「黒く塗れ!」以外のタイトルが思い浮かばない

黒く塗れ!

「G4」というコンセプトシングルに収録されているHISASHI楽曲。この楽曲が収録されている「BLEEZE〜G4・Ⅲ〜」のジャケットは、タイトル曲である「BLEEZE」のイメージが先行しているため、原色のPOPさと彩り感が満載。「黒く塗れ!」とはおおよそ相入れないようなジャケットである点もまた、GLAYの奥深さの一つとも言えるかもしれない。

私ごとになるが、今回のツアーの少し前くらいから、自身の中での「黒く塗れ!」ブームが起こっていたために、ツアー初参加のNHKホール公演でイントロを聴いた時に、「届いた!」という錯覚を起こした。
以前はライブ前になると、TERUのすごさの一端を感じるためという謎多き理由から、一人でカラオケに行くということを習慣づけていたが、家庭事情によりここ数年は封印。それが、ライブの少し前に夜の散歩がてら、ひとりでふらりとカラオケに寄って1時間ほど歌ってみたらなんだか心地よく、一人カラオケは複数回に及んだ。その時不意に「黒く塗れ!」を歌ってみた。
コアファンくらいしかそもそもこの楽曲を知らないだろうが、もしわかる人がいたら、一度カラオケで歌ってみることをオススメします。理由は、TERUの超人っぷりがよくわかるからです。決して、TERUも楽なんだろうなとは思わない歌い方はしていないが、そこまで難しさを感じさせることなくするっと歌っているが、本当に難しい。鼻歌レベルで歌ったことがある程度で挑戦すると怪我をする。だからまだ歌ったことないけれど、歌ってみようと思われるならば、一人でいくこと推奨。
もしめちゃくちゃ歌に自信があるかたならば、誰かを招いて聴いてもらうものもありかも。ただ、聴いているだけではわからないが、当事者としては難しいはず。

HISASHIはTERUの低音をうまく引き出す第一人者であるが、低音以外にもTERUの魅力をたくさん散りばめてくる。
イントロ開始から6〜7秒後のTERUの「黒く塗れ」は、世紀の発明だ。あのファルセット的な声で、艶っぽくタイトルを言われてしまったら、まずは1回膝から落ちなければならない。TERUは、あそこのキメ方について、ある程度考えているのだろうか。本能の気もするが、そうだとしたら、確実に天性のものだ。

HISASHI楽曲におけるTERUの魅力をがっつりと引き出すポイントとして低音は外せない要素だが、低音からの高音への駆け上がり方も魅力ポイントの一つ。
「黒く塗れ!」でいうと、ちょっと変化球的メロディーのところに、

時計仕掛けの迷路に 身を絡ませ
朝も夜も今も過去も未来もすべて塗りつぶす

GLAY公式サブスクリプションアプリ「GLAY」

という歌詞があるが、「迷路」のところで一気にキーが高くなる。ここは、キーが届かないことも想定されるポイントだし、実際のライブでもちょっとだけ足りないかもなと思うこともなきにしもあらず。
ただ、それをやることから逃げずに、回を重ねるごとに精度を増していく様子を追いかけると、いくらでも進化ができることの現実に驚かされる。

世紀の発明なんて大げさなとも思うが、実はイントロ内ではなく、終わりの数秒前に、追い「黒く塗れ!」がある。ここは、イントロよりも多少力強くなっている。表現の一環だろうか、曲中で進化をして、ラストの「黒く塗れ!」が一層色気に拍車かかったなんてことは、GLAYにとっては日常だ。

HISASHI楽曲はギターだけでなく、TERUのボーカルの魅力の宝庫。


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