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私の出待ち録

私は出待ちが大の苦手である。
ものすごく緊張して顔はこわばるし話はスムーズにいかないしで、出待ちでは私の良いところが出ないので(←!?)、逆に芸人さんに嫌われそうで怖いので、もうあんまりしないことにしている。

そんな私だが、もちろんこのように決めるまでには幾度となく出待ちにチャレンジした過去がある。

まず、人生で初めての出待ち。
私は、渋谷の無限大ホールでピスタチオのお二人の出待ちをした。

時は2015年。ピスタチオは大の人気者で、出待ちも長蛇の列だった。
その頃私はお笑いライブに行き始めたばっかりで軽いファンだったので、初の出待ちはそんなに緊張せずに話せた気がする。
元ホストだったという伊地知さんはとても気さくで、私が「○○(←当時住んでいた関東の地方都市)から来ました!」と言うと、「○○ってどこだっけ?あーXX県?」と聞き返してくれた。
お二人別々に出待ち対応されていて、小澤さんもチョー人気だったが、マイルドな立ち振る舞いで優しく接してくれた記憶がある。

別の日にシアターDで出待ちした時は、小澤さんが外で対応していて列もできているのに急に雨が降り出し、1人の女の子が自分が差しているビニール傘を小澤さんにあげようとして、「いいの!?」と驚かれているのを見たりした。「出待ちってドラマがあるんだなぁ」と側から見ていた。


そして翌年…
私が人生で2番目に出待ちをしたのはニューヨークの嶋佐さんである。
バレンタインだったのでゴディバのチョコレートを買って渡した。
これには理由があって、当時ニューヨークが毎週やっていたよしログで話していたことによると、嶋佐さんは前年のクリスマスのライブ企画のために自腹で1000円くらいのファンへのプレゼントを買ったのに、そのライブでファンからの自分宛てのプレゼントが1つもなかった!とキレていたからだ笑
だからこの年のバレンタインはファンが気を遣ってプレゼントをたくさん渡したらしい。
事実、私も「嶋佐さんにチョコをあげねば!」と思って渡した。もちろんニューヨークが好きでちょくちょくライブに行っていたし、嶋佐さんのことが好きだったので出待ちした。
写真も撮ってもらって、今でも写真フォルダの「出待ち」にしまってあるのを時々見返している。


そしてそして…
私が人生で3番目に出待ちをしたのは…
そう!天竺鼠の川原さんである。

私はこの頃までには、自分が出待ちに向いていない人間だとわかってきていた。

でも川原さんのことが途方もなく好きだったので、いくら向いていないとはいえ、「一度は出待ちして喋りたい!」という想いが募り、川原さんが当時誕生日に欲しいと言っていた今治タオルのプレゼントを買って、無限大ホールでのライブの後、外で待っていた。

…が、待てど暮らせど川原さんが出てこない。
私は待った。ひたすらに待った。

今だったら、しばらく待って出てこないときはもう出てこない日、つまり、飛び出しで終演前に出ているとか、またはライブが終わるや否や急ぎで出ていてもういないのだとかわかる。それに次回のライブでまた出待ちのチャンスはあるのだから…、とすぐに諦められる。

だが、当時の私はまだお笑いライブ界隈の情報に疎く、かつ、「出待ち」は一世一代の大イベントであった。そして名前に「待ち」とついている行為なのだから、とにかく待って待って、出てくるのをひたすら待つ儀式だと思っていた。
なので、引かれると思うけど、たぶん3〜4時間くらい待った。
渋谷なので、途中でナンパされたりしながら待っていた。
でも辛いとは全然思わなかった。私は好きなことに対してはしつこい性格だし、繰り返しになるが、なんせ「待ち」という行為なのだから、待って当然と思っていた。
そして表参道で買った今治タオルを、一生懸命書いたファンレターと共に、絶対に川原さんに渡したかった。

が、やはり川原さんは出てこなかったので、この日はただ帰った。
あとで友達に「3時間くらい待ってた」と報告したらビックリされた。

結局この「表参道で買った今治タオルと一生懸命書いたファンレター」は手渡しできず、後日、ルミネで天竺鼠の出番があった日に、受付の方に渡した。当時川原さんがやっていた755でメッセージ(みんなが見れるやつ)でそのことを伝えたら、「受け取ったでごわす」的なリプライが来て、私はまさかリプライをいただけるとは思っていなかったので、こりゃーもう天国!有頂天!川原さん、優しい〜!!と気分揚々だった。
(川原さん、本当にありがとうございました。)

が、まだ川原さんの出待ちはできていない!
次にまた渋谷の無限大ホールでライブがあったとき、私はまた待った。

今度は思いの外すんなり!
川原さんは普通に出てきて他のファンの方々の対応もし、私の番が来た。
この日も何かしらプレゼント(たしか靴下)を買っていたのでそれを渡し、ライブの感想だかなんだかを伝えたはずだ。でも自分が何を言ったかは全然覚えていない。

覚えていることはただ一つ、川原さんが「ありがと〜、また来てね」と言ってくれたことだ!!!

その言い方が、たぶんそれまでの人生で会った男の人の中で、いっっっちばん優しい喋り方だった!!!!!

「ありがと〜、また来てね」のセリフが、ほんとめっちゃ優しかった!!!!


…。

…。

…。


奥さん✋その日、私は渋谷駅まで歩いて帰らなかったんですよ。
何で帰ったと思います?


背中に羽根が生えたので、「浮いて」帰ったんです!!!!


一瞬の会話で私を宙に浮かせるくらい、川原さんは優しかった!ボクの背中には羽根がある!

ファンの人はぜーんいん知っていると思うけど、川原さんはファン対応も本当に優しい!!!

そうゆうわけで、毎回緊張はしながらも、川原さんの出待ちは何度かさせていただいた。

そして時は流れ…流れ…

私は出待ちでとても素敵な思いをさせてもらいながらも、「ライブ後にする出待ちのためにライブ中から緊張してしまって、ライブに集中できない」という、今考えるとわけのわからない心理状態に陥っていた。

お笑いライブを観に行っていることは確かなのに、その後に出待ちをすると決めているせいで、肝心のライブに集中できないと言う、本当に嫌な状態になっていた。

私は「出待ちするならプレゼントをせねば」と思っていたので、出待ちをする日は「差し入れ」という言葉ではちょっと足りないような、ちゃんとした「プレゼント」を買ってライブに行っていた。

なので、当日の気分で「今日は出待ちしちゃお〜♪」とか選ぶようなものではなく、出待ちという儀式のために毎回事前にしっかり準備していた。

今思えば、「今日は出待ちしちゃお〜♪」とか「今日はめんどいから帰る」くらいのノリのファンのほうが、芸人さん的にも楽なのではないかと思ったりする。

そんなこんなで、しっかり準備をしたからにはしっかり出待ちをするのであって、そのことを考えるとライブ中も気持ちがソワソワ…ということになっていた。

そして、この嫌な心理状態を2回くらい味わった後に、「お笑いライブを観に行ってるのに出待ちのことばっかり考えて緊張してライブで笑えないなんて、本末転倒だ!私は馬鹿げたことをしている!」と思い、「出待ちはしない」と決め込んだのであった。

が、また時は流れ…流れ…

2018年、私はランジャタイのファンになった。
ランジャタイのことが大好きになった。

そうなると…川原さんの時と同様、「一度は出待ちして喋りたい!」という想いが募っていった。

でも上述のとおり、私は「出待ちのことを考えてお笑いライブを楽しめない」という気持ちを経験していたので、ランジャタイを好きになった当初、頑なに出待ちをせずにいた。

「ちゃんとしたプレゼントも買っていないし、急には出待ちできない」とかなんとか考えたりして、とにかく長いこと出待ちはせずにライブに通っていた。

が、やはり出待ちして喋りたいという欲が出てくるのだ。

そして、周りを見ると、どうやら出待ちはそこまで緊張せずに、もっと気楽にやっていいものらしい。


私は考えた…


出待ちをするか…


出待ちをしないか…


考えた…


私は考えた…


出待ちをするか…


出待ちをしないか…


考えた…



ライブ中に国ちゃん伊藤ちゃんが見せるあの笑顔を見たりすると、出待ちしても良さそうな気がする。


私は考えた…


出待ちをするか…


出待ちをしないか…


考えた…


そして決めた。


「出待ちしてみよう!」←そりゃそーだ!!


結果として、ランジャタイの出待ちはそのあと何回かさせてもらった。
2人とも本当に優しい。

ある日、自分ではなんと言ったか覚えていないけど、私が変なことを言ってしまったらしく、伊藤さんがすごく笑ってくれたことがある。嬉しかった。

また、特に国崎さんはちゃんと話そうとしてくれるし、何を言っても気さくに何かを返してくれる、というイメージがある。本当に有難いことだ。

一度、出待ちしたけど緊張してうまく話せなかったので、その「緊張してうまく話せなかったんです」ということを次の出待ちの時に伝えたら、国崎さんが「皆さんそんな感じですよ〜」と優しく返してくれたことがある。

その「皆さんそんな感じですよ〜」がとても良くて、友達にLINEで報告したら「習い事の先生みたいだね笑」と返信が来た。

確かに。出待ちとは、私にとって練習しても練習しても上手くならない、習い事のようなものだったのかもしれない。(お、かっこいいこと言えたかも✨)

国ちゃんが習い事の先生だったら、絶対に通う〜!まぁどの習い事かにもよるけど!


というわけで、私には私なりの出待ちストーリーがある。

勝手に七転八倒したり宙に浮いたりしている、私側だけのストーリーだ。芸人さんには伝わっていないし、伝わっていたら重いし怖いと思うので、私側だけのストーリーで終わらせておきたい。(今、noteに書いてるけど)


好きな芸人さんと実際に喋れたというのはかけがえのない思い出だし、ときどき振り返ってニヤニヤしたり郷愁に耽ったりしているのだけど、こんなふうに文字にして記録できて良かった。

私に優しく出待ち対応してくださった芸人さん方、本当にありがとうございました!!


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