家の裏のエイリアン
僕は蜘蛛が苦手です。見るだけで体が震えるくらいです。蜘蛛そのものも、もちろん駄目ですが、蜘蛛の巣がまた同じくらい嫌いです
世の中には蜘蛛が好きな方もいらっしゃるでしょうが、その方に一日蜘蛛の素晴らしさを説われても、無理ですという自信があります
話は幼稚園の頃です。
うちは誰も免許をもってない時期があったので、移動はほとんどバスでした。
その日も母親に連れられてどこかお出かけすることになり、停留所でバスを待っていました。
多分春の気持ちのいい午後で、僕はバス停にじっとしておれず、近くの草むらなんかを調査していました。
母親はバス停を守りながら少しイライラしてるようです。遅れていたのかな?
僕はバスを待つ時間を有効活用しようと、近くの溝なんかを…何が楽しかったのでしょう、とにかく見聞していました
そして、なんだろう?自分の持っているおもちゃの部品、たぶんプラスチックのタイヤかなんかによく似た物が目に付きました
あ!と僕はいいもの見つけた!て感じで、少し溝の奥にあったのですが手を伸ばしました
しかしその瞬間蜘蛛の巣の存在に気が付きました。
僕には葛藤があったのだと思います。そのおもちゃを手に入れたい、でもなんだろう?あの巣は?
バス来るからこっち来なさい!母親は不機嫌な声で呼んでます
僕には時間が無かったのです。
僕の手は蜘蛛の巣に突入しました。
初めぴりぴりっと音がして、僕の手が巣を崩壊する音が聞こえました。うふぅとかそんな声を出した覚えがあります
想像以上に蜘蛛の巣が大きかった。
初めて感じる圧倒的な不快感と気味悪さです
僕は咄嗟に手を引きました。もうおもちゃとか関係ないです。
その勢いはきっとすごい速さだったのでしょう、巣は余計壊れてしまいます。
さて、巣の住人はいきなりの災難です。なんのこっちゃわかっていない
何かが自分の巣を壊してます。逃げなきゃ!と思ったのか、まずは体制をととのえなきゃ!と思ったのか、多分その場で待機を選んだようです
さて、僕は勢いよく手を抜いた事により、巣の大部分は僕の手に絡まりました
それは行動を保留してた巣の主まで一緒に引き連れてしまったということです。
僕はうぅとかいいながら、絡まった糸を取ろうとします。右手にあった巣は払った左に移動し、蜘蛛も移動し、パニックになって手をブンブンしても蜘蛛は離れません。
そしてどうなったのか?
記憶がないんです。
その日のお出かけがなくなったのは覚えてるので、何か余程のことがあったのでしょう
そして立派な「蜘蛛嫌い」になりました。
我が家には犬や猫がいたのですが、基本犬は庭に繋ぎ、猫は家の中で飼ってました
しかし、時々犬は鎖を外し家の裏へ逃げたりします。猫も家の裏によく隠れたりしてました
決まった場所にいない彼らを探しに、庭を見るのですがたいていその家の裏です
家の裏には数々の蜘蛛たちがネバネバと巣を張っていて僕にとって魔界でした
それでもしゃがんだりして蜘蛛の巣を避けるのですが、ある地点に行ったら限界なので、犬猫は平気でそんなところで寝てたりして僕の捜索は終わります
次の日も犬猫はそこに隠れます。
僕が一行けないのを理解したのか。キャンプなんかでも木の生い茂ってる所は一切近寄れないし、仕事でマンション屋上へ向かう点検路にびっしり詰まってる蜘蛛を見て、僕は仕事放棄したこともあります。怒られても減給されても無理でした
幼稚園のその経験が無ければそこまで蜘蛛嫌いになってないのか?
それはよくわかりませんが、本当に苦手なんです。
書いてて気持ち悪くなってきたのでこのへんで。