「旅の鳥・*・第一部」
はじまり/命には、それぞれに生まれ持った固有の能力が備わっている。
例えば、息を吹けば飛んでしまうような米粒ほどの像を彫り上げる人がいたり、あるいは、たった一人きりで立派な聖堂を建ててしまう人がいたり、中には、流れる雲を見、空気のニオイを感じて先の天気が読める人もいれば、植物の声が聞こえる人、動物と話しが通じるような人もいる。
いかなる能力者も、当人たちにとっては、他の人にはない能力を自分なりに磨き上げている内に、それが大したことではなく、出来るようになってしまうものだ。