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無料生配信ライヴの日の前夜。

「届けーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

柳沢亮太(Gt)の声で最初の涙が、零れた。





本日は、SUPER BEAVERが「15th Anniversary 続・都会のラクダ TOUR 2020 ~ ラクダの前進、イッポーニーホー ~」の全公演中止に伴い、チケットの払い戻しの他に、もう一つ選択肢を用意した限定生配信ライヴの視聴が出来る日だ。


一週間前に、私の元にもその視聴券と渋谷龍太(Vo)がデザインをした絵が描かれているTシャツが届いた。



視聴券の裏を見ると、

「一日も早く、それぞれが安心できる日常を取り戻しライブ会場でお会い出来ることを切に願っております。」と、書いてあった。

その一文がとても、嬉しかった。

同じ気持ちなんだなと、思った。




だが、私はその生配信ライヴを観ることがすごく怖かった。

本当だったらSUPER BEAVERにとって過去最大規模の会場(横浜アリーナ)で彼等を愛する沢山の人と共に歓声を上げるはずだった日に、
同じ場所で、
でも観客が一人も居ない。

そんな光景を観るのが、

怖かった。


思いっきり叫んだり、
飛び跳ねたり、
泣いたり、
笑い合ったり、
大好きなあの光景を観ることが出来ない、
そんな今の状況を実感することが、


すごく、怖かった。



でもたぶん、それは彼等も同じだったのではないかと思う。



それでも、彼等がこの生配信ライヴをやろうと決めたのは、


ひとつは、


中止になった公演を楽しみにしていた方に対して、
ただ中止にして“楽しみ“という感情までも無くしてしまうのではなく、
新しく楽しめる機会を作って、
精一杯の誠意を示したいから。


そして、

もうひとつは、



“一緒に楽しみたい”と願っている人に。


このコロナ禍は、

ライヴやフェスなど生の音楽を体感するのが好きな人にとってはより、

楽しいと思えることが無くなったような気がしてしまうこの状況で、

楽しみたいという気持ちさえも抑えてしまっている人も居る状況だ。


そんな中であるけれど、

そんな中であるからこそ、

少しでも楽しみになれたらいいなと、

楽しんでくれたらいいなと、


そんな想いでSUPER BEAVERは今回の生配信ライヴをすることに決めたのだと思う。



私は、
この生配信ライヴを観た後でどんな気持ちが残るのか、

分からなくて怖かった。



でもそんな彼等の想いに精一杯、向き合いたいと思った。





時刻は、配信が開始される20時。


会場の真ん中に集結するSUPER BEAVERのシルエットが映し出される。



SUPER BEAVERは1曲目に、今1番伝えたい想いが伝わる曲を選ぶことが多い。


そんな1曲目は、


「うるさい」だった。



“人生経験 何年なんかは 問題外 誰もが最初で最後の ただ一人でしょう
ご意見番が あなたにとって 間違いなら それでいいんだよ
「自己否定」うるさい もっと自分を 愛してみてよ“
(うるさい/SUPER BEAVER)





全部で8曲。約1時間の生配信ライヴであった。




パフォーマンスをしたほとんどの楽曲がSUPER BEAVER自身にとっても、

応援するファンにとっても、

とても大切にしている楽曲であった。



そんな選曲からも、

「あなた達でなく“あなた”に届いて欲しい」という

画面越しでも、お客さんが目の前にいてライヴをする時も変わらない、

SUPER BEAVERの音を想いを言葉を1人1人に届けたい、

そんな彼等の想いを痛いほど感じた。




配信中渋谷龍太(Vo)は、

何度も、

「安心してついてきて下さい」と言っていた。




大切に、熱く、

1曲1曲を奏でる姿を観ていると、

初めてソールドアウトになった光景に涙を流しながら笑い合った日のこと、

柳沢亮太(Gt)が体調を崩してしまって心配で眠れなくなった日のこと、

メジャーから落ちて、

それでも1から自分達の音楽を鳴らし続けようと決めた過去があったこと、



沢山のことを思い出して、




涙が溢れた。



そして、そんな過去を経た“今”のSUPER BEAVERが画面に映っている。


また泣きそうになっている藤原”32才”広明(Dr)が、

自らデザインをした衣装やブーツに身を包み、鋭くベースを弾く上杉研太(Ba)が、

メンバーを見て笑い、沢山笑いかけて、誰よりも楽しそうな柳沢亮太(Gt)が、

丁寧に慎重に“あなた”に伝わるように言葉を紡ぐ渋谷龍太(Vo)が、



“今”映っている。



とても輝いていて、

すっごく温かくて、



涙が出た。




最後の曲のエンディングで、


渋谷龍太(Vo)の声にならない声で「やりたかったなあ」と、とても悔しそうな姿に、

柳沢亮太(Gt)の何度も何度も「ありがとうね」と伝える姿に、



最後の涙が、零れた。



“今よりもっと笑ってやろうぜ”
(突破口/SUPER BEAVER)

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