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【PMP×野球】#3:スケジュールマネジメント
「プロジェクトマネジメント」×「野球」
世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。
あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。
そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。
苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…
#3.スケジュール・マネジメント
<計画プロセス群>
3.1:スケジュール・マネジメントの計画
3.2:アクティビティの定義
3.3:アクティビティの順序設定
3.4:アクティビティ所要時間の見積り
3.5:スケジュールの作成
<監視・コントロールプロセス群>
3.6:スケジュールのコントロール
プロジェクトのスケジュールは以下の3つの観点を考慮すると理解が進む。
①アクティビティ間の前後関係に着目した論理的ネットワーク図
②アクティビティに必要な資源/資源の使用可能期間の特定
③開始から終了までの所要時間見積もり
上記の流れをシンプルにするならば、”正しく進んでいく流れ”を整理して、その先の”流れの中で必要な行動や作業を棚卸し”、そしてそれら”全体でどれくらいの時間を要するのか?”という一連の流れを掴む事である。
スケジュールマネジメント領域は、野球でいうところのファースト(一塁手)の役割的なイメージである。試合中に打者が出塁することになるが、これらの打者が進める順番は1塁から本塁までという方向性や順序は決まっている。
ファーストが”勝利を掴む”というプロジェクト成功に向けてやるべき準備としては、この走者の様子を観察すること。
それぞれ出塁してくる走者の属性情報(足の速さ、リードの幅など)や打席の打者結果によって、どこまでの進塁を許すことになるのか?という詳細で具体的なイメージを思い描きながら試合の進行を監視・コントロールしていく存在である。
3.1:スケジュール・マネジメントの計画
プロジェクトスケジュールを計画、策定、マネジメントして実行及びコントロールするための方針・手続きを文書化し確立するプロセス。
<3.1:スケジュール・マネジメントの計画(主なアウトプット)>
◎スケジュール・マネジメント計画書
スケジュールの作成、監視及びコントロールに必要な基準と活動を規定するドキュメント。
3.2:アクティビティの定義
プロジェクトの成果物を作成するには具体的な作業が欠かせない。その具体的な行動を特定し、文書化するプロセスが”アクティビティの定義”である。
プロジェクト作業を見積り、スケジューリングし、実行、監視、コントロールするための基礎を提供するスケジュール・アクティビティにワーク・パッケージを要素分解する。
「ワークパッケージ」と「アクティビティ」の違いとは?
ワークパッケージ(粒度粗め):WBS内の最小単位
アクティビティ(粒度細かい):PJで実施する具体的な作業の最小単位
<3.2:アクティビティの定義(主なアウトプット)>
◎アクティビティ・リスト
そのプロジェクトに必要なすべてのスケジュールアクティビティを網羅したリスト。アクティビティ識別子(コード)や作業を詳細に記述した作業範囲が含まれ、プロジェクト進行に伴って定期的に更新される。
◎アクティビティ属性
アクティビティタイプを特定し、スケジュール作成のために活用。
主な属性は以下の通り。
(WBS識別子/アクティビティ識別子/アクティビティ名称/アクティビティ記述/論理的順序関係/リードとラグ/資源要求事項/指定日/制約条件/前提条件など)
3.3:アクティビティの順序設定
プロジェクトのアクティビティの関係を特定して文書化するプロセス。
<3.3:アクティビティの順序設定(主なアウトプット)>
◎プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図
各アクティビティと依存関係とも呼ばれるアクティビティ間の論理的順序関係を構造的に図示したもの。
◎プレシデンス・ダイアグラム法(PDM)
別名「アクティビティ・オン・ノード」と呼ばれアクティビティ間の論理的な関係を矢印で示す方法。
また、アクティビティ間の順序を定義するには”4つの依存関係”を抑えておく必要あり。
アクティビティ間の”4つの依存関係”とは?
それぞれのアクティビティ同士の順序を決めるときに必要な関係性。
◎強制依存関係(ハードロジック)
→ 物理的・技術的な制約があり、必須の順序
◎任意依存関係(ソフトロジック)
→ 制約はないが、習慣的に行われている順序
◎外部依存関係
→ プロジェクトのコントロール外
◎内部依存関係
→ プロジェクトの中でコントロール可能
"リード"と"ラグ"とは?
リード:別名「ジャンプスタート/先行着手」
先行しているアクティビティの完了を待たずに後続のアクティビティを前倒しで開始できる依存関係。”任意依存関係”で発生し、リスクを増加させる危険性がある。
ラグ:別名「待機」
先行アクティビティが完了していても、後続アクティビティの開始を遅らせるような依存関係。資源が消費されず、作業が実施されない期間が発生する。
3.4:アクティビティの所要期間見積り
想定した資源を持って個々のアクティビティを完了するために必要な期間を見積もりプロセス。アクティビティ所要期間見積りは段階的に詳細化されていき、設計作業が進むにつれてより詳細で正確な情報により精度が高まっていく。
また所要期間を見積もるためのツール/技法の中で必須でチェックすべき4つの見積もり手法は以下となる。
4つの基本的な見積もり手法
①類推見積もり
②パラメトリック見積り
③三点見積り
④ボトムアップ見積り
①類推見積り
過去の類似プロジェクトから得た所要時間、予算、規模、数量、複雑さなどの情報に基づき、相対的に見積りを行う技法。プロジェクトの初期段階など詳細な情報が無いが超概算でも見積りの目付をしたい時に利用する。見積もる速度は速いが精度は低い。
②パラメトリック見積り
過去のデータやプロジェクトのパラメーターに基づいてコストや所要期間を算出するためにアルゴリズムを使う見積り方法。
③三点見積り
3種類の見積もりの値を利用して、確率分布を想定することにより所要期間(期待値)を求める技法。
最頻値:最も現実性が高いシナリオに基づく所要期間
楽観値:最良のシナリオに基づく所要期間
悲観値:最悪のシナリオに基づく所要期間
三角分布の公式は
【所要期間(期待値)=(楽観値+最頻値+悲観値)/3】
で見積もりを行う。
④ボトムアップ見積り
WBSの下位レベル構成要素単位の見積もりを集計してプロジェクトの所要時間やコストを見積る技法。PMIイズムの一つとしてプロジェクトマネージャーはボトムアップ見積もりで適切なコントロールを行う、としている。
「コンティンジェンシー予備」と「マネジメント予備」の違い
コンティンジェンシー予備(=既知の未知)
今は発生してないが今後手直し発生時に対処するための予備のこと
マネジメント予備(=未知の未知)
プロジェクトスコープ範囲で予測が不可能な対応を行うための予備のこと
<3.4:アクティビティの所要時間見積り(主なアウトプット)>
◎所要時間見積り
アクティビティを完了するために必要な作業期間の見積もり値(ラグは含まない)
3.5:スケジュールの作成
プロジェクトの実行と監視・コントロールをするためにスケジュールモデルを作成。そこでアクティビティの順序、所要時間、資源への要求事項、スケジュールの制約条件などを分析するプロセス。
ファースト(一塁手)は一見”楽で地味”なポジションに見えがちではあるが、相手の攻撃の起点となるポジションを守る上で様々なシチュエーションや対応策をイメージしておかなければならないという実は”頭を使う”ポジションであると個人的には思っている。
ファーストは一塁ベースという相手の攻撃の入り口で様々なシーンを想定すること(=見積もること)や具体的なプレーにおいての対処策や相手チームのコンディションを観察し、起きうるプレーを想定しておくなど経験値をもとに”次の手”をイメージ出来なければならない。
”あらゆる準備を想定(計画)しておく”というファーストの心構えの部分がスケジュールマネジメント知識領域とのアナロジーだと感じている。
クリティカル・パス法(Critical Path Method)
クリティカル・パスは”所要時間の最長のパス”のこと。
フロートの種類(トータルフロート/フリーフロート)
フロートとはスケジュール上の余裕期間の事を指す。PJ全体の完了日を遅らせずにアクティビティの開始を遅らせることができる「トータルフロート」や後続アクティビティの開始を遅らせずにアクティビティの開始を遅らせることのできる「フリーフロート」がある。
”資源平準化”と”資源円滑化”
資源平準化:リソース制約条件をもとに”完了日含めてスケジュール変更”
資源円滑化:あくまでフロート内調整のみ”完了日は変更しない”
クラッシング(資源追加)とファストトラッキング(並行実施)
クラッシング(資源追加):”コスト増加”でスケジュール短縮へ
ファストトラッキング(並行実施):”リスク増加”させスケジュール短縮へ
<3.5:スケジュールの作成(主なアウトプット)>
◎プロジェクト・スケジュール
マイルストーン・チャートやバー・チャートなど個別スケジュールの表現を用いた文書。いわゆる通常のプロジェクト進行におけるスケジュールのこと。
◎スケジュールベースライン
プロジェクトの進捗状況を判断する基準となるもの。プロジェクトマネジメント計画書の構成要素の一つであり、スケジュールベースラインとスコープベースライン、コストベースラインの3つを合わせて【パフォーマンス測定ベースライン】と呼ぶ。
3.6:スケジュールのコントロール
プロジェクトスケジュールを更新するために、プロジェクトの状況を監視し、スケジュールベースラインへの変更をマネジメントするプロセス。
試合を通じて相手チームをよく観察することが求められるし、時にはゲームプランを軌道修正する必要もある。ファーストは時折投手に対し、マウンドに声かけに行くなどするが、この辺りの行動や視野の持ち方も全体の試合プランを正しく軌道修正する手段や行動、として捉えるとよりファーストというポジションとスケジュールマネジメントの類似性を理解しやすくなる。
<3.6:スケジュールのコントロール(主なアウトプット)>
◎スケジュール予測
スケジュール予測時に得られる情報と知識に基づいたプロジェクトの将来の状態やイベントの見積もり。
”スケジュールマネジメント的”プレイヤー
スケジュールマネジメントは全体の中で”より具体的に現場の中で、何をどうしていくのか?”を常に頭の中で想像しながら、さらにはあらゆる経験値や手法、引き出しを総動員してチームを下支えしていくポジションであることは改めて理解できただろう。
それを踏まえてあえてプレーヤーとして例えるならな我らが福浦和也(元千葉ロッテマリーンズ)である。
福浦和也(元千葉ロッテマリーンズ)
相手を詳しく観察し、試合全体を”ちょと俯瞰”で捉えながらも、試合に勝つというプロジェクトを成功させる上でチームにとって具体的に良いプランを描ける素晴らしいファースト。声かけのタイミングも含めこういうゲームプランニングができる野手がフィールドにいるというのは心強い存在。
次回は「#4:コスト・マネジメント」
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