バンドが創造する優しい楽曲:代表

FRIED GREEN TOMATOES

こういう楽曲を歌わせた右に出るものはいない。まさにGLAYの真骨頂のような1曲。コロナ禍から1年ほど経過したけれど、まだ先行きがわからずに、見えない脅威に怯えていた頃に届いた新曲。まだパッケージに思いを持つGLAYがデジタルシングルとしてリリースしたのも、やはり社会情勢が色濃く反映された結論だろう。そして、そのときに温もりを感じる楽曲としてこの曲を世に放ったのは、GLAYの優しさゆえだろう。鬱屈とした日々の中に、少しだけでも息つける時間を。心の奥の方にじんわりと燈る灯りを。

優しい歌なのに、そこにはバンドとしての要素があれこれ詰まっていて、バンドでやることの意味がそこにある。バンドだからこそ出せる音の厚みと温もりが手に取るようにわかる。そして、冒頭書いた通り、こういう楽曲を歌わせて右に出るものはいない王道楽曲。一発でGLAYだとわかる。でも、新しいのだ。こんなにもふんだんにGLAY要素が詰まっているのに、どの楽曲にもない新しさがある。この楽曲においては、やっぱり歌詞が醸し出す雰囲気が新しい。本当に昔好きだった映画のタイトルだという(自身はその映画の存在を知らなかったので、最初にタイトルを耳にした時はポカンとした)が、その映画について歌詞で触れられているからか、昔の映画館の持つ、独特の香りを感じるのだ。地元の映画館は、せまい空間に窮屈に座席が詰め込まれていて、でも人気映画はすぐに満席になってしまうので、上映ギリギリに入ると、一番前に座る羽目になるような映画館。直前まで吸っていたたばこのいやーな臭いと、ポップコーンの匂いと(当時はキャラメル味とかなかったので、甘い匂いというよりはちょっとバターっぽい匂い)と、コーラの匂いが混ざり合っているもの。それぞれが特徴ある匂いなだけに、全部一緒になるとそれぞれの主張が強くてなかなかしんどい。
そんな映画館の体感までも、なぜかふと思い出してしまう。映画であれば、映画館でなくとも観ることができる時代に、昔の映画館が思い浮かぶのは、そこにある優しいメロディと楽器の音が作り出す世界観に没入できるからだろうか。

バンドである要素を最も感じるのは、やはりDメロあたりのベースの存在感とギターソロ&ユニゾン。これもバンドの真骨頂で、ここがGLAYたるゆえんであることは揺るがない。いつもは重みが基礎を作っているベースがとても繊細なメロディを弾き、エレキギターも尖っている音ではなく、綺麗にやすりをかけてもらったような滑らかさと柔らかさがある。これは、バンド初めて数年くらいの駆け出しではできない。何年もバンドして人生を共にしているからこそ生み出せ、そして認め合える。デビュー30周年バンドのなせる技。それがたくさんあるほど、GLAYの温かさを感じずにいられない。

#GLAY #FRIEDGREENTOMATOES #ホイッスルストップカフェはみせ #フライドグリーントマトはえいが

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