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【福祉☓仕事☓仕組み☓テクノロジー】誰もが能力を最大限に発揮できる社会を目指して

昨年末にラクスル/ノバセル退職エントリnoteを書いたところ、いろんな人から「読んだよ!次のステップの話も聞きたい。」とお声がけいただいたので調子にのって第二弾、入社エントリ的なものも書いてみます。

2022年11月1日からVALT JAPAN株式会社という就労困難者の方との新しい協働可能な社会づくりを行っている30名足らずのスタートアップにジョインさせていただきました。ラクスルの有休休暇が2週間分くらい残っていたので消化しても良かったのですが、1日でも早く事業成長に貢献したいという思いが強く、休みも入れず間髪入れずに移籍しました。


きっかけのきっかけ

2019年頃、40代の仕事人生折り返し地点でのキャリアの整理目的もあり入った土日の経営大学院。入学後半年くらいたった頃、新しい知識、アントレプレナーシップ、教授・仲間との議論/交流という財産を得るだけでなく、「学んだ事を残りのキャリアで何にどう生かすのかを在学中に“決める事"」も大事だと思い始め、別途コーチングを受けてみたり、修士論文でも最終的にそこがクリアになるようようにコンセプト設計しました。

約1年くらいリフレクションを繰り返し、これまでの行動や価値観を徹底的に可視化し、ビジョン・ミッション・バリューを定めました。ビジョンは「誰もが能力を最大限に発揮できる社会をつくる」に決めました。これは自分自身が20代中盤に大きな病にかかってしまって、1年半ぐらい仕事ができず、その後も数年間、体が無理できず、いろいろと思い描いていた夢も断念してしまった原体験が起因しています。
何かが障がいになって、やりたい事ができない、能力が発揮できない、そんな事が無くなるような世界をつくるために仕事をしていこう、と決めました。
「社会」にこだわりがあるのは、20代でアート活動をしてた時に師匠に「芸術は社会に役立つものでなければならない」という教えを受けていた事、アーティストのヨーゼフ・ボイスの社会彫刻(拡張された芸術概念)の思想に影響を受けていると思います。そう考えるとこれまでの「震災によりいろんな事ができなくなってしまった東北の産業の復興支援」も「誰もがTVCMを使える世界づくり」へ取り組んできた事と繋がっていました。今回は特に大きいアジェンダ。そういえば大学の時のゼミは社会福祉☓経済学でした。
ちなみに自分自身のパーソナルMVVを定める事は終身雇用の崩壊と共に労働力の流動性が高まっていくであろう時代、サラリーマンであっても自分を見失わないために決めておくと有効な気がします。思ってた以上に時間と手間はかかりますが一度可視化して決めておくと様々な局面での意思決定が楽になると思います。

出会い

大学院卒業後、そんな意思決定をアクションに変えていこうとしてからは、身体的不自由さを抱えたお子様をお持ちのSさんと出会い、意思疎通を円滑にするテクノロジーを研究している先生と出会い、技術を事業として社会実装するための手伝いをいろいろしたり、ヒューマンオーグメンテーションを研究しているベンチャー社長と出会ったりと自然といろいろなご縁がつながっていきました。そんな中である日、エージェントさんから紹介いただいたのがVALT JAPANの小野代表でした。就労困難者が大活躍する時代をつくる、熱い思いと壮大なビジョン、実績、アクションに共感し、仙台での現場の視察などもした上で検討し入社を決めました。以下は小野のスタートアップイベントでのピッチ動画になります。

小野の熱量は凄まじいものがありますし、彼の考えやビジョンは僕らが思っている以上にかなり奥が深く、そして懐が深い漢です。

とはいえ正直、決断には勇気はいりました。今回の1年弱の出会いの中で、大企業に戻る、新規事業系のコンサルのような選択肢もあったし、福祉とビジネスは両立しうるのか?福祉業界でこれまで経験は活かせるのか?など不確実な要素が決断を鈍らせました。最後は、母校で学んだフロンティアスピリッツの教え、残りの仕事人生に何に時間を使うべきか?、これまでの自分の全総力を上げて打ち込める仕事は何か?自分の価値観等と照らし合わせて総合的に考えた時にやっぱりソーシャル☓スタートアップという選択に行き着きました。MBA的にビジネスモデル的に見ても、一見、皆が無理なんじゃない?と思うところに挑むのがスタートアップであり、アントレプレナーシップであるというマインドのもと。

就労困難者が大活躍する時代をつくる

日本でなんらかの障がいを抱えている方々は約950万人、高齢化や社会環境の変化など、ここ10年で約200万人程度増えています。うち労働生産人口約400万人のうち企業の特例子会社等にきちんと雇用されて働いている人は約50万人、就労移行支援を受けている人達は約4万人、就労継続支援事業所A型/B型と言われる仕事場に通う方々は約50万人。B型の平均賃金は月約1.5万円程度、月1万円を切る事業所もある。
日本の福祉制度は世界では良いほうだと言われていますが、半分達成されない法定雇用率、成果を測るものさしの少なさ、上がらない賃金など時代の変化に伴い、まだまだアップデートしていく部分がたくさんあるように思えました。これまでの仕事はなくなっていく可能性もあるし、新しい仕事をつくっていかなければならない、税収が減っていくリスクがある中で国の支援もどこまでいけるのかという危機感があります。

「仕事は一番の処方せん」という代表の小野の話が一番印象に残っていて、仕事を通じて収入が増える、誰かに喜んでもらえる、自信がつく、生活のQOLが上がる、これが当たり前に誰もが教授できる世の中を目指していきたい。
テクノロジーを掛け算する、世の中の仕組み自体を変える、福祉にもDXやリスキリングを早期に行う、新しい仕事分野をつくる、視点を変えればまだまだ就労困難者の方々でも付加価値の高い仕事を作ることは充分でき、企業の戦力にすることが可能です。

VALT JAPANのポテンシャル

このスタートアップのユニークネスなところはVCからのご支援に加え、厚労省や県庁、自治体など公的セクターとも連携しながら事業を進めているところです。国や社会全体としても必要性が求められている領域です。インパクトスタートアップとは何か?という事で経産省からも先日ヒアリングを受けました。
たまたまですがラクスルつながりで社外取締役に元ラクスル副社長の守屋実さん、元ラクスルPDMの方もいて「仕組みを変えれば世界はもっと良くなる」マインドは引き続き濃い目になります。
 入社約3ヶ月経ちましたが、このステージのスタートアップで事業基盤が万全であることなどなく、さまざまな課題やこの業界ならではの難しさ、自分にはなかった価値観の理解、社内外含めてやらねばならぬがやれてないことが山のようにありますが、必ず乗り切る事はできるだろうし、社会の有用なインフラになりうるようなポテンシャルを秘めています。さらにギアを上げて頑張ります。
3ヶ月やっていろいろ見えてきたこと、課題感、仲間との再会etcはまた次回のnoteで。

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