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#新海誠

『天気の子』(アニメ映画 感想2回目)

視聴環境:Amazon prime video ※ネタバレします。 【内容】 雨降りを晴れにする力を身につけた少女の陽菜と、家出少年の帆高が、天気を晴れさせることを商売するようになり世界を救う… 【感想】 『天気の子』、観直していました。(ここでの感想は、2回目になります。) もう何度か観ていますが、今回はなんとなく感じていた映画の狙いが、自分なりにより具体的に理解出来た気がしました。 映画冒頭から、やりたいことを宣言するような映像になっているなあと… 様々な雨水の表

「すずめの戸締まり」にみる震災と天皇の表象可能性について

1.はじめに  2023年、日本のアニメーションは重要な転換点を迎えている。数々の日本発のアニメーションが中国や韓国を筆頭とする世界各国でこれまでにない大ヒットを記録しているのだ[1]。新海誠の「すずめの戸締まり」もその一つだ。日本で2022年11月11日に公開された本作は、中国でも公開され約8億元(約155億円)もの売り上げを記録し、韓国でも日本映画の興行収入記録を更新した[2]。    いまや世界的に人気を誇る新海誠だが、「すずめの戸締まり」という作品は挑戦的な作品

新海誠『すずめの戸締まり』誰もが東日本大震災から逃れられない

私の評価【★★★★☆】 今日は金曜。 最近の金曜ロードショーはアニメが多いですね。 名探偵コナン、ディズニーのシンデレラ、今日はジブリで猫の恩返し。 猫の恩返しは何度も観たけど、録画して観ます。 他には新海誠監督の「すずめの戸締まり」も2024年4月5日に金曜ロードショーで放送。 地上波初登場との触れ込みでした。 4月5日放送でしたが、「すずめの戸締まり」を完全に観終わったのは4月末でした。 ちょこちょこ分割して観ました。 分割して観たというよりも「分割しないと観

『天気の子』が般若心経な3つの理由

いつの時代にも仏教通は存在する いつの時代も、仏教を伝道する著名人は存在していて、みうらじゅん氏・いとうせいこう氏の「見仏記」は誰もが知るところだし、「笑い飯」の哲夫氏はサタデー・ナイト仏教というラジオ番組を持っていたりする。少し調べてみると、エッこの人も仏教通なのか!という有名人は何人もいて、いつの時代も一定数の方は仏教に強い興味・関心を示していることがわかる。 新海誠は令和時代の<仏教伝道者>だ そんな中、とてつもない影響力を持った伝道者がまさに彗星の如く現れた。『君

「すずめの戸締まり」と「火の鳥」

「すずめの戸締まり」がテレビ放映された。地上波で初放送だった。「君の名は。」のヒットから、「天気の子」も、夫婦で映画館でまず観た。それまで地味な活動を続けていた新海誠監督は、これらの作品でメジャーになり、アニメ界でトップクラスの地位に就くこととなる。   いずれも、災害がモチーフになっている。その災害に向き合う方法の主軸として、神道色の強い作品である。神楽が重要な意味をもったり、稲荷神社や気象神社が能力の基盤であったりした。そして要石が地震を鎮めるとか、祓詞や常世とか、神道以

映画オタクだった時に君の名はを見たら自分以外全員カップルであのオタクたちはどこに行ったのってなった話

僕は23歳の時、完全に映画オタクだった。 北野武のアウトレイジにハマって、北野映画を全部見てからはもう映画ざんまい。 レンタルDVD屋に行って7泊8日と書かれた14枚プラスチックのケースに入ったDVDを借りて、1日2本以上必ず腕を組んで見る。 見終わったら映画評論などを見て評論の勉強を行う。 朝起きる→ご飯食べて映画→評論鑑賞→映画→ご飯→余裕があったら短い映画→評論鑑賞→就寝 そんな生活を300日ほど続けていた時期がある。 完全におかしかった。けれど、その時の感

旅するように、戸締まるように─『すずめの戸締まり』と〈廃墟〉のモチーフ

この文章は『青春ヘラver.6「情緒終末旅行」』に収録されたものです。完全版は冊子をお買い求めください。 序章 二〇二二年十一月に公開された映画『すずめの戸締まり』は、一ヶ月半ほど経った現在(二〇二二年十二月末)も記録を伸ばし続け、原稿の執筆を始めた今、ちょうど興行収入百億円を突破している。この映画の情報が初めて公表されたのは二〇二一年の冬だった。当時はまだ「少女が日本各地の寂れた土地を巡るロードムービー」としか思っておらず、後にもう一つの重要なテーマである〈震災〉が結びつ

『天気の子』は縄文映画の傑作だ

縄文界隈ではこの話題で沸騰している。というのは嘘で僕と国書刊行会の編集者の伊藤さんしかいまのところ言っていない。 新海誠監督が縄文映画監督なのはすでに『君の名は。』で分かっていた。ややふざけているけど以下のリンクでその時の考察を読んで欲しい。 http://jomonzine.com/pg213.html それにしても「縄文映画」とはいったいどんな映画なのか、それもこのリンクで少しは分かってもらえるかもしれないが、簡単に言えば映画の中に「縄文」的な要素が濃厚に含まれているもの