ライブでの演奏こそが最大の演出

ROSY

この楽曲はどういうジャンルに区分けされるのだろう。ミディアムバラード?それにしては、ライブの中で楽器隊が結構激しく体を動かしながら演奏をしている。そして、ライブアレンジのHISASHIのギターは、一層エッジが立っているが、それが浮いた感じがせずに世界観に広がりをもたらしている。でも、ガンガンと盛り上がって手を振ったり跳んだりするような激しさはない。聴き入ってしまうのに、そこに燃えたぎるような熱さがある。心の中にくすぶっているものが、むくむくと起き上がってきて、小さな灯をともし、それが徐々に炎になっていき、殻を蹴破って外に解放された時の感覚か。だから、じわじわと、でも確実に盛り上がっていき、その渦をどんどんとかき混ぜていく。

イントロは、シンプルにTAKUROギターで始まり、そこに乗るTERUの声は、得意の地声と裏声のミックス。第一声を発しただけで、この楽曲が進む道のようなものが見えるような歌い方。そう、ついていこうと思わずとも、その声の方向に一緒に進んでいく他に選択肢がない、導かれる感じ。でも、強引に手を引かれるのではなく、そっと手を差し出してくれて、歩調を合わせて、少しだけ先を歩いてくれる感覚。導かれるこちらも、何が起こるのかはわからないドキドキ感はあるものの、その先にあるワクワクの方が大きいことは予想できているから、迷いはない。第一声で、ここまで先を見せてくれて、かつその先にあるドキドキも一緒に持っていける状態にする、TERUの真骨頂。イントロが究極的にシンプルに始まるがゆえ、TERUの声の説得力が増す。この辺りの計画性もまた、この楽曲の妙であるように感じる。
Aメロは比較的ローな状態が継続するが、Bメロに入ると曲に少し展開が訪れる。そこにリズム感が加わり、メロディアスさが顔を出し、ギターとベースが絡み始める。そして、それをまるっとまとめて歌がさらに上に押し上げていく。演奏全体の火が一層燃えあがる。

サビにおいては、TERUのファルセット使いによって、楽曲全体に紫調の色を纏っていく。音程的に、TERU以外の方が仮に歌ったとしても、あのようなファルセットの使い方になるだろうけど、それでも、そのファルセットの持つ威力というか、破壊力というか、それが異常値だ。どうしたら、あの世界観を生めるのか?TAKUROが作曲した時に、あそこまで計算の上作っているのだとしたら、それはもう神の導きとしか言えないだろうと思うほど、TERUの声の可能性がつまりすぎるくらい詰まっている。

初めてライブで聴いた時、ホールで前に紗幕がかかった状態で、メンバーのシルエットがそこに映し出された演出が息を飲むほどかっこよかった「ROSY」は、今は演奏そのものが最大の演出だなと思わざるをえない。

↑昨年のFCライブのROSYが良すぎる。。。

#GLAY #ROSY #地声とファルセットの中間 #イントロで勝負あり

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