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【#私だけかもしれないレア体験】滑舌を金で買った話 #2022ベストバイ

滑舌を買うというレア体験

どうも、山田トメです。トメェ
今年は珍しいものを買いまして、滑舌を買いました。
滑舌仙人に会いに行って、お金を渡して、滑舌を買ったんです。

それがまあ、もしかすると、同じ境遇の人の役に立ったりするんじゃないかな~、なんて思って記事にしてみます。
「滑舌が悪いよ~」「特定の五十音がうまく発音できないよ~」「舌足らずorベロ長のせいだから治しようが無いよ~」って人には特に読んでほしいです。

どうせ書くなら届くべき人まで届いてほしいな…と思い、
#私だけかもしれないレア体験 、#2022ベストバイ 、#買ってよかったもの 等々の企画にタダ乗りしてやろうと、いろいろハッシュタグ付けてます。
純粋なベストバイ記事やレア体験が読みたかった方、スミマセン。
それでは本題へレッツゴー。

私の滑舌がいかに終わっていたか

子どものころから滑舌が終わっていました(;;)
吃音と呼ばれるような音が詰まってしまうタイプの滑舌ではなくて、
特定の五十音をうまく発音できないタイプの滑舌の悪さでした。

具体的に説明すると、「イ段」
特に、「キ」「シ」「チ」「ジ」など摩擦音が混ざるイ段が苦手でした。
イ段を話しているはずなのにウ段のような音が混ざっていて、唇の横から息が漏れているせいで発音が濁ってどうにも気持ち悪い。
文字で書いても伝わりづらいでしょうか。
滑舌仙人(後ほど登場します。今は聞き流してください。)のホームページに、私と全く同じ滑舌の方が、
イ」、「キ」、「シ」、「チ」と発音している音声データがあったのでリンクします。
https://tokyoaccent.com/accent/i2.wav

・・・聞き取りづらいですよね。
イ段を話すたびに何度も聞き返されたり、
結局聞き取ってもらえず苦笑いで済まされたり、
「私」と言っているつもりなのに、「わたす」と聞き取られ、変なおじさんだと思われてしまったりと苦労は絶えませんでした。

滑舌が悪いとなにがつらいか

滑舌が悪くてつらかったことは主に2つです。

1つ目は…とにかく申し訳ない。
話し相手に聞き返させたり、聞き返しで会話がいったん止まって場が盛り下がってしまうことを申し訳なく感じていました。

2つ目は…会話に100%集中できない。
イ段が苦手だ、という自覚はあるものだから、
どんな会話をしていても、イ段を使わないように意識してしまいます。

例えば、旅行の話をしていたとして。

ともだち「どこか行ってみたい国とかあるー?」
私(イギリス行きたいな…。うわっ!でもイギリスってイ段ばっかだ!イギリスってそのまま言っても聞き返させちゃうよなあ…うーん。。。。。。)
私「英国、かな」
ともだち「英国!?なんでそんな言い方…?」

みたいな。
友達との雑談でも、営業の仕事でも、会話の内容だけに集中することができず、いつもイ段を使わないことを頭のどこかで考えている・・・
それが少しストレスでした。 
(こんな風に苦手な発音を言い換えようとする分、語彙が増えたり類語に強くなったりするのは、滑舌悪い人あるあるだと思います…)

滑舌仙人の存在を知る

ある日なんとなく、滑舌良くしたいな~と思い立って、
【滑舌 治し方】【イ段 発音 苦手】などと検索していると、
興味深い書き込みが目に飛び込んできました。

「銀座に滑舌仙人がいるらしい」
「滑舌仙人の手にかかれば、滑舌の問題なんてちょちょいのちょいで治る」

なんで仙人が銀座にいるんだよ、仙人は山奥に居ろよ。
とは思ったものの、この書き込みは見過ごせません。

調べてみると、滑舌仙人と呼ばれるその方は、
発音専門の指導者であり、音声学の講師であり、日本音声学会員の会員であり、元フリーアナウンサーである。つまりは発音のプロであることがわかりました。
そしてそのプロが、銀座に”東京アクセント教室”という教室を構えている…。
なんかすごい。この人の存在を知れたのは偶然ではないような気がしてきて、滑舌仙人のホームページを読み漁ります。

私の滑舌には名前がついていた

滑舌仙人のホームページを読み漁っていると、
「これは、まさに、自分のことなんじゃないか!?」という記述を見つけます。
(引用の後に要約するので、引用部は サッ! と読み流しちゃってください)
(マジで長いので読み流しというか読み飛ばしちゃって大丈夫です)

「機能性構音障害」とは、医学的な原因病変がなく一部の発音の音価が歪むことです。病気や麻痺、口の中の異状・けがなどと関係なく、幼少の頃より発現する発音異常です。異常音発生のメカニズムは明らかですが、真の原因ははっきりしません。
発話全般が異常となるわけではないので幼児語の一種と思われたり見過ごされたりすることが多く、短期間のうちに自然に治ってしまうこともありますが、小学校に入る頃になっても治らないものが問題視されることになります。その後小学校高学年頃までに治らなかったものは放置すればそのまま成人に達するのが普通です。
問題音は個人によって特定の音に限られ、他の音は正常です。ふつう問題音は丁寧に発音しても正しい発音になりません。
(略)
基本的に舌の形と位置が間違っているために正しい呼気の流れが阻害されたり間違った位置で音が発生して起こるもので、発音が正しくないと同時に、唇やアゴ、の動きが不自然に見えます。また、口の中の息の流れ方がおかしいと自覚することもあります。
多くのものは十分な自然治癒は期待できず、また家庭でも学校でも見過ごされたり諦められたりして正しい矯正の機会が得られずにそのまま成人まで持ち越されるケースが大部分です。コミュニケーションに重大な(全般的な)齟齬をきたすことは少ないのですが、よく聞き返されたり聞き間違えられたりし、丁寧に言い直しても改善されません。また本人に自覚があり自分で治そうと工夫しても、自己聴覚モニターの歪みのために正しい目標音の設定と評価ができず、自身だけでの改善は困難を伴います。

https://tokyoaccent.com/accent/koon.htm

側音化構音とは機能性構音障害のうち概ね次のような種類のものを言います。
●キ、ギが正しく言えない。
●ケ、ゲが正しく言えない。
●サ行がシャ行やヒャ行のようになる。
●シが正しく言えない。
●ジ、ヂが正しく言えない。
●チが正しく言えない。
●ツがチュ、キュ、クのようになる。
●ニが変だ。ギのようになる。
●ヒが正しく言えない。
●ヤ行が正しく言えない。
●リが正しく言えない。ギのようになる。
●拗音(キャ、シャ、チャ、・・・ など)が正しく言えない。
●ある発音の時だけ息が横に漏れる気がする。

上記のような構音障害は医学的治療にはなじまない性質のものです。
ぜひ当科の専門的構音指導をお考えください。

https://tokyoaccent.com/accent/sokuon.htm

要約&補足すると、
・舌の病気とかじゃないのに発音がおかしくなることを、「機能性構音障害」って言うよ~。
・機能性構音障害は普通は子どものころに自然に治るけど、たまに治らないまま大人になっちゃうよ~。
・機能性構音障害は舌の使い方の問題なんだけど、舌の使い方ってクセになっちゃってるから大人になってから自力で治すのはほぼ無理やで~。
・機能性構音障害の中でもメジャーなのが、特定の音だけ苦手になる
「側音化構音」ってやつだよ~。病院じゃ治んないから滑舌仙人のとこまで来てや~
とのこと。

私って完全に、これ。機能性構音障害、側音化構音じゃん。
私の滑舌って、病名ついてたんじゃん。
ってことは治る可能性ある…ってコト!?
滑舌仙人のところ行けば治るの…?
と一筋の光が見えてきました。

滑舌仙人のレッスンは1回60分で7500円
平均指導回数としては、3回のレッスンで治るが、
人によってどれくらいの時間がかかるかはバラつきがあって、
1回だけで治る人もいれば、8回ほどかかった人もいるとのこと。

もし8回かかるとしたら、
7500円×8回=6万円・・・。
20代の自分からすると決して安くはないお値段…。
けれどこの頃には、もはや滑舌を治したい気持ち以上に、滑舌仙人に会ってみたい気持ちがまさっていたので、勢いでレッスンを申し込んでみました!

滑舌仙人に会いに行ってみる

自分の重症な滑舌を治すには時間がかかると思い、初回は2時間分のレッスンを予約。緊張しながら申し込んだものの、意外と返信はあっさり。

仙人もメールとかするんだね

そして、初レッスンの日がやってきます。
銀座の街の高級感に気圧けお されながらも、東京アクセント教室がある雑居ビルまで向かいます。
(本当に滑舌仙人が銀座にいるのか・・・?)
(ってか滑舌仙人は実在するのか・・・?)(詐欺なんじゃないか?)
なんて思っているうちに、ビルに到着。

エレベーターに乗り、ついに東京アクセント教室が目の前に。
ドアをノックします。

滑舌仙人のレッスン

「本日予約した山田ですー。」
ノックしたあと、ドア越しに挨拶をすると、
「アイッ、はいはい~入って~」と軽やかな返事。
ドアを開けると、そこには仙人とはかけ離れた風貌のおじいさんが立っていました。
ヒゲは生えておらず清潔感があって、とにかくハンサム。
滑舌仙人の正体は、イケおじでした。

軽い自己紹介を交わして、レッスン開始。
大きなライトが置かれた机を挟んで、仙人と対面します。
仙人は立ち上がり、私は仙人のほうを仰ぎ見ながらライトが口の中を照らすように位置を調整します。
こうして、仙人が私の口内のすべてを見渡せるようにセッティングした後、五十音を一つずつ発音していきます。
「ア!」「ハイ次ー」「イ!」「ハイ次ー」「ウ!」「ハイ次ー」・・・・

全ての五十音を発音し終えると、仙人は椅子に腰をかけてひとこと。
「うん。典型的な側音化構音だね。」
つづけて、側音化構音の説明と、どうやって治していくかの説明を受けました。
要約すると以下の通り。
・キミは舌が長いから、イ段を発音するときの舌の置き場が間違っている。そのせいで側音化構音になっている。
・まずはレッスンの中で正しい舌の置き場を教える。単音で正しい発音ができるようにする。
・その後は、早口な会話の中でも正しい場所に舌を置けるよう反復練習をする

治療手順の説明を受け、いざ、正しい舌の置き場所を学びます。
このレッスン内容は自分にとって、とても衝撃的なものでした。
「キミはイ段を発音するとき、舌を右上の臼歯の裏にくっつけながら、顎を右に引き延ばして、その隙間から音を外に出そうとしているね。
そんな発音方法は世界中のどの言語にもないんだよ。
普通の人はイ段を話すとき、舌を下の歯にくっつけることで発音しているんだ。」

そうなんです。正常な滑舌の人には何を言ってるか1ミリも伝わらないと思うんですが、これまで私はこんな発音方法をしていたんです。
麻生太郎のように口と舌を右側に歪めて、その隙間から呼気を通すことで、イ段を発音しようとしていました。

右側に口を歪める、従来の私の「イ!」

そして、その発音方法が間違っているともいっさい疑わずに、
自分の滑舌が悪いのは舌が長いせいだと盲信し続けていたのです。

これがわかってしまえば、残りのレッスンは単純です。イ段の仮名かな を一音ずつ発音して、都度、仙人の修正を受けながら、再度発音を繰り返します。
「舌はもっと下の歯にくっつけるイメージで」
「歯にくっつけながらも舌を脱力して」
「だめ!また口が歪んじゃってるよ」

初回のレッスン2時間を終えるころには、すべての五十音を問題なく発音できるようになっていました。
仙人から、「うん、もう単音なら問題ないね」と嬉しい言葉をもらい、
(これまでの20数年はなんだったんだ…)と唖然とした気持ちと喜びが混ざった複雑な心境でした。

ここからの課題は会話の中ですらすらと正しい発音をすること。
仙人から、「アメンボ赤いなあいうえお」のイ段大量バージョンのような、練習フレーズシートをもらい、毎日2周は練習するよう命じられました。
ここで仙人から受けた注意がとても印象的でした。

今日のレッスンでは、わしのナビゲートがあったから不安にならなかっただろう。でも、ひとりで反復練習をしていると絶対に不安になる。
わしから教わった正しい発音をしているのに、これまで慣れ親しんだ発音と違うもんだから、その違和感が不安へと姿を変えて現れる。
その不安に負けたら、この2時間は、キミの支払った15000円はパーだ。
自分の感覚を信じるな。わしのことだけを信じなさい。
わしが教えた舌の位置、ただそれだけを信じなさい・・・。

一旦、余談を挟みます。
これは正常な滑舌の人からすると驚きの事実だと思うのですが、
滑舌が悪い人は、話している際中には自分の滑舌の悪さが認識できないものなのです。骨を伝って聞こえる自分の発音が正常に聞こえるのです。
慣れの問題なのか、骨伝導の問題なのかは分かりませんが、とにかく、自分の発音のおかしさを自分では認識できません。
他人から指摘されたり、はたまた録音した自分の声を聞いて、ゲッソリ。
ようやく自分の発音のおかしさに気づくワケです。

本題に戻ります。
仙人の予言のとおり、ひとりでの反復練習は不安に溢れていました。
それもそのはず。
これまで慣れ親しんだ誤った発音が正しいように聞こえ、
仙人に叩き込まれた正しい発音は誤っているように聞こえます。
それでもなんとか、誤って聞こえる方を信じながら、仙人に教えられた舌の位置を信じながら、反復練習を続けました。

結果、どう変わったか

2週に1回のペースで仙人のもとへ通い、その間、ひとりでブツブツと反復練習を繰り返した結果、
3日目のレッスン(初回が2時間だったので4時間目のレッスン)で、
仙人から「うん。もう教えることは一切ないね。あとは練習と日常会話で磨いていくだけ。車でいうなら、仮免許だね。」とお墨付きをもらいました。
ヨッシャ!(´◔౪◔)۶

前項で述べた違和感もなくなりました。
仙人のもとへ通い始めて3週間くらいでしょうか?
急に正しい発音から違和感がなくなったのです。試しに、馴染み深いはずの昔の発音をしてみると、代わりに今度はこちらに激しい違和感をおぼえるようになりました。
ある時、とたんに違和感をおぼえる方の発音が入れ替わったのです。
これはとてもおもしろい体験でした。慣れのちからってすげー!

日常会話でも、聞き返されることはほとんどなくなりました。
話すときにイ段を避けて他の言葉に言い換えようと思うこともなくなりました。むしろ、訓練のために狙ってイ段を使おうとすらしています。イギリス、ギリシャ、キリギリス、かかってこいや。
(イ段を避けよう…)という邪念が消え去って、以前より会話を100%で楽しめています。

結果、4時間のレッスン=3万円で、滑舌を購入することができました。
3万円で20年以上つきまとっていた問題を解決することができたわけです。
これは2022年のベストバイ、いや人生のベストバイと言っても過言ではないでしょう。
滑舌でお困りの方、滑舌仙人のもとへ行ってみてはいかがでしょうか!

最後に

この体験記は、自分と同じ境遇の人のためになったらな~と淡い希望を持って書きました。
【滑舌 悪い】【イ段 苦手】だとか検索してこの記事にたどり着いてくれた方がいたら嬉しいです。

最後の念押しで伝えておくと、滑舌仙人こと小森先生はとても素敵な先生です。音声学の知識はもちろんのこと、コーチングの技術が素晴らしい。(個人練習で不安になることを予測して、「舌の位置だけを信じろ」と伝えるところとか、コーチングのお手本ですよね。)
あと、単純に人としておもしろいです。

これは滑舌仙人のことなんですが、普通、生徒にこんなこと言うやつおらんだろ!おかしいよ!レッスンでオウム真理教の話すな!
でも、こんなこと言われても不思議と不快にはならないんですよね…
これが人間としての魅力というヤツなんでしょうか。

自分の場合、全レッスンに3万円をかけたワケですが、正直、滑舌が治らなくても文句は言わなかったと思います。そう言い切れるほど、レッスン中の会話や、仙人の話す音声学の知識が面白かったです。
キャバクラとか行ったことないけど、キャバクラもそのくらいの値段するんでしょ?本音で話してくれないネーチャンと鏡月飲むよりも、偏屈な仙人と話した方が楽しいよ。そのくらいオススメ!

この記事を読んで、少しでも気になった方がいたら連絡ください。
noteはめったに開かないけど、ツイッターのDMなら見逃すこともないと思います。どうぞお気軽に!

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
それでは、良い年の瀬をお過ごしください~🌄🌄🌄


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