今回の炎上の状況を見て感じた組織の行動とは?

皆さんもご存知かと思いますが、CAG所属だった「たぬかな」選手が、人権に対する失言で所属契約を解除されました。

何やら過去の失言まで取り上げられておりますが、ここではチーム運営に発生するリスクを思い浮かぶ全てを記載していこうと思います。

炎上事案→初期対応→信頼回復への道筋のひとつとして、ご覧いただけると幸いです。また、これより素晴らしい対応方法も多々あると思います。

ネット配信やSNSを中心に活動している企業さん、明日は我が身として一度考えてみませんか?

<初動対応(半日以内)>

・全容の把握の為に該当者へすぐに連絡し事情を聞く
・ネットの反応を把握する
炎上してしまった本人はすぐにチームに連絡し、事案の内容を素直に報告。自分に原因があるなしに関係なく、事実を正確に報告します。感情で話してはいけません。

チームは「何が起こったのか」を把握します。可能であればアーカイブの確認、切り抜かれたSNS動画などで事実をチーム全体で共有します。

この共有が大事です。

共有することで、チーム全体が危機管理の緊急体制に入る必要があります。決して現場責任者や当事者一人に任せてはいけません。

チーム内班と社外対応班の最低2班以上を組織化し対応に当たります。

<チーム内初期行動>

現時点で配信等の活動を行っている選手がいる場合はすばやく終了させ、SNS活動を含む全ての活動を一旦停止し、再開指示まで待機させます。余計なSNSや配信は、ネットでの追加攻撃の的になってしまいます。代表コメントとしてチーム名義のSNSで「全選手の活動を一時停止の指示を出しました」等、代表指示であることを発表します。活動再開に関しても代表SNSで発表することも忘れてはいけません。

コンプライアンスの指導を直近でいつ行ったか等、事案に関する教育プログラムの過去歴をチェックし、弁護士や社外対応班に情報を提供します。

ネットの炎上状況の把握を行います。
炎上した本人から聞いた内容とネットの情報の整合性。
・ネット板のスレッド状況
・SNSの拡散状況と反応
情報を調査している時に、聞いていなかった追加情報や、あきらかに間違った情報があればメモをし報告。
反論を書き込んだりしてはいけません。

<チームメンバー初期行動>

各選手は過去の発言等で炎上しそうなものはないか?今一度チェックを行います。チームから再開指示があるまでは、SNSの返信などは行わず、嫌がらせや煽りコメントなどに挑発されないように十分気を配ってください。

過去のSNSの発言等で、「突かれるかも」と思う内容があれば、すぐにチームに相談し判断を一人で決めないでください。そして、その気になる内容はすでにネットで画像保存されていると覚悟してください。自分で勝手に削除したりすると、その削除行為自体が炎上の引き金になりかねません。必ずチームに相談してください。

「わたしは関係ない」「もう時間も経ったし良いだろう」と、勝手に行動することは厳禁です。チームの今後の方針発表内容と違っていてはさらに悪化してしまいます。SNS再開や配信再開はチームから指示が出たら再開してください。

<社外対応初期行動>

チーム内の選手が誰かに対してケガや苦痛を与えてしまった場合は、素早く相手へ謝罪を行います。被害者が別チーム所属の場合、所属チームへ第一報の謝罪を行い、被害者の連絡先を聞き、チーム代表者が謝罪を行います。
「この事実を公表しお詫びを発表したい」旨を伝えてから、SNSやホームページ等で発表します。この時にチーム弁護士に相談するのは当然です。

各競技団体とスポンサー企業への謝罪を行います。競技団体・スポンサーの担当者がわかっている場合は、電話連絡し、状況説明と謝罪、今後の方針をいつまでにお知らせできるかを説明します。

炎上対策の保険に加入している場合は保険会社にも連絡し、一緒に対応してもらうのも有効です。

ここまでは半日以内に対応すべきだと思います。


<原因究明>

炎上事案の原因はひとつとは限りません。大概の場合は塵が積もって爆発しています。現状の事案の原因を特定できたなら、必ず過去を調査します。どのタイミングから炎上の兆しが有ったのか?
そのタイミング以降に当事者の言動に変化はなかったか?チーム内の選手等にも調査をしてください。気がついていても言い出せなかった環境を作ってしまっていた事実もあるかもしれません。気がついていた人を怒るようなことは言語道断です。対応しなかった組織の問題です。

スポーツチームは年齢がバラバラですので、年下が年上にクレームを言えない時なんて多々あります。女性が男性にセクハラ状態を言えない事も多々あります。それを見かけても、言えない状況は「関心がない」状態ではなく、「誰に言っていいのかわからない」状況がほとんどです。

炎上の兆しを見つけきれなかった組織の原因も解明すべき問題です。チーム内に気軽に相談できるスタッフの配置や、選手のSNSや配信を常にチェックできる体制を整え、それを報告する状況を確立することが最低限の改善と思います。

<改善>

炎上した事実を組織としてどのように改善し、現状のチームを守っていくかが本題です。改善案は社外の専門機関へ相談するのも有効ですし、チーム内でしっかりと作り上げるのも意識改革につながります。

この原因究明+改善案作成は炎上発生後最長2日内がタイムリミットだと思います。まだ未完成でも2日以内に一度は世間に方針を公表し、完成後に再度発表をして処理を完了させるべきと思います。時間が長引くほど印象も悪くなり信頼回復が遅れていきます。

<チーム内の意識改革>

どこかで「自分は大丈夫」という慢心がチーム全員・組織全員にあると思ってください。お互いに監視し合うくらいの覚悟を見せないと、社外の人には気持ちが伝わりません。選手だけに押し付けることも間違いです。炎上後は、組織の上部社員のプライベートのSNS言動等もチームのひとつとして見られます。むしろスポンサー企業はそこを見ていることも多いと思います。全員で乗り越える努力を覚悟してください。

<人事改革>

一番難しい問題が、炎上した本人のポジションだと思います。
・継続させることが可能か?
・謹慎期間は1ヶ月か半年か1年か?
・退所処分が妥当か?
・表舞台を辞めさせて事務等の社内移動が可能か?
炎上の原因と社会的影響を考慮し、社内規定を基準に判断されると思います。社会的制裁がすでに終わっている場合は、それを考慮して判断すべきです。表面上見捨てるような状況となっても、チームが炎上の火種を見つけきれなかった反省を考慮すべきです。仮に退所を勧告した場合は、管理責任者もそれなりの処遇を検討すべきと思います。さらに組織上部も一緒に反省する体制を社会へ見せないと、社外は認めてもらえない・ネット民は許してくれない環境です。

<社内規定の見直し>

ここを勘違いして「禁止行為」を増やす企業がいます。禁止行為が多い企業に魅力はありません。まず出来ることは、ネット炎上防止のプログラムを定期的に行う事を規定に入れることです。社外から講師を招きチーム(会社内)全員が教育を受けるようにします。若い人より年配の方が、知らなかった現実を教わることになるかもしれません。

また新人面接時にも過去のSNS等の調査を徹底することも必要になると思います。特にE-sportsの場合は選手が若い世代ということもあり、社会的常識という経験していかないと身につかない成長部分があります。そこをしっかりとチーム全体で支えていかなければなりません。

<最後に>

ここまでが自分が思った最低限の立て直しプランですが、いかがだったでしょうか?

炎上は一回でもアウトだろ!という意見も目にしました。

どんな小さな会社でも「歴史」「起業時の思い」があります。そこに所属していた先輩たちもいます。これから将来憧れの企業になるかもしれません。

組織はみんなで支え合わなければなりません。一人のミスをみんなでカバーするのが組織です。

誰かの成功は組織の喜びです。誰かの反省も組織の反省です。

過去は変えられません。出来るのは成長です


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