これぞ、引き算の美学の真骨頂

BLACK MONEY

企画ものとしてはかっこよすぎるし、作品としてのクオリティや満足度が尋常ではない。企画ものであれば、定期的に出現してもらいたいし、続編も欲しいし、1回限りではあまりにも惜しい。でも、定期的に出現するならば、やっぱりこ1曲だけでは物足りなくなるだろうから、もう1曲、2曲求めてしまうのがファンの常。30周年の今年は、ちょっと期待してしまっても良いかななんて思ってみたり。

この楽曲との出会いは、10年前のEXPO2014だった。衝撃的だった。ちょっとした面白ムービーが流れたと思ったら、2人だけがステージに立っていてこの楽曲を始めるもんだから、気持ちを追いつかないのなんのって。度肝を抜かれる経験って、ある程度歳を重ねるとなくなってくるけれど、この時はまさに抜かれた、度肝。想像していないことが目の前で起こると、人は動けなくなる。自分は本当に絵に描いたように動けなくなって、しばらく呆然としていた。ステージのビジュアルのインパクトが強すぎる。
ステージ上の人数構成だけで考えるといつもの半分なのだが、人数の問題ではなく、インパクトの問題。絵面が強すぎる。

もちろん強いのは絵面だけではないのが、さすが当時で言ったら結成25年以上のバンド。楽曲が持つインパクトもざらじゃない。全てをGLAYにできる魔法使いTERUがいなくとも、HISASHIとJIROの歌声はなかなかお腹に響く。そして、楽器の音数が少ない分、一つ一つの音の存在感が際立つ。ギター、ベース、ドラムの全てが主役。歌も含めて、フォローに入ったり、基盤を固める役割というよりも、その役割も果たしながら、それぞれの音自身が主人公になる。だからこそ、普段は後ろの方で鳴っている音の全てが全面に顔を出す。でも、全部が同じ濃度で主人公になるのではなく、それぞれが見せる所で主役をはり、そうでにない所では、サッとフォローサイドに回る。でもフォローといっても、存在感が薄くなるわけではない。楽器の音や存在感を残したまま、主人公の音を引き立てる。前に出ずとも存在感を残せるのは、バンド歴が長いからこそなせる技ではないか。

イントロのギターはまさにGLAYのHISASHIの色が出ているから興奮するし、間奏のギターソロでは(曲名はわからないが)有名な楽曲の1小節くらいをオマージュしている。そして何よりもベースがうねりが1曲の中でこれほどまでに感じられるとは。「SHUTTER SPPEDSのテーマ」のように、ベースが主役の楽曲もあるが、それでもここまで1曲を通してベースの存在感が際立ってはいない。音数が少ないことのメリットが詰め込まれているパンクナンバーだ。とにかく鳴っている音の全てを拾って楽しめる。これぞ、引き算の美学。

#GLAY #BLACLMONEY #HISASHIとJIRO #3ピースバンド

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