複雑な気持ちを表現するとこうなるのかという納得感

RainbirD

TERU楽曲の振り幅の広さを認識させられる楽曲。元気で底抜けに明るくポジティブ100%というTERUそのもののような楽曲が定番か思いきや、ゆったりとしたテンポの中に、強い決意が込められている楽曲もある。儚げなメロディの中に潜む力強い歌詞は、TERUそのものであり、そのまっすぐな表現に心洗われる。
そして、TERU楽曲でバラード調のものは、音に丸みがある。アコーディオンを使って懐かしさを演出したり、虫の声が収録されていたり。「RainbirD」は、イントロの音は幻想的だ。不思議な空間に誘われているような気持ちとなる。雨に淡い色を纏ったような世界に手を引いてくれるような音。音が近づいて来るので、手を触れようとすると、すっと遠ざかっていくような感覚が絶え間なく続いているような感覚に陥る。ただ、その感覚が決して冷たいものではなく、なんだか温かく感じるのは、親が子を思う気持ちが詰まっているからだろうか。

互い目線が 変わらない高さになっていた

遠くへ離れてしまっても
誰かを愛してしまったとしても
僕はここで待っている

GLAY公式サブスクリプションアプリ「GLAY」

TERUは、動く物体としての鳥には苦手意識があると言っているが、この楽曲以外にもタイトルに鳥が含まれている楽曲がもう1曲あるし、鳥の絵のタトゥーをいれているところから、鳥への思いが強いのだと思う(その関係で、空への思いも強いのかもしれない)。
ただ、この楽曲は、やはり子を思う親の気持ちだからか、鳥へ憧憬を描いたのではなく、飛び続けることに対して心配する気持ちが歌詞に色濃く出ている。ちゃんと休めるところはあるのだろうか。泣きたいこともあるだろうけれど、自分にとっての夢だから、ここで応援することしかできない。でも君が飛んでいるはずの空を見上げ、いつも想っているよというメッセージにかえて、「鳥」を心配している。空が大きくて、広くて、天気も変わりやすい分、心配の種は絶えない。
でも、鳥籠の中に入れてしまったり、傷の手当てを丁寧にしたりはしない。ただただ、じっと見守るだけ。帰ってきた時には、暖かく迎えられるよう、準備を整えておくだけ。

そんな楽曲だから、ちょっと不思議な空間に導いてくれるような音なのかと納得できる。応援したい気持ちと、でも自分の元から巣立った子を心配する複雑な気持ち。ポジティブでありながらも、心配する気持ちを完全に消せない状態を音にするとあのような表現になるのか。納得。

#GLAY #rainbird #親の気持ち #期待と不安の複雑さを音にする

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?