見出し画像

北名古屋市総合福祉センターもえの丘

2024.05.04_北名古屋市
北名古屋市総合福祉センターもえの丘/高松伸/

避難用滑り台さえも立面の対称性に取り込むほどの図式的な全体性。
それに対して、空間体験はとても複雑で奥行きがある。
しかし、その空間性は図式に準じた判断の積み重ねによって発生している。

空間の豊かさの先に、図式の対称性が再度認識される体験。

3面が道路に面する長方形敷地に、X型の対称形平面。
アトリウムの中央にかかった起伏のある屋根スラブと、連続するRCの円柱。
屋根スラブより高さのあるトップライト。
平面形状に沿って連続するフレームは、端部の四隅では屋外パーゴラに変化。
四隅の庭園は避難用の外部動線を兼ね、長手の両立面に線対称で現れる避難用滑り台へと続く。
一方で屋上は、屋根スラブとトップライトが反転し、内向的な空中庭園が広がる。

この環境が市民に開放されていることと(高齢者の福祉施設としての色が強く、外部の利用者の出入りは少ない)、外部の人間が出入しやすい寛容な空気感も含め、思いがけず良い建築に出会えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?