【日本神話のカードで占う・1】日本神話の構造や世界観
日本の神様カードなど、日本神話が題材のカードを使って占いをするために、日本神話と日本の神々について理解を深めたい。
それぞれの神が象徴するものを確かめる前に、まずは日本神話全体の構造や世界観など、日本神話全体をどう捉えるかについて整理します。
日本神話を見つめる視点
日本神話の全体像を、次の三つの視点から見ることができます。
・三機能体系
・中空均衡構造
・宇宙論
では、それぞれの視点について、概要を説明します。
(『古事記』『日本書紀』を歴史書、皇国史観の正統性を示す書物として見る視点がありますが、これらの視点については一般的な視点だと思われるので省略します。)
三機能体系
三機能体系とは、世界を維持する働きを、三つの機能に分けて捉える概念のことです。
三機能体系では、世界を維持する働きを、以下の三つの機能に分けて捉えます。
第一機能:王と司祭(神聖王権、宗教、魔術、正義、知恵)
第二機能:戦士(暴力、武力、激しい大気現象)
第三機能:生産者(豊穣、多産、富、愛欲、性的魅力、健康、医療)
この三機能が、日本神話から読み取れます。
代表的な例をあげると、神の性質として、第一機能にアマテラスが、第二機能にスサノウが、第三機能にオオクニヌシが対応する、という対応関係が読み取れます。
中空均衡構造
日本神話に登場する神々の関係の構造に、中空均衡構造を見ることができます。
日本神話に登場する神々の性質や力関係を見ると、「中心に強力な力を持った神がいて、その中心の神が全体を統合する」関係にはなっておらず、「中心に何もしない神がいて、その他の神々は、何もしない神の周りで部分的な対立や葛藤をしつつも、調和しながら全体性を形成する」関係になっています。
中空均衡構造とは、この「中心に何もしない神がいて、その他の神々は何もしない神の周りで部分的な対立や葛藤をしつつも、調和しながら全体性を形成する」関係のことです。
日本神話の世界では、強いものと弱いもの、正しいものと間違っているもの、上に立つもの下に立つもの、というはっきりした切り分けが行われることはありません。受容的な世界です。ただし、中空均衡構造そのものを壊す可能性があるものは、そもそもいなかったかのように、完全に排除されてしまいます。
宇宙論
日本神話を、気象の変化と天体の運行の様子を書き表した、宇宙論として読むことができます。
日本神話には、冬至から夏至までの、気象と天体の様子が描かれています。
大泣きをするスサノウが天にいるアマテラスを訪ねる場面が、乾季がやってきたことを書き表しています。アマテラスの天の岩屋戸への引きこもりが、冬至の訪れを、そして、ニニギが登場する天孫降臨物語が、夏至の訪れを書き表しています。
アマテラスが天の岩屋戸へこもったときに、岩屋戸の前で神々が行った儀礼と、同じかたちの儀礼が、現在、日本の宮中でも行われています。
日本神話には、現実の世界の自然現象の様子と、今も行われる儀礼の起源が書き表されています。
詳しくは
三つの視点について、より詳しく、以下の記事で紹介していますので、気になる方は以下の記事も見てみてください。
参考文献
『日本神話事典』監修 - 大林太良、吉田敦彦
『神話と日本人のこころ[岩波現代文庫]』河合隼雄
『日本神話のコスモロジー』北沢方邦
『古事記の宇宙論(コスモロジー)』北沢方邦
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