今リリースすべき楽曲たちが背負うもの

ひとひらの自由

「この楽曲を今、発信することが自分たちが音楽をやっている理由である」と臆することなく言える。そこに大きな覚悟を感じる。だからこそ私たちファンはその気持ちをまっすぐ受け止める。そしてそれはイコール私たちファン自身を救う楽曲になっていく。
GLAYの活動の中には、今思っていること、感じていること、考えていることを楽曲という形にし、世の中に放たなければならないタイミングというのがある。それは、たいてい理不尽に命を奪われるようなことが世界中のどこかで起こっている時。理不尽に命が奪われることは、それこそ日常の中にもふと影を落とすことがあり、そういう意味では毎日じゃないかと言われたら、そうなのだが、それも含めて、今こそは発すべきという時がこれまでにも何度かあった。
音楽ひとつ世に出したところで、世界情勢が好転するわけではないなんて言葉、よく耳にするし、政治的なことに音楽は首をつっこむななんて言われたりもするけれど、でもそのような外野の声も受け止めながら、その歩みを止めることはしない。そして、メンバー1人だけが暴走するのではなく、メンバー全員の総意として、我々ファンも受け止めている。

このひとひらの自由という楽曲、リリースが2001年9月19日だ。もちろん、世界中が恐怖と混乱の渦に巻き込まれることなど予想もせずに、リリース前のプロモーション活動に精を出していた最中だったはずだ。
奇しくもその8日後に、ひとひらの自由がリリースとなった。まるで何かを予言していたかのような。当時、何の因果だろうか。。。と思った記憶がなんとなくある。
だからこそ、余計に虚無感のようなものに襲われやしないかと思ったりもしたが、その後に起こった更なる痛ましい出来事に、覚悟を決めて声明を出したりしたことからも、現実も受け入れた上で、発信すべきことをやめてはならないということへの覚悟を感じずにはいられなかった。

人が孤独であることを歌い、でもだからこそ歌うことを説き、そして、自分の心や友人に「Don't worry」と優しく寄り添う。自由を手に入れても、それで幸せになれるわけではないし、その自由は吹けば飛んでしまうような薄っぺらいものかもしれない。
でも、その自由を矜持することは、前に進むための原動力になる・・・それを教えてくれた楽曲です。

GLAYのこういう楽曲は、メロディとかコードは明るめだけれど、だからこそこういう詞がのってきた時には、心にストレートに突き刺さるし、そのあとにじわじわと細胞に染み渡っていく効能がある。そして、遠くの誰かを想って作られた楽曲は、ファンにとっても、落ち込んだ時や疲れてしまった時に、そっと横で励ましてくれ、最後には奮い立たせてくれる。

音楽の力は偉大だ。



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