてもやっぱり会話の面白さが完全に削がれる訳ではなく、あくまで脚本家の意図が伝わりきらない可能性があるというだけなので、様々な言語が飛び交う社会になりつつある中で、韓国語の脚本だからってどうって事ないのかも知れない。

ということで、僕の予想は『パラサイト 半地下の家族』。

俳優賞

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ノミネート (主演男優賞)
・アントニオ・バンデラス - 『ペイン・アンド・グローリー』
・レオナルド・ディカプリオ - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
・アダム・ドライヴァー - 『マリッジ・ストーリー』
・ホアキン・フェニックス - 『ジョーカー』
・ジョナサン・プライス - 『2人のローマ教皇』

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ノミネート (主演女優賞)
・シンシア・エリヴォ - 『ハリエット』
・スカーレット・ヨハンソン - 『マリッジ・ストーリー』
・シアーシャ・ローナン - 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
・シャーリーズ・セロン - 『スキャンダル』
・レネー・ゼルウィガー - 『ジュディ 虹の彼方に』

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ノミネート (助演男優賞)
・トム・ハンクス - 『A Beautiful Day in the Neighborhood』
・アンソニー・ホプキンス - 『2人のローマ教皇』
・アル・パチーノ - 『アイリッシュマン』
・ジョー・ペシ - 『アイリッシュマン』
・ブラッド・ピット - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

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ノミネート (助演女優賞)
・キャシー・ベイツ - 『リチャード・ジュエル』
・ローラ・ダーン - 『マリッジ・ストーリー』
・スカーレット・ヨハンソン - 『ジョジョ・ラビット』
・フローレンス・ピュー - 『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
・マーゴット・ロビー - 『スキャンダル』


つまんなぁぁいいぃぃぃ!!!!


今年の俳優賞は全然面白くない!もう主要な前哨戦の4人は固定だし、予想のし甲斐が無さすぎるでしょコレ。

主演男優賞 : ホアキン・フェニックス - 『ジョーカー』
主演女優賞 : レネー・ゼルウィガー - 『ジュディ 虹の彼方に』
助演男優賞 : ブラッド・ピット - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
助演女優賞 : ローラ・ダーン - 『マリッジ・ストーリー』

これにしか成りようがないでしょ!?
前哨戦の俳優賞で重要な賞はこの全部門予想で幾度となく名前が出ているGG(ゴールデングローブ賞)、CCA(クリティックス・チョイス・アワード又は放送映画批評家協会賞)、BAFTA(英国アカデミー賞)に加えて、SAG(全米映画俳優組合賞)。この4賞が非常に重要になります。なので、この4賞をすべて受賞した俳優はその年のアカデミー賞を確実に獲るといっても過言ではないわけです。で、今年のホアキン、レネー、ブラピ、ローラの4人はその4賞を制覇してるんです。

敢えて、この4人の不安要素を挙げてみますけど、まずローラ・ダーンに不安要素は無いです。次にブラッド・ピットも不安要素は無いです。更にレネー・ゼルウィガーにも不安要素は無いです。問題はホアキンなんですよ。

ホアキン・フェニックスは過去のドッキリは清算済みのものとしますけど、スピーチに不安が残りますね。GGのF〇CKだらけのスピーチから、急に優等生になったSAG、から一転して鋭い賞批判を行ったBAFTA。ただあの4賞受賞ってスピーチがどうこうで動くようなヤワな物じゃないんですよね。業界も彼の実力は絶対に認めてるはずなので、今回は獲ると思いますけどねぇ。まぁなら『ザ・マスター』の時にあげとけよって思いますけど。

ホアキンには是非オスカーの壇上で大暴言を吐いて頂きたいですね。

ということで、僕の予想は主演男優賞にホアキン・フェニックス、『ジョーカー』。主演女優賞にレネー・ゼルウィガー、『ジュディ 虹の彼方に』。助演男優賞にブラッド・ピット、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。助演女優賞にローラ・ダーン、『マリッジ・ストーリー』。

監督賞

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ノミネート
・マーティン・スコセッシ - 『アイリッシュマン』
・トッド・フィリップス - 『ジョーカー』
・サム・メンデス - 『1917 命をかけた伝令』
・クエンティン・タランティーノ - 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
・ポン・ジュノ - 『パラサイト 半地下の家族』

ここも面白くないなぁ。サム・メンデスがGG、CCA、BAFTA、DGA(全米監督組合賞)と主要賞は全部制覇してて、俳優賞の4人みたいにサム・メンデスにしか渡りようがないんですよね。勿論、第一次世界大戦化での若き兵士の伝令をワンカット風映像で描くというのは現場を指揮する映画監督の技量がかなり作品に影響を与えるので、受賞したとしても納得なのですが、『ゼロ・グラビティ』以降、長回しが特徴的な作品ばっかり監督賞を獲ってて、「またかよ」感があるんですよね。多分、俳優賞と監督賞は白目剥きながら見てると思います。

敢えて対抗を選ぶとしたら、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノなんですけど、主要賞の受賞経験がCCAでのサム・メンデスとのタイ受賞しかないので、かなり厳しい印象。Twitterとか見てるとポン・ジュノはかなりアイドル的な人気になり始めてるんですけど、世間人気と賞受賞はイコールにならないので、今回はサム・メンデス独走かと。

ということで、僕の予想はサム・メンデス、『1917 命をかけた伝令』。

作品賞

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ノミネート
・『フォードvsフェラーリ』(20世紀フォックス)
・『アイリッシュマン』(Netflix)
・『ジョジョ・ラビット』(フォックス・サーチライト)
・『ジョーカー』(ワーナー)
・『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(コロンビア映画)
・『マリッジ・ストーリー』(Netflix)
・『1917 命をかけた伝令』(ユニバーサル)
・『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(コロンビア映画)
・『パラサイト 半地下の家族』(NEON)

前にツイートした通り、今年僕は『パラサイト 半地下の家族』に賭けます。

いや、そりゃあ普通に考えたら『1917 命をかけた伝令』なんですよ。GG、BAFTA、PGAを獲ってるので。ただ、一応アジア人の端くれとして、韓国の映画がアカデミー作品賞にノミネートされたなんて事態になったら、応援してしまうのが人情ですし、作品賞のプレゼンターが「Parasite!」と呼び、ポン・ジュノとソン・ガンホがハグし、アカデミー賞の神聖なる舞台上にパク家とキム家が勢ぞろいするのをどうしても妄想してしまうんですよね。

今、アジア系の人々はコロナウイルスの問題で差別にさらされています。生身の人間であるのにも関わらずウイルス扱いされ、アジア以外でアジア人が街を歩くだけで、冷たい目で見られ、酷い時には罵倒される。ただでさえウイルスの恐怖に怯えなければならないのに、差別にも怯えなくてはならなくなる。そんな現状だからこそ、韓国映画である『パラサイト』がアカデミー賞最高の名誉である作品賞を受賞して、今差別にさらされている人々に希望を与えて欲しい。「アジア系の人々は今、辛い状況にいる。でも、アジア人にだって力はあるんだ!」と世界に示して欲しい。『1917』も素晴らしい映画だけど、来年獲ってもいい、再来年獲ってもいい。だけど、『パラサイト』は今獲らなければいけない作品だと思うのです。

言わずもがなですが、現代の格差社会を強烈に映し出すタイムリーな1作。僕はこの作品が獲るべきだと思ってます。『ワンハリ』が獲ったらキレます。こんな感じで。

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というわけで、今年の僕のアカデミー賞予想はこんな感じです。まぁ予想が当たったからと言って何か貰える訳でも無いし、誰かから褒められる訳でも無い。完全に自己満足の世界、言い方を最低まで悪くすると手間暇かけたオ〇ニーみたいなもんなんで、仮に10部門ぐらいしか当たらなかったとしても、君たちああだこうだ言わないように!

約17000文字に渡る駄文、眠い状態で書いている時が多かったので文体が酷いことになってますが、初投稿なんで許してよね?ね?ね?

最後まで読んでくださった方、誠にありがとうございました!


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