幕が上がる時

2008年「HIGH COMMUNICATIONS」ツアーの時の演出が印象深い。セットリストの2曲目で、1曲目が終わると薄い幕が上がっていき、ステージ全体が赤く染まる。そして、「棘」の重心の重たいイントロが始まる。
「棘」を聴くと思い浮かぶ映像はまさにその赤く染まったステージだ。

「鼓動」というシングル曲のカップリング。鼓動もそこまで華やかな楽曲ではではなく、「棘」もPOPさはないので、シングルを通じて全体的に彩りは少なめ。トーンも低め。
でも、ライブで化ける。というか、圧倒的にライブ向きの楽曲。演出のしがいがあるということか。
この楽曲はサビ始まりだが、サビまでのイントロにコーラスが入っている。音源で聴いた時には、恥ずかしながら気にかけられていなかったが、ライブになるとそのコーラス(という言い方でよいのか?)の存在感がすごく、イントロまでの数秒間でサビまでの盛り上がりの道筋を一気に作り出す。そのコーラスのダークな色気がまた、たまらない。

もちろん何かしらかの意図があって録音したのだろうが、そういう配慮・こだわりが、ライブで浮かび上がることはよくある。だから、音源ではそこまで思い入れがない曲でも、ライブで輝きを放つという現象は珍しくない。

「棘」の個人的に好きなポイントは、ライブverのみで発動されるアレンジなのだが、大サビの「十字架の痕」という歌詞に合わせて、ドラムがダンダンダンダンとなるところ。ライブならではのアレンジは、特別感があって好き。そして、こういうリズム系のアレンジは、心臓の動きとリンクしていているので、ダイレクトに刺さる。(↓この映像だと3'31あたりが該当箇所)

なかなかライブで聴けないレア曲かと思っていたが、これまでにライブで10回ほど聴いていた。自身が数多く行ったツアーのセットリストに組み込まれていたようだ。
カップリングではあるが、存在感はある。ライブ映えする。
そして、Aメロの擦れた感じのベースも好き。彩り鮮やかではないが、ライブが似合う。

さて、幕は上がった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?