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【退職エントリ】広告業界レガシーお兄さんがメガベンチャーの新規事業でイノベーションに触れた3年間

少し遅くなりましたが、2022年10月31日をもって3年間お世話になったラクスル/ノバセルを卒業しました。コロナ禍でつながりが難しい環境下でしたが、これまでにない濃厚で学びの多かった3年間だったので感じたことを振り返り、次に繋げていくために初noteを書いてみようと思いました。 もはやおじさんの年齢ですがまだお兄さんと書かせてください。

ラクスルというメガベンチャー

一言でいうとラクスル、ノバセルはホントにすごい会社でした。
私は大企業からソーシャルベンチャーまでそれなりにいろんな企業に在籍してきましたが、ラクスルは松本社長、経営陣はもちろん、若手からベテランまで優秀なプロ意識の高いビジネス人材が綺羅星のごとくそろっており、それが有機的に機能している組織設計・組織カルチャー(完璧な組織は存在しないという前提で)といった感じでした。 ラクスルはネット印刷のイメージが強いですが今や事業ドメインはTVCM、物流、情シスDXまで広がりBtoBのアマゾンとも呼ばれています。

ノバセルbyラクスルに入社したきっかけ

もともと30代半ばまで10年以上広告業界にいたのですが、「広告業界はもう引退、小さくても社会の仕組みを変えて世の中を良くして行けるような仕事をしたい」と思って大企業を飛び出したのが7年前。ソーシャルベンチャーで東北の産業復興の事業をしていたのですが、ビジネスという仕組みのレバレッジがないと持続性が・・とモヤモヤしている時にラクスルCMOからスカウトメールをもらってなんとなくカジュアル面談へ。CMOのパッションと迫力wとTVCMの民主化という最後のフロンティアを開拓していく事、中小企業やベンチャーでもTVCMで発信ができる世界をつくる事、ラクスルのビジョン「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」に共感して、ワークサンプリングなどを経て入社を決めました。 

ノバセル初期のカオス

入社したときはまだコロナ前で10名ちょっとだったと思います。でも全員ツワモノ揃いです。元電通、元大手事業会社のマーケティング、元大手デジタルエージェンシー、元ベンチャー企業社長など。当初は職種もやや曖昧なところもあり、自分で商談して、自分で市場調査して、提案書を書いて、時にはCMの字コンテのラフを書くし、分析をエクセルでやる、みたいな感じで、エンジニアやコーポレートメンバー以外の数人でそれをやっていました。加えてオンラインセミナーやったりアライアンス先を開拓したりもしていたのでまさにカオス、入社半年くらいでコロナも始まってリモートワークになったりしたのでさらにダブルカオス。ZOOMになったのもあり1日に商談7件とか8件とかこなし、夜は深夜まで企画書をつくる、みたいなのもザラでした。それでもCMOの田部という絶対的な実績と経験値をもつ人間の元で多様かつタフなメンバーがそれぞれの強みを生かしながらやり切っていきました。組織が拡大していく中でのひずみや課題もみんなで乗り越えていきました。個人的に土日は経営大学院にも通っていたので昼休みは飯を食わずに夜も課題の勉強もしたりもして、なかなか大変な日々でした。

ノバセルでできたこと 世の中に貢献できた事

結果、運用型TVCMというコンセプトと業界初のCM効果を解析するアナリティクス(開発エンジニアの方々もキレキレ)が市場に受けいられ、2年たって売上も右肩上がり、競合他社もいくつか参入してきてまさに新市場ができたといっても過言ではない状況になりました。

私だけでも3年間でおそらく300~400社ぐらいの経営者や役員、マーケターの方々と話し、120件以上提案し、バリエーションも含めると100種類以上のCMを作ったと思います。

CMは企業にとっては大きな投資でもあるので、15秒のCMをつくるために綿密なマーケティング戦略と顧客インサイトを探る必要があります。また大企業のTVCMと比べて、ベンチャー・SMB企業のTVCMは戦略もかけられるお金も体力もリスクも全然違います。そういう意味でも改めてマーケティングおよびマーケティングコミュニケーションについて深く学びなおす必要があり、社内でもクリエイターやプランナー、プロデューサー、マーケター、メディアプランナー問わず、勉強会やスキルシェア、壁打ち等が常に行われ、学びが多い日々でした。また効果を可視化するので、効果分析結果をみてみんなで良い悪いここを改善できないかみたいな議論したりもしていました。必然、先方への数字の効果にコミットを強めになるのでアナリティクスやデータの分析と戦略提案、クリエイティブ提案、メディアプランニング提案を繰り返したことは大きな財産になりました。

大手広告代理店でフロントでビジネスプロデューサーをしていると、CM以外の仕事もたくさんあるので、クライアントや担当商品にもよると思いますが1クライアントのCMを1年で数本つくる程度ですが、ノバセルでは複数クライアントのCMをABテストも含めて1年間でかなりの数をつくること自体がかなりイノベーティブな事でした。しかもCMの効果を計測するアナリティクスでCMをリアルタイムで計測するなどまずないわけです。そんな新興ベンチャー相手に、電通や博報堂などの大手が対抗サービスをだしてくる等、なかなかすごい経験をさせてもらいました。自分の仕事人生を形作ってくれた広告業界に新しい価値を生み出すことに関われた事は自分にとって、とても意味のある事でした。

ノバセルのおかげで今までできると思ってもみなかったTVCMをやれた中小企業やスタートアップも世の中にたくさんいたと思います。

そしてネクストステージへ

2年過ぎたところで、急激なスピードで売上も拡大し、組織面でもBiZもテックチームもさらに優秀なメンバーがどんどん入社し、組織も大所帯に膨れ上がってきました。事業としてステージがゆるやかに変わってきた感じがあり、事業内容もクライアントの規模も少しづつ変わってきました。私も通っていた経営大学院も卒業し、他にもやりたいことが出てきたこともあり、そろそろレガシーお兄さんは役目を終える頃かな・・・と思い、1年間予算の達成に全力で立ち向かいながらも、次の道を考え始めました。

それから1年、いろいろな出会いがあり、プロボノや事業立ち上げのトライしたり、オファーをいただいた大企業やベンチャー企業さんともじっくりたくさん話をしました。結果、ご縁あって自分の中で一番しっくりきたスタートアップへ移る事になりましたが、それはまた別のnoteに書ければと思います。

最後にラクスル、ノバセルは本当にすごい会社でした。もっと若い時にこの会社に入っていればまた仕事への考え方や価値観が違ってたんだろうなと思っています。「仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる」はもはや座右の銘の一つ、3年間ありがとうございました。

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