幸せなんてない

小学校、中学校、高校、大学、そして大学院と人生を振り返ってみて、今が精神的な充足感が一番大きいと感じる。でも、今の状態を一番幸せだ、と表現するのは少し気後れする。たぶん、これまでの経験とか感情とか、そういう自分の中の集積知みたいなのがそうさせるんだろう。

思い出してみると、中学高校時代はちょっとした暗黒時代みたいな、もやがかかったような印象がある。常に何かに圧迫されていたような息苦しさと、劣等感と、疲労感。それでいて本当は自分にも分からない何か特別な素質があって、いつか変われるんじゃないかという妙な期待も抱いていた。成功さえすれば、億万長者になれば、あらゆる悩みや問題が解決されるんだという考えは、何も持っていない人間には唯一の逃避先だったのかもしれない。

大学時代。自分の好きなものに出会え、人生で初めて何かに打ち込むということを経験した。何より楽しかったし、褒められることが多くなったので承認欲求もある程度満たされた。彼女もできた。こうした経験は、自己肯定感というものが人生の風景をいかに大きく変えるかを教えてくれた。一方で、その肯定感はどこかで驕りに変わり、視野を狭めてしまうことになった。

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