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9月入学を議論する前におさえておいて損はない論点

オリンピックイヤーに期待に胸を膨らませていた矢先に雲行きが怪しくなり、当たり前とされてきた日常が次々と変化せざるをえなくなっています。これまで既得権益にこととごく跳ね返されていた、又は、社会的にも従前のやりかたを踏襲すべきでない、など、コロナ禍はある意味考えるきっかけを与えてくれたのかもしれません。

そこで、昨今話題の9月入学について、批判的な意見や肯定的な意見を述べる前に最低限おさえておいて損はない視点を記載しました。

確証バイアス(血液型A型の人は几帳面など)をご存じでしょうか?これは、人間の脳は情報に対してなにがしかの理由を求めたがるもので、空白があるとその部分を埋めたがる性質があります。更に、一度前提条件が出来上がってしまうと、自分に都合の良い情報ばかりを集めたがる傾向があります。そうなると必然的に視野は狭くなり、必要な情報を集めている「つもり」でも、無意識のうちに耳が痛いと感じる情報をそぎ落としている可能性があります。

また、「カクテルパーティー効果」をご存じでしょうか?騒がしい会場でも自分の気になる話(得意分野の話なども)は自然と耳に入ってくることを言いますが、日常生活でも気を付けなければなりません。

本当に重要な論点が実は自分の耳の痛い話の中に含まれている可能性も否定できません。よって、大事なのは、可能な限りフラットな視点に立ち、決断を下してそこからフィードバックをして必要に応じて軌道修正することではないでしょうか?

100%間違えないことは不可能です。機械であってもアップデートを忘れた場合、故障します。大事なのは間違えないことより自分に都合の良い情報とそうではない情報、双方を勇気をもって受け入れ、そこから核心を導き出そうとしたプロセスに価値があると考えます。

9月入学のメリットデメリット

・「後ろ倒し」とすると、大卒の労働力がその期間少ないままに国際競争を強いられ、GDPにも悪影響を及ぼす可能性も認識すべき。
・私立校は全国の高校約4,900校のうち27%、大学は786校のうち77%あり、5カ月間の学費分の空白は、私立大だけでも1兆円近くになり、特に私大マンモス校では年間100億円前後の減収になる可能性
・国の支援がなければ、コロナ禍にも関わらず授業料の引き上げが浮上しグローバル化が逆行
・海外留学や交流が容易になる(グローバルスタンダード)
・21年4月の小学校入学を9月にずらす場合、義務教育のスタートが7歳5カ月からとなる子が出てくる。これは、世界的にも異例の遅さとなり、国際的な学力比較の面で懸念。
・夏休みは?(日本の慣行的な視点で)例えば今までの春休みの位置づけとするか?(夏休み後新学期スタート?その場合、期間を縮小?)
・半数超が賛成とは、調査対象はどの範囲なのか?DINKSや子育てを終えた世論も含まれていると当事者意識が担保されているとは言い難い。よって対象範囲のいかんによっては数値は変動する可能性もある。よって対象不明な数字のみでの議論は危険な気がする。

他にもあろうかと考えます。また、まだ顕在化していないだけでこれから当たり前すぎて考えもしなかったリスクにぶち当たることも想定すべきです。


主役は子供


議論は大人がします(せざるを得ない)。しかし、あくまで主役は子供であるという視点を忘れるのは危険です。子供は従うことしかできません。声を上げても(又は代弁してもらっても)それは、一部の声であることが多いでしょう。今の子供たちが今後の日本を背負って立つことは誰もが認めることであり、世代間扶養が崩壊しない限り、我々の年金保険料を負担するのも子供たちです。

多角的な検証するためにも速く決めることは大事です。また、拙速な結論を排除する為の単なる問題の先送りも適切ではありません。可能な限り、当事者意識に立った議論が必要です。

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