冬の厳しさを表現しながらも、心を温めてくれるベースの存在を説く

Winter Moon Winter Stars 

一貫して言えること:ベースの存在感よ。
イントロからずっと。ベースが基礎を固めて楽曲全体を支えながらも、楽曲を引っ張っている。冬の寒さやきびしさの中で生きる人の燃えたぎるような感情の揺れ動きなんかも、このベースラインが表現しているように思える。ベースメロディから、その冬の空気感の重たさや空の低さまでもが想像できる。そして、そのベースの存在感が、ふっとベース音が消えるところにおいても尚、存在感を思わせることの凄み。ベースが歌う、そんな楽曲。

ベースラインの妙に乗るTERUの声はとてもクリアで瑞々しい。ベースが描く冷たく重たい景色の中に、TERUのパキッとした歌が乗ることで、月や星の白い明るさがときどき顔を出す様に感じる。芯から冷えていた体に少しばかり熱が帯びる。下を向き足元ばかりを見て、家路を急ぎながらも、ふと足元を照らす光に気づき目線を上に向けると、そこに月が光っている。街頭に邪魔されない脇道だから、星も見える。その時の安堵の思いをTERUの歌が優しく包み込んでくれる。透き通って見える冬の月は、冷たい空気の中でこそ輝くことを教えてもらった様な気持ちにもなる。

ちょっと前にSNSで話題になったが、GLAYの描く冬は、厳しく。雪はまうのではなく、吹き荒ぶ。クリスマスに鐘が鳴るのではなく、寒さを凌ぐために膝を抱える。冬のきびしさを誰よりも肌身で感じた人が描く冬は、リアルでそして決して綺麗事にはしない。冬が持つ厳しい側面を描き切ることで、その地に暮らす人のことを身近なものとして想像させる。ただ、そのきびしさだけを伝えるのではなく、そこに当たり前に生活する人がいて、その人たちなりの冬の過ごし方がある。決して悲壮感だけがあるわけではないこともしっかりと伝えている。この楽曲で言えば、その象徴が「Moon」であり、「Stars」なのだ。冬はいつかは春になる。厳しい冬にだって、幸せを感じるポイントがある。それをTERUはカラッとした声で歌い上げる。

口唇から歌が溢れ痛めた胸から希望は生まれ
眠る君に月は祈り Oh 星達が愛を添える

GLAY公式サブスクリプションアプリ「GLAY」

この歌詞からもわかる通り、冬の月と星は、歌や希望のあるその世界をそっと見守っていてくれることがわかる。
ただ、この歌詞の温かさを際立たせているのは、ベースの存在。冒頭では重い空気感をベースが創造しているということを書いたが、ここまで来ると、ベースラインが足元から温めてくれる床暖房的な存在にも思えてくるから不思議だ。冷たい空気感を演出するだけではなく、見方を変えるとその意味が全く逆のものとしても成立するなんて。それがこの楽曲の中でベースが果たす役割。それが見えてくると、一層楽曲の持つ味わい深さにまた心が躍る。

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