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位牌はないけど毎朝手を合わせていた

両親と義弟の写真を箪笥の上に飾っている。私の両親は着物姿で、自宅の縁側で撮ったもの。妻の両親は旅館前で父が背広、母が着物姿。義弟は幼稚園の前(?)制服に帽子を被っている。

箪笥の上に置くようになりだいぶ経つ。5人とも他界している。義父は交通事故、義弟は浪人中に火災事故、他の3人は病死だ。位牌はないが、妻は毎朝お水をお供えし手を合わせていた。

1週間に1度花を買い、お供え物なども欠かさない。いまは私が引き継ぎ5人を見守る。しかし仏壇、位牌なしでは妻のように手を合わせることはできない。写真も見たり見なかったりだ。

仏具を選んでいたときのこと。「ご本尊は30万円です」と説明する。「位牌にお金をかけてください」と言っていたのはどの人? 本人を前に体よく断った。無宗教なので安い方が助かる。

妻は仏壇、ご本尊がなくても、箪笥の上の写真立てに手を合わせていた。本当はこういうものだったはずである。

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