優しい世界

少し前の話なんだけれども、そろそろ終電が気になる時間帯のある駅でのこと。
一人の大柄な女性が線路をずっとのぞきこんでた。
すこし焦った風の彼女をなんとなく見たら、まぁひと目でわかる女裝の方だった。
大柄の「彼女」はきれいにメイクをして、作り物の様な髪の毛をしていた。少し時代かかった服装は大柄の彼女をより際立たせていた。
つまり目立っていたのだ。

色んな人がいるんだなぁ思いつつ、離れたところで観察してたら駅員が長い棒を手に彼女に走り寄っていった
どうも線路になにかものを落としたらしくて、それを取ってもらってる様だった。
駅員はなれた手付きで、線路のスマホを取って状態をかんたんに確認していた。
彼女は何度も頭を下げ、駅員もニコニコとスマホを差し出し、
「……お姉、さん。こちらでよろしいですか?」と少し微妙な間で話しかけてた。

彼女を悪く言うつもりはないが、彼女の女装は残念な類に入って、種族を判定する機会があったら、おじさんと判定されるものだったが
駅員さんはお姉さんと。
彼女はそれを聞いて、本当に嬉しそうにもう一度頭を下げて、駅員は颯爽とその場を去った。

正解はお客さん、と表現するのがいいのだろうけど、駅員さんの気遣いにほっこりした夜です。

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