ボーカル七変化と鍵盤が持つ可能性最大化

ごらん、世界は苦しみに満ちているよ。

NEVER MINDというGLAYによく似た覆面バンドがいるのだが、その覆面バンドのトリビュート(でいいのか?)がこの楽曲。GLAYのアルバムに収録するために再録されているが、タイトルからは想像できないほど(?)のかっこよさ。なんかもっと暗めの楽曲をイメージしていたけれど、ただただかっこいいロック。GLAYのアルバム用音源では、果てしなくTERUが苦しそうに高音を歌っている感じ、ファルセットでも良いだろうに、地声を絞り切っている感じが、なんだか心の隅の方をくすぐるというか、なんか恋が始まる時のあのキューっとした感覚になる。TERUの声って、色気があって心くすぐられることもあれば、スッと高音を出して、アルファ波を出しまくるようなこともあれば、巻き舌をガシガシ使って煽ってくるようなこともあれば、ざらざらした声なのに、透明感がやたらとある声だったり、声の持つ色が彩豊か。1曲の中でもその声を使い分けているから、同じ人が歌っているように聞こえないことすらある。それだけ特徴的なのに、ある意味での癖がないから、楽曲の中で自身の声を調理して、楽器隊に寄せていくようなこともできる。それなのに、TERUが歌えばGLAYになる。
そう言う意味では、「ごらん、世界は苦しみに満ちているよ。」は、TERUの声の幅の広さに驚かされる。

何がかっこいいって、鍵盤がロックの中で踊っていること。ロック調の楽曲ってともすると鍵盤の音が楽曲の持つ世界観を削ぐようなこともなきにしもあらずだが、ことこの楽曲においては、鍵盤の持つ音が楽曲を引っ張るし、溶け込むし、効果しかないように思える。まず、ボーカル始まりののっけから、鍵盤の澄んだ音が世界観の方向性を示してくれる。8小節後に入ってくるベースが鍵盤と出会った時の気持ちよさというか、待っていました感、その空気感を8小節で作り上げているところ、鍵盤の持つ良さを理解した上で、詰め込みすぎず、空間ができすぎるわけでもない、いわゆるれ「過不足ない」ところ、この鍵盤を弾いた方のセンスだなとこれまた驚かされる。
そして鍵盤の見どころはなんといってもアウトロ・・・というかラスト。あの低音ダーーーーーンがあるかないかで1曲を通した時の印象が全く異なるものになる。2分40秒という短い時間の中に、多くの要素が詰め込まれていて、それが重すぎないように調整し、最後の最後にあのインパクトを持って来られる勇気。潔い。

いつも同じようなことを言っているが、今のTERUが歌う「ごらん、世界は苦しみに満ちているよ。」が聴きたい。

https://www.youtube.com/watch?v=Zm5qAiG_awM

#GLAY #ごらん世界は苦しみに満ちているよ #ボーカル詰め込み #最後のインパクト


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