見出し画像

貧しい我家に不似合な蓄音機があった

岡晴夫さんの「啼くな小鳩よ」は流行歌で初めて覚えた曲名だ。家に蓄音機があって小学4、5年のころから歌っていた。ラジオなどでもよく流れており、当時は意味も分からず聞いて覚えた。

蓄音機は今でいえば小型冷蔵庫くらいの大きさ。浪花節のレコードもたくさんあった。貧しい家には不似合の蓄音機。誰のものか知らないが、私が一番使った。小学校で借りに来たこともある。

会社の先輩が岡晴夫さんのファン。資料室で個人ファイルから1枚取り出し見せてくれた。若いころ岡さんと先輩が一緒に写っている記事。十八番は「憧れのハワイ航路」でそっくり歌った。

入院中の先輩を見舞いに行くと、岡晴夫さんの歌が流れていた。「数ある中で逢いたかったぜ、もいいね」と言った。40歳を過ぎても作詞家の夢を持ち続け「曲より詩が大切だ」が持論だった。

田舎を出て50年以上。気になる娘はいないが「逢いたかったぜ」の2番が好き。

♬こんどあの娘(こ)に 出逢ったならば 無事(まめ)で居るよと おゝ言ってくれ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?