スポーツリハビリで役立つ動作評価
2020.10更新
❶片脚立ち
臨床において片脚立ちを評価する機会が多いかと思います。
片脚立ちを何秒できるのかという量的な評価だけでなく、どのように姿勢を制御しているかといった質的な評価をすることで、身体におおよそどのような力が働いているのか予測していきます。
動作を観察し、その動作を考察する上で外力(重力や慣性力、床反力など)と内力(筋収縮)を分けて考える必要があります。
臨床で良く見かける、Trendelenburg徴候、Duchenne徴候を股関節外転筋の筋力低下と結論付ける前に、外力がどのように働いているのかを考える必要があります。
片脚立ちを以下の項目での評価方法をご紹介していきます。
❷体幹回旋
立位での体幹回旋動作を確認します。
体幹回旋動作において、胸椎と股関節の回旋が可動域の観点から重要ということはご存知かと思います。
評価ではそれぞれが体幹回旋にどのような影響を及ぼしているのかを考えていきます。そこで体幹回旋に伴う運動連鎖を確認します。
体幹回旋動作にて、対象者に足圧中心を感じてもらうのと同時に、代償動作の有無を確認します。
体幹回旋不全がある場合、前額面における体幹側屈で代償することが多く感じます。そのため、両側の腸骨稜を結んだ線の傾き、両肩峰の結んだ線の傾きを確認し、体幹側屈の代償動作を確認します。
股関節、足関節、胸郭の機能不全によって、体幹回旋に与える影響についてご説明していきます。
❸Over Head Squat
前額面及び矢状面で動作を観察します。
この評価では
とされています。
また動作のチェックポイントは以下の通りとなります。
関節運動では足関節背屈、膝関節・股関節屈曲、胸椎伸展、肩関節屈曲と外転の評価となります。
以上を基に、OHSを可動性、姿勢制御、骨盤・コアの安定性の観点より評価のポイントをお伝えしていきます。
❹並進バランス
坐位、肩関節を90度外転位をスタートポジションとします。
両肩峰を水平に保ったまま側方移動させ、その移動量を評価します。
その際に足部を地面に着いた状態と、地面から離した状態の2つのパターンで評価を実施します。
並進バランス(上肢リーチ動作)によって、
以上を評価します。
並進運動では、
骨盤の傾斜に対して、非移動側の内外腹斜筋が胸郭の傾斜を制御します。
また胸郭の傾斜に対して非移動側僧帽筋による肩甲骨下方回旋および内転、運動側前鋸筋による肩甲骨上方回旋により、胸郭を垂直位に保つ働きをしています。
以上の立ち直り反応により、胸郭の垂直位が保たれることで頭部は安定します。
しかしいずれかの機能不全により、両側の肩関節を水平に保たれなくなることで胸郭が傾斜し、頭部の立ち直り反応を引き起こすことになります。
❺Calf raise|評価
壁より数cm離れ、壁に手を当てた状態で片脚立ちになり踵を上げます。対側股関節を屈曲させ、同側の股関節は伸展位になるようにします。
以上から
底屈時の回内・回外アライメントは構造的な安定性および、底屈筋群の評価となります。
またcalf raise時には後脛骨筋、長腓骨筋の作用により横アーチが形成されることで、MP関節を支点とした動きを可能とします。
さらにMP関節伸展により足底腱膜が緊張することで、ウインドラス機構が働き内側縦アーチに安定性をもたらします。
歩行時の立脚後期を反映させるため、同側股関節を伸展位で運動連鎖を考慮して評価を行います。
以上よりcalf raiseを
これらのポイントで評価します。
動作評価❶|片脚立ち
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