長い夏が始まる無事に終わってほしい

中学校の校庭は川に隣接していた。長方形で放課後は主に野球部が利用。左中間はそこそこだが右翼は狭かった。セカンドから６㍍ほど離れてライトがあり、すぐ後ろを川が流れていた。

平凡な右飛がここではホームランとなった。レギュラー以外の部員は、順番を決めて川に落ちたボールを拾っていた。小学校のときは田んぼでのボール探し。田舎なのに校庭が狭かった。

小さな町に旅館が一軒あった。玄関の大きなガラス戸は、常にピカピカだった。「どんな人が泊まるのだろう。１日にどれくらいの宿泊者がいるのかなあ」と、子ども心に心配していた。

旅館の娘は中学の先輩。補欠で川でボールを拾っていたころ、彼女は水切りをしていた。「やってみる」と言われて水切に挑戦も、うまく出来ない。女生徒の水切りを突然、思い出した。

2021年７月23日、東京五輪の開会式がある。あの人はどこで、だれと開会式を見たのか。オリパラの長い夏が始まる。無事に、早く終わってほしい。