[聴覚心理]院試備忘録4.内耳

4-1.キーワード

蝸牛,コルチ器,内有毛細胞,外有毛細胞,基底膜,聴覚フィルタ,

4-2.全体像
この章では内耳の構造と機能に加えて次回以降で詳説する有毛細胞や聴覚中枢系、求心性/遠心性神経系などなどの全体像についても触れていきます。
まずは図をご覧になっていただきたいです。

スクリーンショット 2020-10-03 午後4.28.18


聴覚心理の授業資料より

内耳は蝸牛(聴覚の受容器)、前庭器官(平衡感覚の受容器)、三半規管からなります。
聴覚に関する部分だけ取り出してみましょう。
振動が鐙骨から伝わり、卵円窓を通して蝸牛の中に伝えられます。
蝸牛の中はリンパ液という液体に満たされていて、これが媒質として前庭階、蝸牛孔、鼓室階、正円窓の順番で伝わる。
正円窓に伝えられた音は中耳腔に放出されます。
このように振動が伝えられるプロセスの中で蝸牛の中の中央階と鼓室階を分けている基底板が揺れます。
基底膜が揺れることで、コルチ器の中の有毛細胞によって電気信号に変換されます。
ここまでが内耳の機能と構造です。

電気信号は聴神経を通して大脳まで運ばれます。
大脳までの過程で、周波数分析、音の方向感、音の検出(気づき)、聴覚と他の感覚との統合が行われます。
耳から大脳への情報の伝達の流れを求心性神経系(あるいは上向性神経系)と言います。
逆に音の分析結果から内耳を調整する神経伝達も存在し、これを遠心性神経系と言います。

このような意味で内耳は独立して機能するのではなく、中枢系と相互作用しているので全体像を把握することは重要です。

4-3.蝸牛の構造と機能

蝸牛は前庭階、個室階、中央階の3つのエリアがあります。
これらを隔てる膜がライスネル膜と基底板の二つです。
ライスネル膜は中央階と前庭階を隔て、基底板は中央階と個室階を隔てます。
卵円窓から前庭階に振動が加えられると、前庭階と鼓室階の間に圧力差が生じて基底板が揺れます。
基底板は根元で太く厚く硬く、先端に行くほど広く薄く柔らかいです。
これによって入ってきた音の周波数と共振する基底板の位置が対応します。
つまり、高い音は根元でよく振動し、低い音は先端の方でよく振動します。
基底板が振動することでコルチ器の中の有毛細胞が反応します。
有毛細胞が振動によって毛が傾くと電気が生じます。
これを神経発火と言います。
以降は基底膜、有毛細胞、そしてどのように周波数分析が行われるのかについて見ていきます。

4-4.基底膜と場所説、時間説

先ほどの通り、基底板は周波数と揺れる位置が対応しています。
揺れた位置で有毛細胞は神経位発火を起こし、どの周波数の音が入ってきたかがわかります。
これを場所説と言います。
これはベケシーによる人の死体を使った実験で明らかになりました。
つまり、基底板はBPFの集まりと見做すことができます。

スクリーンショット 2020-10-03 午後4.30.05

時間説というのは、周波数[Hz=1/s]が神経発火の頻度と対応しているという考え方です。

場所説と時間説はどちらか一方が正しいものではないと考えられています。
基底板が揺れる場所に関して言えば、50Hz以下の低い音がよく揺れる場所はないです。
逆に神経発火の頻度の限界は1秒間に1000回(1kHz)が限界です。
つまり、場所説は低い音の聞き取りを説明できず、時間説は高い音の聞き取りを説明できません。

4-5.有毛細胞

有毛細胞にはIHC(Inner Hair Cell,内有毛細胞)とOHC(Outer Hair Cell,外有毛細胞)の二つがあります。
機能としては内有毛細胞が基本的に、振動を電気信号に変換します。
では外有毛細胞は何をしているのかというと、大きな音から耳を保護する役割があります。
この仕組みは次々回の求心性/遠心性の章で詳しく説明します。
内有毛細胞が神経発火し、電気信号を生成する仕組みに関しては興味があれば調べてください。
簡潔にいうと、内リンパ液(低Na+,高K+)からIHCのイオンチャネルにK+が流入して脱分極、EPSPが発火の閾値を超えると神経インパルスを放出、チャネルがしまって次第に過分極します。

また、外有毛細胞と耳音響放射(OAE)とは深い関わりがあります。

4-6.まとめ

内耳は振動を電気信号に変換します。
その過程で周波数を分析する機能が備わっています。(時間説と場所説)
また、大きな音から耳を守る機能が備わっています。

4-7.furthermore

ERB尺度とBark尺度
一次聴神経とシナプス接続
帯域フィルタ群(聴覚フィルタ)
同調曲線
スパイク発火確率の半波整流
骨導

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